【9375】近鉄エクスプレス(東証一部) OP
現在値 1,405円/100株 PER9.6 PBR0.83 3月配当優待 9月配当優待
国際航空貨物混載大手の一角。国際網充実。商船三井が2位株主。
配当は3月末・9月末の年2回計30円配当のため配当利回りは2.14%となります。
近鉄エクスプレスは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末に単元株以上を保有する
株主に対して、500円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.84
%となります。なお、1年以上保有を継続した場合は1回あたりのクオカードが、4倍の2,000
円となりますので、その場合の配当優待利回りは約4.92%までジャンプします。
業績を確認をしていきます。
■2016年3月期 売上高 4,205億円 営業利益 153億円 EPS 135円
■2017年3月期 売上高 4,743億円 営業利益 130億円 EPS 62円
■2018年3月期 売上高 5,531億円 営業利益 173億円 EPS 97円
■2019年3月期 売上高 5,920億円 営業利益 207億円 EPS 136円
■2020年3月期 売上高 6,200億円 営業利益 220億円 EPS 145円 ce
□2019年9月中 売上高 3,000億円 営業利益 93.0億円 EPS 50円 ce
2019年3月期の売上高は前期比7.0%増の5,920億円、営業利益は同18.5%増の207億円と
なり、売上高のみ中間の増額修正予算に届かなかったものの、順調な決算となりました。
日本の航空輸入はエレキ製品、輸出については自動車部品等や半導体関連の取扱量が
大幅に伸びたものの、原価率の上昇やオペレーション強化費が嵩みセグメント減益となり
ました。海外についても、好調続く米州や東アジアがエレキ製品の活況で続伸したものの、
こちらも原価率の上昇で利益スプレッドを潰される格好となり、全社的に航空・海運運賃高
騰のあおりを受けました。その一方、欧州・中近東・アフリカについては、全域で順調に推
移したほか、元々の利益スプレッドが低水準だったこともあり、唯一増益を確保したほか、
APLLもインドでの取扱量増加や、取引条件の見直しが奏功し、想定超となりました。
2020年3月期通期の予算については、売上高が4.7%増の6,200億円、営業利益は5.8%増
の220億円を予想しています。売上高構成比の高い日本は概ね横ばいを予想する一方で、
好調だった欧州・中近東・アフリカや東南アジアは、引き続き2桁の売上高伸長を見込んで
います。実績期が大増勢となったAPLLについては、売上が微増・利益は微減となる計画
ですが、これは同社子会社を一部本体の米州セグへと振り替えることが影響しています。
なお、この通期予算については、米中貿易摩擦による業績影響を織り込んでいないため、
足元では若干鎮静化しつつあるものの、ダウンサイドリスクを孕んだ予算となっています。
実績期は前3年中計の最終年度でしたが、減額ローリングした後の予算ではあるものの、
売上高5,850億円、営業利益192億円の修正目標値に対して、しっかりと上振れして着地
させています。内容的に“質より量(航空70万t・海上70万TEU)”に拘った、KPI優先の力
押し気味な中計であったことを鑑みれば、内容的にはまずまずの仕上がりだと思います。
今期を初年度とする新中計期間では、KPIとして取扱数量(航空80万t・海上90万TEU)を
掲げるとともに、引き続き事業規模拡大を最優先に志向し、スケールメリットによる原価
低減を狙う戦略となっています。APLLの時のようなMAも特に考えていない模様であり、
長期目標である売上高1兆円まではあくまでオーガニック成長で到達させる計画である
とみられます。なお、新中計の目標値については3年後の2022年3月期に売上高7,200
億円まで伸ばす計画となっているものの、営業総利益率を直近実績水準である16.4%で
横引きしており、営業利益段階まで試算すると、最終年度で250億円程とみられます。
(※APLLの“のれん償却”が、2036年まで年▲60億円反映されているので留意のこと)
株主還元については、過去増配基調にあったものの、直近3期に渡って配当金が年26
円で固定されていましたが、実績期でやっと4円積み増して年30円に増配されました。
ただこれでも配当性向は20%~21%に過ぎず、まだまだ配当できる状況ですが、当社は
元より配当性向どころかROEの目標水準すら掲げていません。それどころか、今般の
長期ビジョンでは“ネット有利子負債ゼロ”を新たに掲げてしまったので、追加的に還元
する意志はかなり薄く、財務体質の強化を優先させていくものとみられます。
*参考記事① 2019-01-08 1,618円 OP
APLL想定超で巻き返す、増配基調の奪回に改めて期待・近鉄エクスプレス(9375)。
*参考記事② 2017-12-22 2,351円 NT
エレキ製品の市況活況受け急回復、近鉄エクスプレス(9375)。
![]() |
新品価格 |
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。