APLL想定超で巻き返す、増配基調の奪回に改めて期待・近鉄エクスプレス(9375)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9375】近鉄エクスプレス(東証一部) ---

現在値 1,618円/100株 PER11.0 PBR0.96 3月配当優待 9月配当優待

国際航空貨物混載大手の一角。国際網充実。商船三井が2位株主。
配当は3月末・9月末の年2回計26円配当のため配当利回りは1.61%となります。


近鉄エクスプレスは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末に単元株以上を保有

する株主に対して、500円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回り

は約2.22%となります。なお、1年以上保有を継続した場合は1回あたりのクオカードが、

4倍の2,000円となりますので、その場合の配当優待利回りは4.07%となり、利回り的に

は一気にジャンプします。


業績を確認をしていきます。
■2015年3月期 売上高 3,271億円 営業利益 165億円 EPS 145円
■2016年3月期 売上高 4,205億円 営業利益 153億円 EPS 135円
■2017年3月期 売上高 4,743億円 営業利益 130億円 EPS 62円

■2018年3月期 売上高 5,531億円 営業利益 173億円 EPS 97円 

■2019年3月期 売上高 6,000億円 営業利益 192億円 EPS 145円 ce修正
□2018年9月中 売上高 2,913億円 営業利益 88.5億円 EPS 69円(11/8)

 

2018年9月中間期の売上高は前年同期比11.0%増の2,913億円、営業利益は同28.8%増

の88.5億円となり、2桁の増収増益を確保したほか、期初予想も上回りました。日本の航

空輸入はエレキ製品、輸出については自動車部品等や半導体関連の取扱数量が大幅

に伸びたほか、海上輸出入についても堅調に推移しました。海外についても、好調続く

米州や東アジアがエレキ製品の活況で続伸したものの、一方で東南アジアについては、

スポット案件の剥落や直接原価率上昇の影響も受け、唯一セグメント減益となりました。

なお、APLLもインドでの取扱量増加や、取引条件見直しにより想定超で推移しました。


2019年3月期通期の予算も中間時点で増額しており、売上高が8.5%増となる6,000億円

(従予:5,850億円)、営業利益は9.4%増の192億円(UNCHだが経常利益は21億円増額の

207億円に増額)に修正しています。好調な日本や米州、東アジア・オセアニアを期初比

で増額する一方で、軟調な東南アジアを減額しているほか、APLLは概ね予算を据え置

いています。APLLは元よりシステム関連費用が6億円程度落ちる見込ですが、足許は

それ以上のピッチで数字が良化しているものの、そこについては殆ど見込んでおらず、

全社トータルでは期初予想比で増収、利益については為替考慮による経常利益段階

からのみの増益に留めています。修正内容としてはやや保守的な印象もありますが、

会社側は台風21号によるマイナス影響をバッファとして見込んだものとみられます。

今期は3年中計の最終年度となっており、2017年3月に減額ローリングした後の目標値

を多少再増額して、売上高5,850億円(従予:5,680億円)、営業利益が192億円(従予:180

億円)になっています。当初、営業利益220億円を目指していたことを踏まえると物足り

さは残るものの、かなり良化してきた印象です。本中計期間では“質より量”を志向し、

「航空70万t・海上70万TEU」という取扱目標のKPIを掲げており、取り敢えず海上取扱

目標については達成の公算が高くなってきました。ただあくまで取扱量を優先したため、

業績数値はやや後回しとなっている状況であり、営業利益目標の220億円については、

早くて翌期かと思われます。翌期はAPLLのシステム費用が更に7億円減ってゼロ近傍

となるほか、APLLが得意とする小売顧客への共同販売や、運賃仕入の共同化などの

統合シナジー効果が本格的に発現してくるため、それなりの蓋然性がありそうです。

(※APLLの“のれん償却”は、2036年まで年60億円強もかかるので別途留意のこと)

 

株主還元については、配当金の推移が【18.5→20→23→26→26→26→26円(予】と

なっており、2017年3期で増配基調がストップしてしまい、今期も26円配予想が据え置

かれていますが、コンセンサス予想(経常利益ベース;会社側修正予想207億円vsCons.

212億円)も順調に切り上がってきているため、今期の予算達成を前提として30円+α、

への増配を予想しています。なお、仮に30円としても配当性向は20%強に過ぎません。

 

*参考記事① 2017-12-22 2,351円 --

エレキ製品の市況活況受け急回復、近鉄エクスプレス(9375)。

 

*参考記事② 2017-08-20 1,780円 --

中計減額も、足許の回復基調は強め・近鉄エクスプレス(9375)。

 

 

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