【3245】ディア・ライフ(東証一部) OP
現在値 608円/100株 PER8.7 PBR1.81 9月配当 株主優待あり
首都圏で投資用マンションを開発、販売。人材派遣など。
配当は9月末一括の28円配当のため、配当利回りは約4.61%となります。
ディア・ライフは株主優待制度を導入しておりま、9月末に5単元以上を保有する株主に対して、3,000円相当の株主優待ポイントを進呈しておりますので、5単元保有時の配当優待利回りは約5.59%となります(※半年保有制限あり注意)。
業績を確認していきます。
■2016年9月期 売上高 106億円、経常利益 15.4億円 EPS 33.4円
■2017年9月期 売上高 164億円、経常利益 19.9億円 EPS 42.6円
■2018年9月期 売上高 207億円、経常利益 29.3億円 EPS 70.4円
■2019年9月期 売上高 198億円、経常利益 34.0億円 EPS 59.5円
■2020年9月期 売上高 200億円、経常利益 40.0億円 EPS 69.7円 四e
□2020年3月中 売上高 36億円、経常利益 5.8億円 EPS 9.8円 四e
2019年9月期の売上高は前期比4.3%減の198億円、経常利益は同16.3%増の34.0億円となり、会社側の期初予想が存在する経常利益については上振れする形で着地しました。主力の不動産事業において、市谷甲良町・三越前・戸越公園などを開発分譲したほか、神田岩本町・隅田公園などプラン付事業用地など合計23物件を売却しました。また、ビル・商業のリニューアル再販事業として、神楽坂・新宿御苑・千駄ヶ谷などの好採算な一棟収益不動産の販売が7棟あったため、全社利益も2桁の伸びを確保しました。一方、派遣事業については受注は増加したものの、原価となる人件費の増加でほぼ横ばいとなり、前期途中まで連結子会社だったパルマ(3461)のストレージ事業も引き続き堅調に推移したものの、同社が日本郵政と資本業務で“持分法落ち”しているため、利益寄与が減っており同社分のトップラインが通期でまるごと剥落しています。
進行期である2020年9月期の予算に関しては、一部非開示となっており、コンセンサス等から予想される売上高は約200億円、会社予想が開示されている経常利益については前期比17.3%増の40.0億円が見込まれています。主力の不動産事業においては、前期に前年を30億円分ほど上回る300億円相当(事業化ベースの金額;翌期分も含めると400億円相当)の仕入れを済ませており、開発型マンションに限らず、フィル・カンパニー(3267)開発の空中階店舗付商業物件であるフィルパーク表参道や、新宿・神楽坂を中心に複数のビルや商業物件を確保しています。出口についても不動産事業会社やファンド/REITなどの物色意欲が旺盛のため、結果的に今期も好採算の転売案件の伸長により特に利益面の一段増が見込まれます。
今期はローリング後の3年中計の中間年度となっており、最終年度の2021年9月期に経常利益50.0億円(CAGR20%)を目指しているため、数値的にはかなり野心的な目標となっています。ベースとなるのは既存の不動産販売事業の量的拡大によるオーガニック成長であり、これまでどおり東京エリアに特化した仕入と販売を軸とする方針です。ここ最近はかなり転売事業に収益が寄っていしまっているため、会社側では自己勘定で保有してストック型の賃料収入を増やす方針であり、賃貸マンションに限らずシニア施設や、ホテル、将来的な地上げを意図した種地の底地収入等を資産として持っていく意向もあるようですが、実態としては不動産市況の好況に支えられて棚卸資産のまま売却が進捗しているため、此方は大して積み上がっていないものとみられます。そのため、本中計目標の経常利益50億円自体は既に射程に入ってきているものの、フロー収入依存型となっており、その辺のリスクが織り込まれて株価的にディスカウントされているものと思われます。
また当社は基本的にマンデベですので、財務面が懸案事項となりますが、2015年にPOで18.7億円を調達、2017年にSMBC日興証券を相手先とするMSワラントで15.7億円を調達、また2018年にも日興相手にMSワラント24億円を調達しています。度重なるMSワラントで3割程の希薄化が生じていますが、会社側の目論見通りの資金調達が出来ています。ただその分、自己資本比率は50%を超える異常に高い水準をキープ出来ているため、中計の遂行に当たっての財務原資は十分すぎる水準で確保されていると考えています。
なお株主還元については、今期も配当性向40%を基準に、1円増配となる年28円を予想しています。実績期には別途6.7億円(4.0%弱)の自社株買いを実行しているため、計算上の総還元性向は実に約73%にのぼります。新中計に照らせば来期の配当は45円まで成長するストーリーとなっていますが、足許の自社株買い実行でEPSも切り上がるため、今期の配当予想は業績のビジビリティが上昇する期末にかけて増額されるものとみており、最終的な今期配当のできあがりは「32円+α円」水準を予想しています。
*参考記事① 2019-01-22 452円 OP
パルマ持分法落ちも、MSワラント完全行使で財務良化著しい。ディア・ライフ(3245)。
*参考記事② 2017-12-28 689円 OP
子会社パルマの飛躍で、ローリング中計も走破圏。ディア・ライフ(3245)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。