「塚田農場」底入れ気配で、最悪期は脱出か。エー・ピーカンパニー(3175)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3175】エー・ピーカンパニー(東証マザーズ)  OP

現在値 525円 PER37.8 PBR2.82 3月無配 株主優待あり

都内中心に居酒屋『塚田農場』等を展開。自社農場で地鶏を育成。
配当金の支払い実績はなく、今期も無配予想となっています。

エーピーカンパニー株主優待を実施しており、3月末に単元株を保有する株主に対して

3,000円分の株主優待食事券を贈呈しておりますので、優待利回りは約5.71%となります。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 218億円、経常利益 8.2億円、EPS 71.4円 
■2017年3月期 売上高 259億円、経常利益 5.2億円、EPS 17.3円 

■2018年3月期 売上高 257億円、経常利益 5.5億円、EPS▲35.0円 

■2019年3月期 売上高 245億円、経常利益▲0.9億円、EPS▲281.6円(5/15)

■2020年3月期 売上高 245億円、経常利益 3.0億円、EPS 13.8円 ce
□2019年9月中 売上高 120億円、経常利益 0.5億円、EPS▲4.1円 ce

2019年3月期の売上高は前期比4.5%減の245億円、経常利益は赤転の▲0.9億円となり、

大幅な減益となったほか、元より減収減益を見込んでいた予算比でも未達となりました。

予算前提となる既存店売上高を96.0%水準で予算を組んでいたものの、景表法違反によ

る客離れもあり、実績はこれを下回る92.9%で着地しています。また、国内の外食店舗数

自体は前期比で3店純増しているものの、これはリアルテイストの買収(後述)による15店

の上乗せによるものであり、主力の「塚田農場」については不振店を10店超クローズして

います。一部、弁当事業や海外事業など比較的マシだった事業もあるものの、構成比が

低いため貢献は限定的であり、生産直結モデルの要であり第二の柱である生産事業(養

鶏等)については、本業の外食苦戦のあおりを受け、当セグも減収減益に沈んでいます。

 

進行期である2020年3月期の予算については、売上高が0.3%減の245億円、経常利益は

黒字転換の3.0億円を見込んでいます。今期の出店数も内外合計5店程度まで抑制する

とともに、予算前提となる既存店売上高については98.5%水準で置いています。なお、既

に開示されている3ヵ月累計期間(4~6月)の既存店売上高は97.4%で進捗しているため、

ビハインド気味ではあるものの、概ね計画線にあるものとみられます。また、利益面であ

る程度の良化を見込んでいますが、これは実績期における不採算店の閉鎖一巡による

浮き分と本部経費削減による損益改善が主な要因であり、数期前迄の巡航水準である

経常利益5億円を超える水準までは、トップラインの回復なくしては届かない見通しです。

 

当社は今般新たに3年中計を策定しており、最終年度である2022年3月期に売上高290

億円(CAGR6%)、営業利益13億円(16億円良化)を定量目標として掲げなおしています。

主力業態である「塚田農場」が、大量出店による陳腐化と接客品質の低下にくわえて、

所謂“地鶏”の虚偽表示による景表法違反で苦戦を強いられていたものの、既存店売

上高はやや底入れの兆しが見えつつあることから、改めてテコ入れして、再成長の柱

とする計画です。具体的には「塚田農場」を商圏別にオフィス・商業地・郊外の3立地に

再定義し、メニューや客席をカスタムして、商圏に最適化したフォーマットへ変更します。

 

「塚田農場」以外では、中目黒の焼鳥「つかだ」や、新宿「魚米」、神楽坂「なきざかな」

に代表される客単価4,500円~5,500円のアッパーミドル業態のポートフォリオを拡充し、

生販直結のビジネスモデルを活かした高鮮度食材の提供と、生産から販売までの利益

スプレッドの極大化を改めて図っていく方針です。幸いにもこれらアッパーミドル業態は

「塚田農場」の名前が隠れているため、昨今の“ワタミ看板変更方式”同様、順調に

移している模様です。また、昨年末にはバルニバービ(3418)が手放した、「串亭」等

展開するリアルテイストに3億円(ほぼのれん)を投じて完全子会社化しており、今期か

らは年商ベースの14億円程度が通期で寄与する予定となっているほか、シナジーの

を本中計に十分織り込んでいないとみられるため、この辺がアップサイドとなります。

 

ちなみに株主還元については今期も無配を予想しております。実績期で大きな減損を

入れたことや、リアルテイストをのれん付きで買収してしまったので、財務は大幅に悪

化しているため、向こう数期に渡って無配が継続されるものと考えています。

 

*参考記事① 2018-09-11 566円 OP

覚悟の減収減益予算も、足許ではさらに苦戦か。エー・ピーカンパニー(3175)。

 

*参考記事② 2017-07-30 855円 OP

屋号を変えて高単価路線に再回帰?エー・ピー・カンパニー(3175)。

 

会社四季報 2019年3集夏号

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