【8803】 平和不動産 (東証1部) OP
現在値 2,310円/100株 PER13.9 PBR0.82 3月配当優待 9月配当
東京、大阪、名古屋、福岡の証券取引所を賃貸。オフィスなど一般賃貸。
配当は3月末・9月末の年2回の合計50円で、配当利回は2.16%となります。
平和不動産は株主優待制度を導入しており、3月末の単元以上の株主に対して千円分
のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは2.59%となります。なお当社は、
議決権行使のお礼も実施しており、行使すると千円相当?の榮太郎の甘味セットを進呈
しています(※お礼は実績ベース)。
業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 370億円、経常利益 67.0億円 EPS 110円
■2017年3月期 売上高 417億円、経常利益 84.3億円 EPS 113円
■2018年3月期 売上高 326億円、経常利益 83.9億円 EPS 132円
■2019年3月期 売上高 394億円、経常利益 84.3億円 EPS 158円
■2020年3月期 売上高 540億円、経常利益 90.0億円 EPS 165円 ce
□2019年6月1Q 売上高 116億円、経常利益 25.1億円 EPS 38.8円(7/31)
□2019年9月2Q 売上高 300億円、経常利益 53.0億円 EPS 91.8円 四e
2019年3月期の売上高は前期比20.7%増の394億円、経常利益は同微増の84.3億円での
着地となり、売上はやや未達だったものの、利益は上振れしました。賃貸事業については、
前期に取得した大阪御堂筋(伊藤忠)ビルの賃収がフルに寄与したほか、ソリューション事
業についても、新宿フロントタワーの一部を売却したほか、傘下REITへイトーピア日本橋
SAビルを21億円で売却したことで2割強の増収となりました。利益については、東大阪花
園SCの売却による賃収減と、兜町第5平和ビルの修繕費の増加が響いたものの、既述2
物件以外に新宿フジビル2の売却実行により想定超の利幅を確保出来たものとみられ、
7.1%の経常減益を予想していた期初予算から一転し、微増益での落着となりました。
進行期である2020年3月期通期予算については、売上高が36.8%増の540億円、経常利益
は同6.8%増の90.0億円とトップラインは3割を超える大増収を見込んでいます。賃貸事業に
ついては、実績期で取得した新札幌のホテルエミシア、名古屋・栄サンシティービルが通期
で寄与するほか、ソリューション事業については今期についても新宿フロントタワーの区分
所有権の売却を実行します。また、去る6月20日には旗艦の東京証券取引所ビルの賃料
改定について、東証側と合意したことが明らかとなっており、25年振りに従来比で11.1%の
賃料増を実現しています。改定後の年間賃料は30億円であり、坪単価ベースで15千円程
から16千円台半ばに上昇したものとみられます。なお、本件賃料改定は今期予算に織り
込んでおらず、賃貸収入であるため、トップラインどころかほぼ利益ベースのアップサイド
として効いてくるため、今期予算は早くも増額含みの状況にあると考えられます。
当社は2024年3月期を最終年度とする長期経営計画「NEXT DECADE」を2014年に公表
しており、最終年度に営業利益100億円を目指しています。マイルストンとして、序盤の箇
年は横ばいの経常利益50億円を計画していましたが、実績は84億円へ上振れしました。
そして今期の位置付けは中盤3箇年の最終年度であり、またも横ばいの経常利益80億円
を目指していましたが、アクチュアルベースで既にクリアしているような状況であるほか、
今期経常利益の予算自体が既に90億円(営業利益では100億円)で置かれているため、
マイルストンの業績目標どころか、本10年長計期間における業績目標を約3年前倒す程
の勢いで進捗しているような状況です。
社運を賭けた兜町の地上げについては、順調な再開発が進んでおり、特に先行している
兜町7地区については、竣工が2021年6月となる見通しです。永代通りと平成通りに面す
るこの「KABUTO ONE」ビルは既にリーシングを開始しており、証券振替機構や、ほふり
クリアリングが内定しており、相場は坪3万円台半ばと目されています。また今後は筆頭
株主である三菱地所との共同事業で進める茅場町1‐6区も、2023年3月期を目処に竣工
する見通しであり、東京証券会館街区や兜町第6平和ビル街区などパイプラインを豊富
に抱えているため、向こう5年ほどについては業績成長のネタに困らない状況と言えます。
また注目すべきは株主還元であり、足許で増配基調【26→37→48→50円(予】、を強め
ています。これは今期の順調な業績進捗を背景に自己資本が積み上がっており、配当
原資となる財務指標目標水準「ネットD/Eレシオ1.5倍以下」を概ねキープしているため、
還元強化に踏み切ったと説明されています。が、それはあくまで建前でもあり、背景は
言うまでもなく、ここ数年でブラックストーンとみられるファンドや、ティ・ロウ・プライス、
プリンシパル・グローバル・インベスターズといった外資系ファンドが、1,000億円超とも
される当社の土地含み益を目当てに水面下で株を集めていることが挙げられます。
買収防衛策については昨年無事に更新しているものの、筆頭株主の三菱地所ですら
同買防策を廃止するようなご時世であることから次回更新はほぼ不可能であり、今後
は被買収候補の本命格として、活躍の機会が増えるかと思われます。
*参考記事① 2019-02-14 2,036円 OP
買収防衛策更新も、ファンド勢「虎視眈々」で大幅増配・平和不動産(8803)。
*参考記事② 2018-01-17 2,116円 OP
今期8円の大増配で、10年長計達成に目処か・平和不動産(8803)。
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