【1383】ベルグアース(東証JQS) NT
現在値 2,220円/100株 PER43.3 PBR 2.61 10月配当 4月株主優待
接ぎ木したトマト、キュウリなどの野菜苗を生産販売。連作障害苗に強み。
配当金は10月末一括の10円配当のため、配当利回りは0.45%となります。
ベルグアースは株主優待制度を実施しており、4月末の単元株主に対して、1,000円分の
クオカードか、4,000円相当のメロン、ないしは3,000円相当のトマトジュース等を進呈して
おりますので、メロン選択時の配当優待利回りは約2.25%となります。
業績を確認していきます。
■2015年10月期 売上高 42.3億円、営業利益 0.5億円 EPS 26.2円
■2016年10月期 売上高 43.9億円、営業利益▲0.9億円 EPS 11.0円
■2017年10月期 売上高 46.2億円、営業利益▲0.5億円 EPS▲54.4円
■2018年10月期 売上高 46.9億円、営業利益 0.1億円 EPS 23.0円
■2019年10月期 売上高 52.2億円、営業利益 1.1億円 EPS 51.2円 ce
□2019年4月2Q 売上高 21.2億円、営業利益▲0.5億円 EPS▲39.1円
□2019年4月3Q 売上高 32.3億円、営業利益▲0.4億円 EPS▲46.7円(9/9)
2019年4月期中間期については会社予算との比較は無いものの、売上高は前年同期比
5.6%増の21.2億円、営業利益は赤字幅が縮小し、▲0.5億円となりました。主力の野菜苗
事業は閑散期に当たるものの、茨城農場の生産設備増強にともなうメロン苗出荷の好伸
が寄与したほか、熊本県向けのトマト苗が堅調に推移しました。このほか、家庭園芸向け
については全国のホームセンター向けの玉ねぎ苗・花苗の売上が増加しました。一方、
利益面に関してはトップラインの上伸効果にくわえ、ベルグ福島の生産能力向上による
採算性改善、暖冬による燃料費の減少等により、赤字幅が大きく縮小しました。
なお2019年10月期の通期予算については、期初予想を据え置いており、売上高が前期比
11.3%増の52.2億円、営業利益は同8.6倍の1.1億円を見込んでいます。今期は取り扱う苗
の多品種化による売上拡大を志向していますが、本年7月に長野県の花野菜苗の生販業
者であり、サカタのタネの完全子会社である長野セルトップから花苗事業を譲受しており、
一段の業容拡大が見込まれるほか、ベルグ福島の本格稼働と茨城常陸大宮農場の設備
増強がフル寄与する見通しです。既に開示されている3Q累計期間の決算は、依然赤字圏
であるほかややビハインド感もあるものの、当社業績は季節偏重性があるため、最終4Q
単独期間でかなり巻き返す可能性もあり、過度に悲観する程の進捗ではないと考えます。
当社は中長期的な定量目標値を設定しておりませんが、定性目標として、「全国農場展開」
「多角化」「グローバル化」の3目標を掲げています。現在国内では5ヵ所の直営農場(宇和島
・長野・花巻・茨城・松山)と福島の施設を擁していますが、各施設の生産能力増強のために
設備投資を継続しているほか、接ぎ木後の二次育苗農場の開業候補地選定を行っており、
関東・中部・九州などで実際に農場開場の検討を進めています。
「グローバル化」という点では2014年に中国で子会社化した青島芽福陽園芸有限公司が、
高品質の野菜苗を高効率で生産するシステムの開発を進めていましたが、この度トマトの
栽培システムの販売開始にこぎつけています。そもそも当社はタイ大手財閥のCPグループ
と中国市場で業務提携しており、日本式高級トマトを売り出していく計画でしたが、まずは
手掛けやすい苗事業に舵を切ったものとみられ、未だ試験販売段階ではあるものの、既に
商談先が出てきている模様です。なお、2017年に河北銘福隆農業開発有限公司とも合弁
会社を設立(持分40%)しており、そちらでは病害に強いトマト苗の生産・販売を目指してい
ますが、中国で外資による種子販売が可能になったのは昨年秋口のことなので、そちら
の収益化はまだ相応の時間を要するとみられます。
上述のように、赤字が先行しているものの、海外が比較的進捗してましたが、昨年12月に
徳島に拠点を置く大塚製薬系の農薬・肥料会社のOATアグリオ(4979)と資本業務提携を
しており、同社が当社株の約4%弱を取得しています。また、資本の絡みはないものの、産
業用ランプ首位のウシオ電機(6925)と人工苗生産装置の開発で業務提携したほか、漢方
薬で圧倒的なシェアを誇るツムラ(4540)とは薬用植物の国内生産で業務提携しています。
どれも収益貢献にはかなりの時間を要するとみられるものの、当社の規模を鑑みれば、
ネームが強い企業との業務提携が増えており、長期的な成長材料として期待出来ます。
なお、上述のOATアグリオは相対で当社株を取得しており、増資を引き受けて貰ったわ
けではないため、特に財務面は良化しておらず、設備投資などをしているぶん借金が増
えている状況です。そのため、配当性向で概ね20%となる年10円が配当されていますが、
資金需要のある会社なので、当面はこの水準の株主還元が続くと予想されます。
(現金を出したくないと思われるため、優待制度の拡充とかならあるかもしれません)
*参考記事① 2018-10-04 1,939円 OP
赤字続き重要事象点灯中だが、業績自体は微拡大中・ベルグアース(1383)。
*参考記事② 2018-03-03 2,427円 NT
売上順調増だが、海外展開に迷いがあるか・ベルグアース(1383)。
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