懸案の海外は復調気配、追加の自社株買いに期待・積水ハウス(1928)。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_8128.jpg

【1928】積水ハウス(東証1部) NT

現在値 2,390円/100株 PER11.8 PBR1.34 1月配当株主優待 7月配当

鉄骨主力の住宅首位。リフォームや保育園など非住宅事業も展開。海外育成中。
配当は1月末・7月末の年2回合計81円配当のため、配当利回りは約3.39%となります。

積水ハウスは株主優待制度を実施しており、1,000株以上を保有する1月の株主に対して、魚沼産コシヒカリ5㎏を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.51%となります。(※同利回りは1,000株保有時。5㎏=3,000円、と仮定した場合における想定の利回り)

業績を確認していきます。
■2016年1月期 売上高 18,588億円、営業利益 1,496億円 EPS 120円

■2017年1月期 売上高 20,269億円、営業利益 1,841億円 EPS 175円

■2018年1月期 売上高 21,850億円、営業利益 1,955億円 EPS 193円 

■2019年1月期 売上高 21,603億円、営業利益 1,892億円 EPS 186円

■2020年1月期 売上高 23,670億円、営業利益 2,050億円 EPS 201円 ce
□2019年7月2Q 売上高 12,078億円、営業利益 1,113億円 EPS 112円 

□2019年10月3Q 売上高 17,352億円、営業利益 1,549億円 EPS 170円(12/6)


2019年7月中間期の売上高は前年同期比20.5%増の12,078億円、営業利益は同43.7%増の1,130億円となり、期初予算との比較はないものの、トップラインから2割を超える増収を確保してコンセンサスを超過しました。請負型における戸建事業がZEH等の高付加価値住宅の販売推進や、政府による住宅取得支援策(消費増税の反動対策)もあって受注が順調に推移し、賃貸事業が大型化による工期遅れでやや弱含んだものの、それを飲み込んで2桁のセグメント増益となりました。また、国際事業についても米国賃貸住宅6棟を中国系の投資家に売却したほか、開発事業についても本年6月に傘下REITが400億円級のグローバル・オファリングでPOを実行し、当社が赤坂ガーデンシティ(の一部)287億円や、本町南ガーデンシティ(の一部)を209億円で拠出したことなどにより、今期予定していた投資家分譲益の殆どを集中的に計上したことで、上期の数字が非常に強く出る格好となりました。


なお2020年1月期の通期予算については期初のものを据え置いており、売上高が前期比9.6%増の23,670億円、営業利益は同8.3%増の2,050億円を予想しています。請負型の戸建、賃貸両事業ともに消費増税の影響を受け、3月までの駆け込み受注残を食ってしまっているものの、想定水準で踏みとどまっているものとみられるほか、上期に出遅れた賃貸事業が三大都市圏にフォーカスした営業により足許でも確りと受注を確保しています。また、マリオットとの協業により、全国の「道の駅」の隣で宿泊特化型ホテルの開業を推進しており、今期分だけで合計15施設の受注が既に確定していることから、堅調なセグメント業績が期待されます。また、国際事業については米国賃貸住宅残り一棟の投資家分譲が計上されるほか、開発事業については既述のとおり今期の計上がほぼ終わっているため、全社トータルでは予算達成圏あるいはやや上振れが見込まれます。


今期は第4次中計(3ヵ年)の最終年度となっており、当初は売上高23,830億円(CAGR5%)、営業利益2,300億円(CAGR8%)を計画していましたが、期初予算を達成してもこの水準には届かないため、事実上断念した格好となっています。本中計では従来型ビジネスである戸建住宅や、賃貸住宅をほぼ横ばい+α、程度で見込んでいたものの実際は減少してしまったほか、約8,000億円とも推定されるエクスポージャーを有する海外事業についても、米国の賃貸一棟売りが遅延したほかや、中国のマンション事業(蘇州・太倉など)が低調に推移したことが主な要因と考えられます。

 

その一方、2018年5月に傘下のREIT2法人を合併させて、資産規模4,000億円超の総合型REITに纏め上げたため、今後の開発事業の出口として少なからぬ貢献が期待されるほか、本年10月には中堅ゼネコンの鴻池組を連結子会社化したため、巡航化する2021年1月期にはおよそ150億円程度の営業利益寄与が見込まれます。また、足許では中国事業がかなり回復してきているとの観測もあり、現中計はほぼ確実に未達に終わる公算が高いものの、来年3月の本決算発表時に発表されるであろう新中計はそれなりに期待出来るものと考えています。

 

なお、財務面については引き続き余裕のある状況であり、自己資本比率は46%程の水準をキープしています。会社側は配当性向40%を公約として掲げており、今期も2円増配の81円配当を予想しているほか、ROE基準として10%を設定し、今期は10.8%→11.3%まで引き上げる計画としています。かような資本政策意向もあって、中間決算発表時に100億円の自社株買い(0.73%)を公表しており、即座に枠いっぱいまで買い切っています。当社は政策保有株式を減らしてきているほか、新中計期間は海外事業の投資回収も進むとみられるため、今後は更に踏み込んだ自社株買いなどが投資論点になろうかと思います。

 

*参考記事① 2019-06-07 1,758円 OP

傘下REITが無事にPOローンチ、鴻池組も連結化へ・積水ハウス(1928)。

 

*参考記事② 2018-12-11 1,634円 OP

賃貸住宅鈍く中計達成は困難だが、高還元路線に陰りなしか・積水ハウス(1928)。

 

 

会社四季報 2020年1集新春号 

新品価格
¥2,300から
(2019/12/8 15:29時点)

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村