大量採用によるコスト増を打ち返し、今期も気配絶好・アバント(3836)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3836】アバント(東証一部) ---

現在値 1,324円/100株 PER23.0 PBR45.16  6月配当 株主優待なし

連結経営・会計システムのパッケージソフト開発、ライセンス販売など。
配当金は6月末の年1回15円で、配当利回りは約1.13%となります。


アバントは株主優待制度を導入しておりませんが、2017年の6月と12月ついては、創業20

周年記念・東証2部指定の記念としてVISAギフトカード1,000円分の進呈がありました。

業績を確認していきます。 
■2015年6月期 売上高 89.2億円、営業利益 8.0億円 EPS 21.4円    
■2016年6月期 売上高 96.0億円、営業利益 11.0億円 EPS 35.2円 
■2017年6月期 売上高 105億円、営業利益 13.0億円 EPS 35.3円 

■2018年6月期 売上高 121億円、営業利益 16.3億円 EPS 56.5円 

■2019年6月期 売上高 135億円、営業利益 16.5億円 EPS 57.4円 ce

□2018年9月1Q 売上高  31.8億円、営業利益 3.8億円 EPS 12.6円(10/31)
□2018年12月2Q 売上高 64.0億円、営業利益 7.2億円 EPS 23.4 四e

2018年6月期の売上高は前期比15.0%増の121億円、営業利益は同24.7%増の16.3億円

なり、期初計画を大幅に上回りました。「DivaSystem」の導入を中心とする、主力の連結

会計事業をはじめ、運用コンサルのビジネス・インテリジェンス(BI)事業、決算業務の外部

対応であるアウトソーシング(OS)事業の3セグメント全てが好調に推移したことが主な増収

要因であり、全社で100人近い人員増加(709→806人)があったことによる大幅なコスト増を

打ち返して、減益予想の期初予算から一転して、前期比で2割超の大増益となりました。


進行期である2019年6月期の予算については売上高が12.1%増の135億円、営業利益は

1.4%増の16.5億円と2桁増収を予想しております。期初時点の連結会計事業、BI事業、OS

事業の受注残高は、全てのセグメントにおいて前年同期の2割以上の受注を積み上げてい

るため、2桁の増収モメンタムはほぼ確実に維持される公算です。然しながら、今期は更に

従業員を100名程増やす見込みであり、追加で人件費とオフィス賃料の増加が見込まれる

ため、利益の予算については横引きとなっています。一応今期は2013年に買収したジール

社ののれん代(年1.1億円)の償却負担が通期で消えるほか、去る10月末に開示済の1Qの

決算も極めて好調に推移しているため、早くも通期業績が上振れる可能性が高そうです。


本来今期はローリングした3年中計の中間年度の位置付けであり、2020年6月期に売上高

134億円(CAGR8.4%)・営業利益16.2億円(CAGR7.6%)を目指していましたが、利益の予算に

関しては、事実上2年前倒しで達成したため、9月時点で早々にローリングをかけています。

今回中計は5年となっており、売上高を121億円から180~220億円へ、営業利益を16億円

から31~38億円へと、それぞれ引き上げる計画となっています。方針としては顧客拡大や、

周辺商材の拡大といったオーガニックなものから、BI事業において事実上のSIer的な役割

を担っているジール社のストックモデルへの転換(コンサル型→保守サービス型)、急成長

するOS事業による受注拡大により、これまでと異なる等比級数的な成長を狙う計画です。

 

また既に公表済みの10年長計では、10年後の2027年6月期に営業利益68.3億円(CAGR

18%)という極めて野心的な定量目標を掲げているほか、配当10倍(年間80円)の目標を

掲げています。この長計は今期で2年目に入ったものの、会社側は依然この“画餅的な”

目標を堅持しており、実際に足許の中計も前倒で進捗させているような状況であるため、

この会社側の長計を支持することとしたいと考えています。

 

これまでの当社は消極的IRの姿勢から、株価の低位安定志向があるとみられましたが、

東証一部への市場変更や、株主数要件確保のための記念優待実施にくわえ、個人投資

家向けの地方IRなど、IR取組姿勢が一変しており、“投資家コンシャス”になっています。

 

また株主還元についても、配当の増配ペースが急ピッチ【4.5→5.5→8→12→15円(予】

になっていることからも明らかですが、この高還元の背景には、既に持分で10%を超える

従業員持株会の存在が大きいと思われます。昨今の当社は、人材を確保出来れば受注

が取れるような状況のため、大量採用を継続しており、社員の士気向上と定着率の向上

のために、従業員持株会をフル活用しているフシがあります。実際、20%もの高額奨励金

を支払って、従業員にガンガン株を買わせているので、株価は上がった方が良く、配当も

高い方が良いので、意識的な株価対策が採られる可能性は低くないと考えています。

 

*参考記事① 2018-04-16 911円 ---

野心的すぎる10年長計はともかく、会社側は株価意識か・アバント(3836)。

 

*参考記事② 2017-10-19 947円 *2分割修正済 ---

10年で営業益CAGR18%・配当10倍の大目標、アバント(3836)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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