【8803】 平和不動産 (東証1部) ---
現在値 2,036円/100株 PER13.6 PBR0.74 3月配当 9月配当株主優待
東京、大阪、名古屋、福岡の証券取引所を賃貸。オフィスなど一般賃貸。
配当は3月末・9月末の年2回の合計45円で、配当利回は2.21%となります。
平和不動産は株主優待制度を導入しており、9月末の単元以上の株主に対して千円分
のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは2.70%となります。なお当社は、
議決権行使のお礼も実施しており、行使すると千円相当?の榮太郎の甘味セットを進呈
しています(※お礼は実績ベース)。
業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 343億円、経常利益 65.6億円 EPS 62.5円
■2016年3月期 売上高 370億円、経常利益 67.0億円 EPS 110円
■2017年3月期 売上高 417億円、経常利益 84.3億円 EPS 113円
■2018年3月期 売上高 326億円、経常利益 83.9億円 EPS 132円
■2019年3月期 売上高 390億円、経常利益 78.0億円 EPS 149円 ce修正
□2018年9月2Q 売上高 265億円、経常利益 52.0億円 EPS 89.2円
□2018年12月3Q売上高 327億円、経常利益 66.4億円 EPS 133円(1/29)
2018年9月中間期の売上高は前年同期比65.1%増の265億円、経常利益は同15.6%増の
52.0億円となりました。賃貸事業においては、前期に取得した大阪御堂筋(伊藤忠)ビルの
賃料収入がフルに寄与したほか、ソリューション事業についても、新宿フロントタワーの一
部を売却したほか、傘下のREITへイトーピア日本橋SAビルを21億円で売却したことなど
により、期初予想との比較はないものの大幅な増収増益で折り返しとなりました。
なお、2019年3月期通期予算については、去る1月29日に開示済の3Q決算時点で売上高
のみ減額しており、売上高は前期比19.3%増の390億円(従予:410億円)、経常利益は同7.1
%減の78.0億円(従予:UNCH)へ修正しています。賃貸事業においては、既述の大阪御堂筋
が寄与する一方、東大阪花園SCの売却に伴う賃料減少と兜町第5平和ビルの修繕費の増
により、当該セグメントは増収減益となっています。一方で、ソリューション事業については、
既述2物件のほか、新宿フジビル2の売却もあり、セグメントで増収増益を確保していますが
(予算水準の利益が確保出来たため、)売却予定物件をあえて翌期に送ったとみられます。
そのため、表記の修正会社予算については、ほぼ確実に走破可能圏と言えそうです。
当社は2024年3月期を最終年度とする長期の経営計画「NEXT DECADE」を2014年に公表
しており、最終年度に営業利益100億円を目指しています。マイルストンとして、序盤の3箇
年は横ばいの経常利益50億円を計画していましたが、実績は84億円と大きく上振れました。
そして今期の位置付けは中盤3箇年の中間年度となり、またしても横ばいの経常利益80億
円を目指していますが、アクチュアルの前期・前々期でこの水準を連続してクリアしている
ような状況であり、おそらく今期も多少の上振れを前提に本中計数値を上回って着地する
ものとみられます。現在の業績モメンタムであれば、概ね2~3年程度前倒しで進捗している
ため、営業利益100億円(経常利益で92~93億円)の達成は、2021年3月期頃になりそうです。
この長計の肝となるのはやはり兜町の再開発であり、ケネディクスと交換を済ませたKDX
日本橋兜町も含め、順調な“地上げ”が進んでいます。中でも先行している兜町7地区につ
いては、今期末にも着工開始される予定となっており、竣工は2021年3月期の見通しです。
また、兜町7地区同様に特区認定見込案件である、茅場町1‐6区は筆頭株主である三菱
地所に持分を譲って推進されていますが、こちらは長期経営計画終盤にならないと見えて
こない案件となっています。これらの再開発による貸し止めロスは少なくないものの、その
“幕間つなぎ”として傘下のREITに卸す案件の棚卸資産の積み上げは順調に進んでおり、
ASIL札幌や銀座同和ビルなど相応の規模を有する販売用オフィスビルの仕込みを2018年
に済ませているほか、別途赤羽岩淵で2棟の賃貸レジデンスをREIT用に開発しているため、
これらをバラバラ売れば、兜町の再開発の続く来期・再来期の数字が作れると思われます。
また注目すべきは株主還元であり、前期は周年記念配(4円)を含むものの、26→37円へと
実に11円もの大増配をしたばかりですが、今期はその記念配落ち分を埋めて、更に8円の
増配となる年45円配当を予想しています。これは今期の順調な業績進捗を背景に、配当
性向30%が機械的に適用されたものですが、配当原資となる財務指標の目標「ネットD/E
レシオ1.5倍以下」を安定的に達成しているため、還元意向が強くなったものとみられます。
この背景としては言うまでもなく、昨年にかけてブラックストーンとみられるファンドが隠密
裏に当社株を買い集めてきたことが背景にあり、当社は昨年の株主総会で既に買防策の
延長を済ませているものの、足許ではスタンレー電気などを買い増すティ・ロウ・プライス
というファンドが大量保有(5.43%)を出すなど、依然としてアクティビストが蠢いていることか
ら、株価を少しでも高くしておきたい意向があるとみられます。筆頭株主である三菱地所
のアクションも含め、中長期的にはかなり見所が多いような印象を受けます。
*参考記事① 2018-01-17 2,116円 ---
今期8円の大増配で、10年長計達成に目処か・平和不動産(8803)。
*参考記事② 2016-12-20 1,640円 ---
東証隣接のKDX日本橋兜町を取得!平和不動産(8803)。
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