【1430】ファーストコーポレーション(東証1部) ---
現在値 776円/100株 PER7.56 PBR1.94 5月配当 11月株主優待
一都三県で分譲マンション建設。用地仕入から建築までの一貫体制に強み。
配当金は5月末一括の38円配当のため、配当利回りは4.90%となります。
ファーストコーポレーションは株主優待制度を実施しており、11月末の単元保有株主に
1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約6.18%となります。
業績を確認していきます。
■2015年5月期 売上高 139億円、経常利益 7.4億円、EPS 48.6円
■2016年5月期 売上高 162億円、経常利益 15.1億円、EPS 88.5円
■2017年5月期 売上高 209億円、経常利益 20.1億円、EPS 112.8円
■2018年5月期 売上高 208億円、経常利益 22.3億円、EPS 117.6円
■2019年5月期 売上高 214億円、経常利益 19.8億円、EPS 102.7円 ce修正
□2018年11月中売上高 89.4億円、経常利益 9.3億円、EPS 48.2円(1/10)
2018年11月中間期の売上高は前年同期比12.4%減の89.4億円、経常利益は同8.8%減の
9.3億円となり、当初の増収増益予想から一転して、大幅な減収減益で着地となりました。
一部の工事案件において、工事着工の遅れにより引渡しが遅延したほか、不動産(用地)
販売についても成約高未達となりました。また、JV分譲案件についても、販売戸数の減少
や値引き販売の増加により予算未達となったため、工事分野・不動産(用地)・分譲の全て
のセグメントにおいて苦戦した格好となります。
なお、2019年5月期の通期予算については、中間決算開示前に減額しており、売上高が
前期比3.3%増の214億円(従予:250億円)、経常利益は同10.9%減の19.8億円(従予:23.9億
円)に修正しています。今期の受注高自体は、前期比41%増となる256億円を目標としてい
ましたが、これも164億円にまで見込みを引き下げています。ここ数年は用地の仕入面で
他社のホテル用地向けと競合していましたが、足許では鎮静化の兆しが見られるため、
仕入環境自体は最悪期を脱していますが、当社内部の取り組みとして、働き方改革の
推進と、施工キャパの温存を図っており、受注段階からしゃがんでいるような状況です。
ただ、高リスク・好採算の“造注方式”の割合を増やしており、昨年夏竣工のNTT都市・
安田不動産のJVである早稲田(186戸)や、5月竣工で阪急阪神不動産JVの柏の葉C
(226戸)等が計上される予定のため、経常利益は20億円程が確保される見通しです。
当社はローリング方式の中計を公表しており、3年後の2021年5月期に売上高318億円、
経常利益33.6億円を目指しています。ただ、当社中計は毎回減額ローリングが常であり、
既述のとおり足許の業績や、先々の業績を占う受注状況も芳しくない状況であるため、
今期初に公表したこの計画値は未達確実圏で、“気合予算”的な位置付けとなるため、
数値としては参考外となります。なお、会社側では今期の仕上がりを参考にした上で、
本計画をローリングすることを明らかにしているため、本年7月頃の開示が予想される
新中計の内容をまずは確認したいと考えています(数字はかなり弱くなるとみられる)。
そして中計の未達が確実な一方で、仕入が低調なことによる副産物的な効果として、
自己資本比率が1年前との比較で37.3%→42.9%へ、560bp.も飛躍的に良化しています。
そのため、株主還元も配当性向30%基準に則り、【8.75→26→37→38→38円(予】と、
維持してきた累進的な配当政策が維持される見通しであり、今期は下方にともなって
本来減額されるべき配当額も、予想の38円が維持される方針が既に示されています。
業績成長が望みにくくなったことによる株主還元の強化は、ある意味教科書的な方針
転換と言えなくもありませんが、足許の株価が2016年末の増資時点の株価(@864円)
を割り込んでいることも考慮すると、配当利回りで5%水準にも及ぶ目下の配当状況に
ついては、不動産会社の資本政策としてはどうかな?と思うところではあります。
*参考記事① 2018-10-20 1,113円 ---
造注低調で中計値また先送りも、財務良化は進む・ファーストコーポレーション(1430)。
*参考記事② 2017-01-14 905円 ---
足許順調も、減額後の中計は確度不透明・ファーストコーポレーション(1430)。
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