今期8円の大増配で、10年長計達成に目処か・平和不動産(8803)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8803】 平和不動産 (東証1部) ---
 

現在値 2,116円/100株 PER16.8 PBR0.83 3月配当 9月配当株主優待

東京、大阪、名古屋、福岡の証券取引所を賃貸。オフィスなど一般賃貸。
配当は年2回の合計34円で、配当利回は1.61%となります。

平和不動産は株主優待制度を導入しており、9月末の単元以上の株主に
対して千円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは2.07

%となります。なお当社は議決権行使のお礼も実施しており、行使すると

千円相当?の榮太郎の甘味セットが貰えます(※お礼は実績ベース)。

業績を確認していきます。
■2014年3月期 売上高 432億円、経常利益 56.4億円 EPS 72.7円
■2015年3月期 売上高 343億円、経常利益 65.6億円 EPS 62.5円
■2016年3月期 売上高 370億円、経常利益 67.0億円 EPS 110円 
■2017年3月期 売上高 417億円、経常利益 84.3億円 EPS 113円 

■2018年3月期 売上高 360億円、経常利益 75.0億円 EPS 125円 ce修正
□2017年9月中 売上高 161億円、経常利益 45.0億円 EPS 78.8円(10/31)

2017年9月中間期の売上高は前年同期比▲4.4%減の161億円、経常利益は

同25.2%増の45.0億円となりました。賃貸事業において、前期末に124億円で

取得したKDX日本橋兜町ビルの賃収寄与があったほか、ソリューション事業

においても、傘下のREITへHF田端レジデンスを11億円で売却したほか、他

にも個人投資家向けの収益不動産の販売が順調に推移しました。


なお、2018年3月期通期の予算も修正しており、売上高は前期比13.8%減の

360億円(従予:355億円)、経常利益は同11.0%増の75.0億円(従予:72.0億円)
に其々増額しています。賃貸事業の空室率は建替による貸止め分を控除

した補正値ベースで1%の水準まで低下して好調な状態が続いているほか、

ソリューション事業についても、新日本建設JVの新浦安(222戸・持分18戸)

の分譲住戸の契約と、REITへのHR両国レジデンス(14億円)の供給を済ま

せているため、修正予想水準は確保されると見込まれます。また、前期比

で大きく減収となるのは、ケネディクスREITとの物件相互売買(当社側は西

新橋TSビルを売却)が剥落した影響が主因となります。

当社は2024年3月期を最終年度とする長期の経営計画「NEXT DECADE」
を2014年に公表しており、最終年度に営業利益100億円を目指しています。
マイルストンとして、序盤の3箇年は殆ど横ばい予想となる経常利益50億円
を計画していましたが、アクチュアルは84億円となり、飛躍的に上回る結果

となりました。そして、今期から始まる中盤の3箇年もまた殆ど横ばい予想と

なる経常利益80億円を予想しているような有様のため、実際はこの中盤の

3箇年で冒頭の10箇年長計を前倒しして仕上げるイメージかと思います。

(※長計目標は営業利益のみのため、経常利益で90~93億円+が目安)

 

この長計の肝となるのは何と言っても兜町の再開発であり、前期に仕込んだ
KDX日本橋兜町も含め、順調に周辺の“地上げ”が進んでいます。先行する
兜町7区にくわえ、茅場町1‐6区は筆頭株主である三菱地所に持分を譲って

推進されているため、いずれも長計の終盤の4箇年から数字寄与があるもの

とみられます。相変わらずこの再開発による貸止めロスは少なくないものの、

ソリューション事業において、新宿や名駅東に実現益の出る販売用の棚卸

資産を抱えているため、REITへの供給で十分しのげるものと推察されます。

また注目すべきは株主還元であり、今期は周年記念配(4円)を含むものの、

26→34円へ、実に8円もの増配予定となっております。当社は筆頭株主の

三菱地所同様に株主還元が渋い状況が続いていましたが、足許でかなり

弾みのついた還元を行っています。これは長計の業績の目処が立ったとい

う会社側のメッセージとも捉えられますし、配当原資となる財務面の指標も

長期目標である「ネットD/Eレシオ1.5倍以下」を既に達成してしまっており、

財務面の手当ても目処がついていることが主な理由かと推察されます。

 

ということで、業績面・財務面も長計を上回るペースで順調に推移している

ことくわえ、鑑定評価の上昇により、含み益も700億円台(注:当社時価総額

は約850億円)のため、税金考慮後のP/NAVは実に0.6倍を切ってくるような

激安レベルであり、依然として含み資産関連株としてのアプローチも可能で

あることから、あらゆる角度で切っても死角が見当たらないように思います。

*参考記事① 2016-12-20 1,640円 ---
東証隣接のKDX日本橋兜町を取得!平和不動産(8803)。

*参考記事② 2015-12-08 1,424円 ---
ついに日経225から除外、平和不動産(8803)。

 

 

会社四季報

 2018年1集 新春号

新品価格
¥2,060から
(2017/12/10 20:00)

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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