本業外での拡大意向が強く、中計目標に過大感・サツドラHD(3544)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3544】サツドラホールディングス (東証一部)  OP

現在値 1,749円/100株 PER80.3  PBR1.00 5月配当株主優待 

北海道地盤のドラッグストア。道内2位、食品・日用品強い。

配当は5月末一括の28円配予想のため、配当利回りは1.60%となります。

サツドラホールディングスは株主優待制度を導入しており、5月15日時点で単元株を保有

する株主対して、1,500円分のカタログギフトを進呈していますので、優待利回りは約2.45%

となります(このほか3単元・15単元・30単元で優待進呈額の拡充あり)

業績を確認をしていきます。
■2017年5月期 売上高 878億円 経常利益 13.3億円 EPS 154.2円 変則

■2018年5月期 売上高 784億円 経常利益 7.7億円 EPS 32.5円 

■2019年5月期 売上高 846億円 経常利益 4.4億円 EPS 6.4円 

■2020年5月期 売上高 920億円 経常利益 4.0億円 EPS 21.7円 ce

□2019年8月1Q 売上高 227億円 経常利益▲0.1億円 EPS▲18.7円 (9/20)
□2019年11月2Q 売上高 420億円 経常利益 2.7億円 EPS 10.9円 四e

2019年5月期の売上高は前期比7.9%増の846億円、経常利益は同42.1%減の4.4億円で着

地し、期初予算を下回りました。主力のサッポロドラッグストアー(Sds)については、道内で

の積極出店により純増16店舗となり、これら新店が増収ドライバーとして寄与したものの、

北海道胆振東部地震の影響によるインバウンド需要の減少や、商品・店舗設備の損失発

生により、特に利益面で大きく凹む格好となりました。内訳としては、Sdsのドラッグストア

店舗については、生鮮食品の展開やEDLP戦略の奏功により、既存店売上高は103.2%と

比較的堅調に推移したものの、インバウンド向け店舗の同売上高は94.4%に沈みました。

 

進行期である2020年5月期の予算については、売上高が8.7%増となる920億円、経常利益

は10.9%減の4.0億円を計画しており、増収基調を継続するものの、利益については連続で

減益となる見通しです。主力のSdsについては、引き続き積極的出店を続ける意向であり、

実績期を超える20店を出店する計画(純増17店)となっているほか、既存店売上高につい

ても102.6%水準を予算前提としています。それにもかかわらず減益予想となっているのは、

IT等投資(SaaS事業への先行投資)による人件費の増加や、積極出店による不動産費用

の増加にくわえ、電力契約の見直し等がマイナス寄与し、利益が圧迫される見通しです。


当社は持株会社化した2017年より、2021年5月期を最終年度とする5年中計を開始させて

おり、変則決算を含むため単純比較は出来ないものの、売上高を627→1000億円(CAGR

10%)、経常利益は10.1→30億円(CAGR24%)を業績目標として掲げています。具体的な取

組みとしては、主力のSdsや調剤薬局を始めとしたCIの一新(店ロゴ・MD・フォーマットの

変更)、インバウンド対応店舗の道外および海外展開にくわえ、既に代理店になっている

微信(WeChat)やアリペイ等を用いたマルチ決済サービス(アプリ)の加盟店開拓と、自社

のハウスポイントカードである「EZOCA」の加盟店及び会員獲得が戦略の柱となります。

 

当社の成長戦略は同業者の買収により成長を目指すドラッグストア他社とは一線を画して

おり、会員数180万人・店舗数700店を囲っている「EZOCA」を軸に、道内における複合的

なマーケティングを展開していく計画です。ここ数年は2桁幅で伸びてきた会員増加数は、

足許で年率9%水準に落ち込んでいるものの、既に道内の世帯普及率は57%を誇り、道民

の3人に1人が保有するカードにまで成長しています。今後は既述のマルチ決済サービス

(アプリ)と絡め、自社店舗以外の道内(外)の小売店決済にアクワイアラ的に関与していく

ことで、道内地場小売業のプラットフォームとなることを志向しています。

 

但し、このポイントカード/決済絡みの一連の取り組みは収益化になお時間を要するもの

とみられ、本中計の基本シナリオは食品店舗を含めた積極出店と、インバウンド展開に

よるオーガニック成長が軸と考えられます。また、行き過ぎた地域志向から事業ウイング

を広げ過ぎている印象は根強く、本業の強化にかけるリソースが希薄化している状況で

あるため、中計の業績目標値にはかなりの過大感があり、未達の可能性が高そうです。

 

当社は2015年末にPOで約20億円(@2,740円)を調達していますが、当時の公募価格水準

を回復出来ておらず、財務状況も当時のレベルからあまり変わっていないこともあってか、

株主還元については横ばい状態が続いており、今期も28円配の据置を予想しています。

 

*参考記事① 2018-10-22 1,998円 OP

地域ポイントカード「EZOCA」会員が順調増、サツドラホールディングス(3544)。

 

*参考記事② 2017-10-06 2,017円 OP

地場ドラッグからの飛躍を狙う、サツドラホールディングス(3544)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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