海外事業が想定超の苦戦、減損可能性も・パーク24(4666)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4666】パーク24(東証1部) NT

現在値 2,555円/100株 PER30.8 PBR4.49 10月配当優待 

24時間無人時間貸し駐車場タイムズを運営。英国・豪州などにも展開。
予想配当は年間合計70円のため、配当利回りは2.74%となります。

パーク24は株主優待を導入しており、単元株を保有する10末株主に2,000円分のパーキ

ングチケットを進呈していますので、配当優待利回りは約3.52%となります。

業績を確認をしていきます。
■2015年10月期 売上高 1,796億円 営業利益 185億円 EPS 79.5円
■2016年10月期 売上高 1,943億円 営業利益 214億円 EPS 95.8円
■2017年10月期 売上高 2,329億円 営業利益 205億円 EPS 91.6円 

■2018年10月期 売上高 2,985億円 営業利益 225億円 EPS 91.8円 

■2019年10月期 売上高 3,200億円 営業利益 226億円 EPS 82.6円 ce

□2019年4月2Q 売上高 1,541億円 営業利益 99.7億円 EPS 36.3円 

□2019年7月3Q 売上高 2,326億円 営業利益 146億円 EPS 50.4円(8/29)

2019年4月中間期の売上高は前年同期比8.1%増の1,541億円、営業利益は同7.5%増の

99.7億円となり、手堅く増収増益を確保したほか期初予算もクリアしました。主力の国内駐

車場は提案型営業や地域密着型営業が奏功し、運営台数は前年期比2.6%増の589,533台

へ増加したほか、モビリティ事業(レンタル・シェア)におけるシェア運営台数も同15.8%増の

25,010台まで順調に積み上げることに成功し、それに伴って平日・法人の利用が伸長した

結果、同セグメントは先行投資が依然重い状況にもかかわらず、8割強の増益を果たして

います。その一方、海外事業については、英National Car Parks(NCP)がガバナンス体制

や運営体制の再構築で販管費が嵩んだほか、豪Secure Parking(SP)についても失注に

よる件数減少により、のれん償却後の営業損失は拡大し、業績の足を引っ張りました。


なお2019年10月期の通期予算については期初のものを据え置いており、売上高が7.2%増

の3,200億円、営業利益は0.3%増の225億円を予想してます。国内駐車場事業については、

なお新規現場の拡大が継続する見通しであり、現場数ベースで6%ほどの純増を計画して

おり、これは概ね計画水準で推移しているものとみられます。モビリティ事業については、

まちまちとなっており、シェアは足許でも非常に好調に推移しているものの、レンタカーに

ついてはインバウンド需要伸び悩みや人件費の増加により低迷している状況です。また、

海外事業については、社内の体制整備に想定超の時間がかかっているため今期は大幅

なビハインドで落着する公算が高そうです。好調な国内駐車場とシェアで、不調の海外と

レンタカーをオフセットしきれるかどうかが通期予算達成のポイントとなりますが、3Q期間

に有楽町から五反田への本社移転による一時費用(約2.5億円)を計上していることもあり、
4Q期間で巻き返せるかどうかは微妙な情勢です。

 

当社は中長期的な業績目標を特に掲げていないものの、一応の目安として毎期2桁(年率

10%)を超える経常利益の継続的な成長を目指しています。その青写真の通り、注力中で

あるモビリティ事業については、先行投資の種蒔き状態が続いておりましたが、シェアの

利益は、主力の国内駐車場事業の利益の5分の1程度から、4分の1程度に迫るまで成長

を遂げており、今後の当社の収益柱となることが確実な情勢です。同じモビリティ事業でも

レンタカーが不調となっているものの、シェアとレンタカーの折衷サービスである「タイムズ

カー」を開発し、そのタイミングで値上げも実施しているため、採算性改善が見込まれます。

 

主力の国内駐車場事業についても、消費税改定に合わせて100円刻みの料金設定では

なく、10円刻みに変更していく方針であり、周辺相場に合わせた柔軟な価格設定が可能

となることから、前回増税時のようなマイナス影響は限定的に留まるとみられます。ただ、

海外事業に関しては、2017年に約190億円を投じて買収した豪SP社(の環太平洋の一部

事業と英国事業)と、同年8月に政投銀とのJVで約238億円を投じて買収した英国最大手

のNCP社が何れも未公開企業であったことから、上述のとおり想定を超えるガバナンス

不全に陥っている模様であり、システムの再構築や現場統一化などの追加コスト発生が

見込まれます。そのため、向こう数期は収益貢献が期待薄であることが明らかになって

おり、これら2社の600億円に及ぶのれん代の償却(20年)が年間▲30億円発生すること

を考慮すると、海外事業は相当の期間に渡って赤字が継続する見通しです。またこれら

2社(NPC社、SP社)の減損リスクも意識されてくるため、営業外ながら留意が必要です。

 

当社の株式市場でのバリュエーションは、依然として最善のシナリオで織り込んでおり、

高値からは調整したといえど足許でマルチプル30倍を超える株価には相応のプレミアム

が依然として付与されている状況です(のれん償却を補正しても26倍程あるとみられる)。

そのため、来期ガイダンスの如何で相応のダウンサイドリスクも孕んでいる状況である

ため、翻って今期の落着水準は非常に重要な分水嶺になるかと考えています。

 

*参考記事① 2019-03-05  2,705円 OP

モビリティ事業急改善で、今期会社予想は保守的・パーク24(4666)。

 

*参考記事② 2018-02-25 2,554円 OP

巨額買収でのれん代重く、増配もストップか?パーク24(4666)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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