仕入難化で会社姿勢が急速に保守化・ファーストコーポレーション(1430)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1430】ファーストコーポレーション(東証1部) OP

現在値 638円/100株 PER9.6 PBR1.57 5月配当 11月株主優待

一都三県で分譲マンション建設。用地仕入から建築までの一貫体制に強み。
配当金は5月末一括の20円配当のため、配当利回りは3.13%となります。

 

ファーストコーポレーションは株主優待制度を実施しており、11月末の単元保有株主に

1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.70%となります。

業績を確認していきます。
■2016年5月期 売上高 162億円、経常利益 15.1億円、EPS 88.5円  
■2017年5月期 売上高 209億円、経常利益 20.1億円、EPS 112.8円  

■2018年5月期 売上高 208億円、経常利益 22.3億円、EPS 117.6円  

■2019年5月期 売上高 190億円、経常利益 18.7億円、EPS 95.6円  

■2020年5月期 売上高 200億円、経常利益 12.4億円、EPS 65.6円ce 

□2019年8月1Q売上高 30.3億円、経常利益 0.8億円、EPS 4.1円(10/10) 

□2019年11月2Q売上高 75.9億円、経常利益 3.9億円、EPS 20.2円 
 

2019年5月期の売上高は前期比8.7%減の190億円、経常利益は同16.1%減の18.7億円と

なり、2Q前に開示した減額後修正予算を更に下回って、2桁減益での着地となりました。

受注高については当初、前期比41%増の256億円を目標としていましたが、期中にこれを

164億円まで見込みを引き下げましたが、落着では130億円程に留まりました。ここ数年

は用地仕入において他社のホテル用地向けとの競合が過熱していますが、依然として

地価の高止まり傾向は根強く、強気な売主が売り急がないため、交渉が長期化したり、

他決してしまっているケースが多い模様です。造注方式の素地売買では、北区(680坪)

や八王子市(1,600坪)の売却があったほか、分譲についてもNTT都市・安田不動産JVで

ある早稲田(186戸)や、5月竣工で阪急阪神不動産JVの柏の葉C(226戸)等の計上が

あったものの、値引等もあったことから、造注・分譲ともに振るわない結果となりました。

進行期である2020年5月期の予算については、売上高が5.2%増の200億円、経常利益は

同32.6%減の12.6億円と大幅な減益継続を予想しています。既述のとおり、実績期の受注

が振るわなかったため、期初時点の受注残高は1年で205億円→178億円へと減少してし

まっていることが主な要因となります。予算上増収減益の組み立てとなるのは、工事と素

地売買により“両取り”が出来る採算性の高い造注方式案件が低調なことが要因であり、

単なる一般請負工事や素地売買案件が膨らむ見通しのため、トップラインだけは伸びる

格好となります。なお今期の分譲案件はダイヤモンド地所とJVの若葉台(シニア104戸)、

日土地・セコムHL等JVの横須賀中央(212戸)等が中心となります。


当社は中計をローリング方式で公表しており、3年後の2022年5月期に売上高247億円、

経常利益17.1億円を計画しています。当社の中計は毎回未達・減額ロールがデフォルト

“気合予算”的な位置付けとなってしまっていたものの、今回のローリングについては、

3年経っても減益という“相当しゃがんだ”保守的な数値設定へと変わっており、会社側の

姿勢からはかなりの反省の色がみられます。向こう3年間の成長施策としては、高採算の

造注方式のさらなる推進(シニア向けの拡大、用地仕入中途採用強化、JV案件の強化)

を軸とするほか、九州エリアへの進出やリノベーション事業への参入を予定しています。

 

本中計で目玉となるのはJR前橋駅北口再開発事業への参画であり、高崎駅のタワマン

でも実績のある大手デべの東京建物(8804)と共同で26階建てのシニア向けを中心とした

共同住宅の事業主体となります。地権者は前橋市、群馬県警、日本通運、個人の4者と

なっており、当社と東建は建築により保留床を取得するスキームとなります。本案件自体

は竣工が2022年度予定となっているため、中計期間には数字が乗ってこない可能性が

高いものの、(一応)県庁所在地駅前での大手デべとJVでのタワマンの実績は、まだまだ

プレゼンスの低い当社にとってはトロフィー案件となることが見込まれ、数字以上に定性

的な効果が期待出来るかと思います。

 

ということで、向こう3年は数字的な見所は殆どないものの、計画値自体は保守的なので、

達成可能圏にあると考えています。なお、今回の中計ローリングでは財務面にまで踏み

込んでおり、自己資本比率50%キープをその目安としています。ただ足許の数字は51.9%

と既に超過しているような状況であり、財務改善を理由に今期の予想配当を18円減配の

年20円まで削ってしまったのは最早やりすぎとも言えるレベルであり、配当性向30%基準

とはしているものの、会社側想定ペースよりは早く復元されてくるものと考えています。

※向こう3期の配当予想:【今期20円予→来期21円予→再来期27円予】

 

*参考記事① 2019-03-21  766円 OP

今期も未達見込みだが、財務基盤厚く高配当を維持・ファーストコーポレーション(1430)。

 

*参考記事② 2018-10-20 1,113円 OP

造注低調で中計値また先送りも、財務良化は進む・ファーストコーポレーション(1430)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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