スシロー営業支援等の業容拡大で、飛躍的成長が続く・アバント(3836)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3836】アバント(東証一部) OP

現在値 2,029円/100株 PER28.1 PBR6.3  6月配当 株主優待なし

連結経営・会計システムのパッケージソフト開発、ライセンス販売など。
配当金は6月末の年1回18円で、配当利回りは約0.89%となります。


アバントは株主優待制度を導入しておりませんが、去る2017年の6月末と12月末には創業20周年記念・東証2部指定の記念としてVISAギフトカード1,000円分の進呈がありました。

業績を確認していきます。 
■2016年6月期 売上高 96.0億円、営業利益 11.0億円 EPS 35.2円 
■2017年6月期 売上高 105億円、営業利益 13.0億円 EPS 35.3円 

■2018年6月期 売上高 121億円、営業利益 16.3億円 EPS 56.5円 

■2019年6月期 売上高 140億円、営業利益 19.6億円 EPS 70.1円 

■2020年6月期 売上高 154億円、営業利益 21.6億円 EPS 72.0円 ce

□2019年9月1Q 売上高  37.1億円、営業利益 5.1億円 EPS 17.7円(10/31)
□2019年12月2Q 売上高 73.4億円、営業利益 11.0億円 EPS 35.7円 四e

2019年6月期の売上高は前期比16.2%増の140億円、営業利益は同20.8%増の19.6億円となり、期初計画を上回って着地しました。「DivaSystem」を中心とする主力の連結会計事業については、前期に受注した大型案件の本稼働が翌期以降となることによる経費先行となったものの、年初時点で累計契約先が1,000社を突破したほか、プロセス改善の奏功で利益率が改善しました。また、運用コンサルのビジネス・インテリジェンス(BI)事業でも大型案件を受注するとともに、決算業務の外部対応であるアウトソーシング(OS)事業も全社増収に引きずられる形で大幅増となり、3セグメント全てで2桁を超の増収増益となりました。なお、重要KPIである人員数については132の人員増(806→938人)となり、計画超の採用になったとみられるものの、力強いトップライン成長で打ち返して吸収した格好となります。


進行期である2020年6月期の予算については売上高が10.1%増の154億円、営業利益は同10.1%増の21.6億円と2桁の増収増益の継続を予想しています。期初時点の受注残高については、大型案件が剥落する連結会計事業のみ前年同期比で若干減らしているものの、BI事業、OS事業については同2割増の受注残を積み上げているため、会社側の(ギリギリ)2桁幅の増収増益ガイダンスは問題なく維持されるものとみています。実際、10月末に既に開示されている1Qによれば、BI事業においてストック型ではない一時売上が多かった影響があるものの、売上高は前年同期比16.8%増、営業利益は同35.3%と破竹のペースで進捗しているような状況です。

 

今期は2023年6月期を最終年度とする中計の2年度目となっており、5年後に売上高を121億円から180~220億円へ、営業利益を16億円から31~38億円へ、それぞれ引き上げる計画となっています。またこれら業績の定量値以外にも、売上高成長率と営業利益成長率の合計値であるGPPをKPIとして採用しており、売上(利益)が伸びない場合でも利益(売上)の伸びを確保する方針で、このターゲット水準を40%という極めて高い目標に据えており、水準感としては東証上場企業上位5%に入るレベルでの成長スピードを志向しています。併せて、“売り切り”ではないストック型の売上高比率を、従来の33%水準から70%まで高めていく方針としています。

 

基本方針としては顧客拡大や、周辺商材の拡大といったオーガニックなものから、BI事業において事実上のSIer的な役割を担うジール社のストックモデルへの転換(コンサル型→保守サービス型)、およびこれら主要2事業のトップライン成長に付随して伸びるOS事業の成長がメインとなりますが、昨今では回転寿司事業を営むスシローの営業システム構築なども手掛けだしており、これまでのバック~ミドル領域から、フロント領域にまで事業ドメインを拡大させています。ただこうした内部成長だけでは、中計に掲げるGP40%という目標は到底達成不可能であるため、非連続の成長を実現するため、豊富な自己資金(無借金)を活かしたMAを活用してくるものとみられます。

 

株主還元については、業績成長にともない増配ペース拡大させています。配当の推移は【4.5→5.5→8→12→15→18円(予】となっており、これは20%もの高額な奨励金を支払って従業員にガンガン自社株を購入させ、持株会が1割弱の株を保有しているような背景がその理由にあります。近年の当社は湯水のごとく採用しており、この繋ぎ止めのために持株会をフル活用しており、昨今の株価上昇にともなって売っている社員が多いとみられるものの、会社側は更に増配して保有の継続(雇用の継続)を促してくるものと考えられます。ちなみに、10年長計では2027年6月期に配当10倍(分割考慮後80円)を目標としています。

 

*参考記事① 2019-09-29 2,027円 OP

大量採用によるコスト増を打ち返し、今期も気配絶好・アバント(3836)。

 

*参考記事② 2018-04-16 911円 OP

野心的すぎる10年長計はともかく、会社側は株価意識か・アバント(3836)。

 

 

会社四季報 2019年4集秋号 [雑誌]

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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