【8963】インヴィンシブル投資法人(東証REIT) OP
現在値 65,300円/1株 PER19.3 PBR1.58 6月分配優待 12月分配優待
フォートレスを主スポンサーとする総合型リート。ホテルが8割、住宅が2割。
予想分配金は年2回・合計3,381円配のため、分配金利回りは約5.17%となります。
インヴィンシブル投資法人は投資主優待制度を導入しており、6末・12末の投資主に対して、当法人保有ホテルと一部のパイプライン物件のホテル宿泊について、ベスト・アベイラブル・レートから10%割引で予約が出来るサイトのコードを進呈しています。(※10単元以上を保有する投資主が対象、複数回の使用が可能)
業績を確認していきます。
■2017年12月期 営業収益 126.4億円、経常利益 73.0億円 DPU 1,564円
■2018年06月期 営業収益 131.0億円、経常利益 77.2億円 DPU 1,430円
■2018年12月期 営業収益 144.5億円、経常利益 83.8億円 DPU 1,683円
■2019年06月期 営業収益 273.3億円、経常利益 212.4億円 DPU 1,656円
■2019年12月期 営業収益 180.4億円、経常利益 107.0億円 DPU 1,725円 ce
2019年6月期の営業収益は、273.3億円(予算:149.2億円)、経常利益は212.4億円(予算:88.9億円)と大幅な増収増益での着地となりました。分配金についても予想の1,582円から1,656円と74円の増配となったほか、季節要因が排除出来る前年同期との比較では226円の大幅増配となり、期初に見込んでいた利益超過分配/OPDの16円についても圧縮・留保しました。飛躍的に業績が増額したのは、6月に南千住のタワーマンションを277億円で、恵比寿の一棟物件を122億円で其々売却したことにより、合計111億円の譲渡益を顕在化させたことが主な要因となります。通常の物件運営については、国内ホテルRevPARの予算前提を前年同期比+2.8%で見込んでいたところ、実績+2.5%とまずまずの水準での着地となり、賃貸住宅についても入替時・更新時の賃料増額交渉が順調に推移し、入替・更新を合わせた44%のテナントに対して、平均で1.8%の賃料増額を実現し、交渉成功率は下落したものの、年ベースでの賃料増額幅は増加しました。
進行期である2019年12月期の予算は、営業収益が前の期比34.0%減の180.4億円、経常利益は同49.6%減の107億円と大幅な減収減益なります。ホテル歩合の多い当法人は、夏場を含む12月期に数字が偏重することが期待されるものの、物件売却の剥落影響が非常に大きい格好となります。なお、7月にPO(※後述)を発表しており、その物件取得による影響が期初予算には既に織り込まれています。減収減益となる一方、分配金については1,656→1,725円(+69円、OPDなし)と繁忙期効果とPO影響で増配となる見通しです。予算の前提となる今期6ヵ月の国内ホテルRevPARについては、POの取得物件を反映させた上で前年同期比+1.6%(通年+2.6%)を見込んでいますが、既に開示されている10月までのホテルRevPAR(既存物件のみ)は4ヵ月累計で同▲4.6%で進捗しているため、新規物件やケイマン・住宅が未考慮としても、計画比ビハインドとみられます。
当法人は本年7月のPOにて約244億円(@56,939円)をグローバルオファリングで調達し、マイステイズシリーズを中心に18物件を総額826億円、鑑定NOI利回り5.6%&償却後利回り4.0%で取得しています。取得したのは北海道の物件が多く、最大の物件が札幌駅北のアスペン(155億円)であり、このほか小樽ソニア(59億円)、ノルド小樽(43億円)、アートホテル旭川(31億円)など北海道だけで計8物件を取得しています。道外ではアートホテル石垣島(97億円)、富士吉田展望温泉(94億円)等が比較的大きな物件となっています。富士吉田などを除き、全体的に築年数の古く、償却後の利回りも低くなっていますが、本件POの前に先述の大型物件の売却益111億円を内部留保しており、エクイティ調達額を抑えたほか、P/NAV1.1倍水準でのPOによるプレミアム効果の発現により、PO後で+2.9%程の予想DPUの引き上げに成功しています。
また当法人では中計を公表しており、6月期・12月期を合算した年間のDPUを2018年の3,113円から、2022年には3,700円までに引き上げる計画をしています。本中計では外部取得を織り込んでおらず、内部成長でこれだけの成長を達成させるという大変野心的なものになっています。成長ドライバーとして、ケイマンの空港の拡張効果と、ウェスティンの増築(巡航NOI15.2%)が計画されているほか、今回の大型売却で内部留保を111億円(1,945円/口)新たに積み上げたこともあり、最悪その内部留保を取り崩すことで、向こう8年間の年間DPU下限3,400円を達成させる計画のため、年3,500円位であれば普通に配当可能な水準とみられます。また、これ以外に減価償却費の一部吐き出しによるOPDも意図しているほか、POによる外部成長も期待できる株価水準(P/NAV)となっているため、まだスポンサーパイプラインに残っている「リーガロイヤルホテル京都」等の取得も期待されます。現状のLTVは推定53%と高止まりしているとみられることから、株価の高い今のうちに玉を集めてもう一発POを整えられるかどうかが今後の注目点となりそうです。
*参考記事① 2019-04-12 53,900円 OP
ケイマンの導管性要件はクリアとなる公算・インヴィンシブル投資法人(8963)。
*参考記事② 2018-11-19 46,150円 OP
NAV割れで大型POを強行、パイプラインは豊富だが・・・インヴィンシブル投資法人(8963)。
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