順調な拡大続くが、リスク志向も鮮明に・バルニバービ(3418)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3418】バルニバービ(東証マザーズ)  NT

現在値 1,184円/100株 PER24.8 PBR3.55 7月配当優待 1月配当優待

カフェ・レストランを直営展開。水辺・公園・公共施設など出店独自色。
配当金は1月末・7月末の合計7.5円配当のため、配当利回りは0.63%となります。

バルニバービは株主優待制度を実施しており、1月末・7月末に単元株を保有する株主に対して1,000円分の優待券を進呈していますので、配当優待利回りは約2.32%となります。なおこの他に長期優遇制度として、店舗での割引や限定のイベントに参加出来るメンバーシップ制度が用意されています。

業績は下記の通りとなっております。
■2016年7月期 売上高 84.6億円、経常利益 5.8億円 EPS 44.3円 
■2017年7月期 売上高 98.2億円、経常利益 6.2億円 EPS 46.0円 

■2018年7月期 売上高 111億円、経常利益 4.2億円 EPS 26.4円 

■2019年7月期 売上高 115億円、経常利益 5.0億円 EPS 35.1円 

■2020年7月期 売上高 128億円、経常利益 6.3億円 EPS 47.7円 ce
□2020年1月中 売上高 62.0億円、経常利益 2.5億円 EPS 19.8円 ce

2019年7月期の売上高は前期比2.9%増の115億円、経常利益は同18.6%増の5.0億円となり、売上高は予算に届かなかったものの、利益は逆に上振れして着地しました。なお、前期は一時的に子会社化していたリアルテイスト社の売上高約6億円がオンされていたことを考慮すると、実力ベースでは前期比8.6%の増収となっており、天候不順による客数減や開業スケジュール遅延による減収要因を出店による上乗せ効果で打ち消した格好となります。上期の天王洲「RIDE」、青山「否否三杯」、日本橋サロン3業態にくわえ、土浦「STATION LOBBY」、なんばパークス「TableNice」、千駄ヶ谷「GOOD MORNING CAFE」など合計9店舗(純増8店)の出店を果たしています。


進行期である2020年7月期の通期予算については、売上高が11.2%増となる128億円、経常利益は24.8%増となる6.3億円を予想しています。今期は純増ベースで10店前後の出店を計画しており、8月には野村不動産の誘致で日の出ふ頭に「BESIDE SEASIDE」を出店したほか、9月に新装開業した大丸心斎橋店(本館)からの誘致で「TUFFE TERRACE EAT」の出店を済ませています。

このほか、10月の横浜ハンマーヘッドや、翌年4月の大津公園駅前など合計7店が既に名有りとなっています。ただ予算前提となる既存店売上高については非開示であるものの、おそらく前年超過想定とみられる一方、足許の台風影響や消費増税によるセンチメント悪化などの織り込みが弱いと考えられるため、2桁の増収増益予算はやや過大感もあります。

 

当社は中期的な業績の定量目標を開示していないものの、出店に関してはバッドロケーションを中心に数多の物件情報が入ってくるほか、大手デベロッパーからも好立地・好条件(安い家賃で路面店や目抜き区画を賃借)での誘致を受けられているため、物件の確保については当面陰りなく進むものと考えています。ネックとなるのは、出店ピッチが相当速いため人材育成が追いついていない可能性があり、会社側は分社化による連邦経営を標榜することで、子会社社長兼店長を量産化させ、これら子会社社長の“一国一城”的なモチベーションに大きく依存した経営をしているため、独立志向の強い社員を現行の給料水準(※業界でも安い方とみられる)で十分に確保出来ない場合、出店が進められないリスクがあります。

 

また、案件自体もリスキーなものが目立つようになってきており、本年4月に人材派遣大手のパソナと合弁会社を設立し、淡路島の中でも未開拓エリアとされる西浦地区で「GARB COSTA ORANGE」を開業したり、同じく4月に開業した土浦駅ビルの「STATION LOBBY」も駅上ではあるものの、400坪の大箱で料理教室やヨガレッスン、アート展示などを行う異種複合業態となっており、当たりハズレが大きくなっている点が特徴と言えます。会社側はこうした物件を一部オンバランスで保有し、最終的には地上げして分譲したりという皮算用もしているようですが、相応の減損リスクを孕むため、業績貢献のビジビリティはかなり低いものと考えています。

 

配当については4年連続の年7.5円配を据え置く予定となっています。これは依然として高水準の新規出店が続くことにより、内装・保証金等の出店関連費用が嵩むと考えられるほか、既述のとおり店舗物件(と地上げして分譲するための周辺の土地)のオンバランス化のための資金需要があるとみられるため、増益基調であっても株主還元を据え置くのは妥当と考えています。

 

*参考記事① 2019-06-06 1,214円 NT

ビル内出店順調で天候リスクも徐々に低減へ、バルニバービ(3418)。

 

*参考記事② 2018-12-07 998円*分割修正後 NT

好立地出店順調だが、分社化経営はリスクも孕む・バルニバービ(3418)。

 

 

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