【3461】パルマ/機関投資家の引き合い強いが、日本郵政効果の発現には要時間か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3461】パルマ(東証マザーズ) OP

現在値 1,025円/100株 PER17.1 PBR 3.28 9月配当 株主優待あり

ディア・ライフ傘下。トランクルームの滞納保証・開発・販売・運営・仲介。


配当金は9月末一括の12円配当のため、配当利回りは1.17%となります。

パルマは株主優待制度を導入しており、単元株を保有する9月末株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.14%となります。


業績を確認していきます。
■2016年9月期 売上高 10.8億円、経常利益 1.6億円 EPS 21.9円 
■2017年9月期 売上高 23.4億円、経常利益 2.1億円 EPS 28.8円 

■2018年9月期 売上高 26.1億円、経常利益 3.2億円 EPS 39.2円 

■2019年9月期 売上高 43.9億円、経常利益 4.8億円 EPS 54.5円 

■2020年9月期 売上高 65.5億円、経常利益 5.3億円 EPS 59.7円 ce

□2019年12月1Q 売上高 8.1億円、経常利益 0.5億円 EPS 5.7円(2/12)

□2020年3月2Q 売上高 20.0億円、経常利益 1.3億円 EPS 8.1円 四e

2019年9月期の売上高は前期比67.8%増の43.9億円、経常利益は同50.8%増の4.8億円となり、期初予算を大きく上回る着地となりました。ストレージの開発・販売を行うターンキーソリューション(TKS)事業において、部材のボルト調達の都合で一部案件で完工が遅れたものの、国内機関投資家及び事業会社のストレージ投資意欲は非常に強く、13物件の引渡しを実行しました。また、営業・滞納保証・管理などを行う主力のビジネスソリューション(BS)事業における管理室数についても、TKS事業の伸びに連れる形で前期比13.9%増の80,768室と2桁の積み増しに成功したほか、昨今の物件大型化(室数100室+)により、高採算状態をキープしています。

 

進行期である2020年9月期の予算については、売上高が49.5%増の65.5億円、経常利益は9.3%増の5.3億円を予想しています。BS事業ではTKS事業による供給も寄与し、コンスタントに管理室数の伸びが期待されるほか、TKS事業でにおける開発・販売については、物件数ベースでは実績期と同程度(13物件、2,580室)が名有りとなっています。トップライン成長率のわりに利益の伸びが緩やかですが、これは増加傾向にある人件費や本年1月の本社移転費用を織り込んでいるのが原因とみられますが、現時点では保守的な印象が強い予算となっています。
 

当社は中期的な経営計画を開示していませんが、10~15年スパンの長期目標として、BS事業における管理室数を6.5万→30万室、TKS事業における供給戸数を累計10万室を目指しています。現状の当社規模を考慮すると野心的どころか無理筋に近い印象もありますが、稼ぎ頭のTKS事業については、屋内型ストレージの市場自体が向こう7年程で今の倍の40万室(年率9~10%)にまで伸びることが見込まれていることから、業界唯一の専業デべである当社は年間3~6千室の開発・供給が可能であるというロジックに基づいています。

 

これだけの室数を開発・供給し、しかも出口の投資家が付いてこられるのかという論点がありますが、エリアリンク(8914)がりそな銀行・長谷工不動産投資顧問らと組んでストレージ私募REITの組成に着手したように、機関投資家の投資ニーズが高まっている点が追い風です。当初当社は一般の個人投資家向けに50室~60室の物件をコンテナ型/屋内型で利回り目的ないし節税商品として供給してきたものの、今後は150室~200室の屋内型ストレージの大型物件を純粋な利回り物件として機関投資家に供給していくことが多くなり、実際の大口販売先も三井住友F&Lや芙蓉総合などのリース会社となっていることから、基本的にはファンド向けが多いものと考えられます。

 

また開発・供給面についても、2018年に日本郵政キャピタルが第三者割当増資5.8億円(@916円)分を引き受けるとともに、同社はかつて親会社だったディア・ライフ(3245)からも当社株式を譲受しているため、持分の2割強を握る第2位株主に躍り出ていることから、今後は同社経由で郵政関連の有休土地情報などの入手が期待されます。但し、こちらは2018年の資本業務提携から、1件も顕在化した提携案件がなく、郵政関連は想定以上の“ネマワシ”が必要とみられるため、開発・供給のブースト効果については少し長い目で見る必要があると考えています。

 

なお株主還元については、今期は4円増配となる年12円配を見込んでいます。既述の三者割当増資もあり、自己資本比率は4割強を維持しているほか、販売用の物件も随時現金化されていくことを考慮すると、現状で20%フラットに過ぎない配当性向は追加の還元余地を残している印象です。一応、会社側は「東証一部上場」が目標として掲げており、その辺の形式要件の整え方についてはディア・ライフと同様にクオカード株主優待制度の導入、その後の制度拡充といったように似たようなプロセスを辿っていますが、度重なる株式分割にも拘わらず株主数は足りてないとみられるため、更に追加で株主数確保のための何らかの施策が実行される可能性もありそうです。

 

*参考記事① 2017-12-25 827円*分割遡及修正済 NT

業績飛躍による初配達成で、一部指定替えも志向・パルマ(3461)。

 

*参考記事② 2017-01-13 365円*分割遡及修正済 OP 

CREとストレージREITの新規組成目論む、パルマ(3461)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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