ららぽーと沼津開業控え、商業施設に“全振り”対応・ダイトウボウ(3202)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3202】ダイトウボウ(東証1部)  OP
 

現在値 83円/100株 PER10.7 PBR0.58 3月無配 株主優待あり

三井系紡織で発祥。静岡県内のSC賃貸が収益源、ヘルスケア事業拡充。
配当権利は3月末ですが、ここ数年支払実績はなく、今期も無配予想となっています。

 

ダイトウボウは株主優待を導入しており、半年以上保有を継続する3月末の10単元株主

に対して2千円分のクオカードを進呈しておりますので、優待利回りは約2.40%となります。

なお、保有期間1年超で千円分が追加されますので、その場合は約3.60%となります。

業績を確認をしていきます。
■2016年3月期 売上高 54.0億円 経常利益 0.7億円 EPS 4.2円 
■2017年3月期 売上高 47.0億円 経常利益 2.6億円 EPS 5.2円 

■2018年3月期 売上高 44.2億円 経常利益 1.5億円 EPS 3.4円 

■2019年3月期 売上高 44.9億円 経常利益 2.3億円 EPS 9.9円

■2020年3月期 売上高 54.0億円 経常利益 2.4億円 EPS 7.6円 ce
□2019年9月中 売上高 24.2億円 経常利益 0.8億円 EPS 2.6円 ce

2019年3月期の売上高は前期比1.6%増の44.9億円、経常利益は同53.6%増の2.3億となり、

売上予算は下回ったものの、利益は上振れして増収増益となりました。主力のSC事業で

ある「サントムーン柿田川」において、アミューズメント施設の好調により来館者数が堅調

に推移したため、第4期増床工事にともなう解体費用と減価償却費発生があったものの、

これらの負担を飲み込んで増益を確保し、全社業績を大きく牽引しました。また、ヘルス

ケア事業については、遠赤寝具が堅調に推移したため損益が良化した一方、繊維・アパ

レル事業については官需のユニフォームが低調に推移したため、減益となりました。

進行期である2020年3月期の予算については、売上高が20.1%増の54.0億円、経常利益

は同1.4%増の2.4億円を予想しています。SC事業については「サントムーン柿田川」の4期

増床開業を今夏に控えているため、下期からフル貢献する格好となります。また、ヘルス

ケア事業において、昨年大阪の生地商社である和田哲から買収した寝具事業の一部(年

商約6億円超)が通期で寄与します。この4期増床と買収の通期稼働効果の発現で大幅な

増収となるものの、増床の方は減価償却費(38億円を投資しているので、55年償却として

単純計算しても年7千万円の減益要因)にくわえて、開業費負担がかかることや、買収した

寝具事業の方も利益が出ていないため、利益の方は非常に鈍い伸びとなります。


今期は5年後の2023年3月期を最終年度とする中計の2年度目となっておりますが、既述

の買収効果による増分と足元の業績動向を反映して早くも目標をローリングしています。

修正後の業績目標は、売上高が中計当初の44.2億円から62.0億円(従前は55.0億円)へ、

営業利益が中計当初の3.2億円から5.3億円(従前は5.0億円)へと、それぞれ微増額して

います。中計核となるのは「サントムーン柿田川」の4期増床であり、33テナント分の賃料

収入が今期から半分貢献、翌2021年3月期からフルに貢献します。そのため、おそらく

今期の予想営業利益が4.6億円であることを踏まえると、巡航でベース5.0億円程度は固

いとみられ、初年度で増額したことを踏まえると、数値的にはまず走破圏とみられます。

 

リスク要因としては、この10月に開業を予定している三井不動産商業マネジメント運営の

“ららぽーと沼津”であり、そちらへの入客状況の如何では、上記の“見えている”数字が

崩される可能性には注意が必要です。まだ顕在化していないアップサイド要素としては、

当社筆頭株主であり、不動産業界に知見を持つファーストブラザーズ(3435)からの関与

拡大であり、MA案件の出物があれば業績への寄与が期待されますが、いかんせん足

元の自己資本比率が20%程なので、そもそも当社の絶対的な企業規模が小さい中ので、

一体どこまでの買収を繰り出せるかどうか疑問も残ります。

 

ちなみに、株主還元については二部落ち回避のために導入した株主優待制度以外では

復配も視野に入れているようであり、会社側は本中計期間中の復配に手応えを感じて

いるようです。実際に剰余金欠損ももう少しでなくなるので、実配当額は兎も角としても、

余程のことがなければ復配は十分に可能と考えられます。

 

*参考記事① 2018-07-14 96円 NT

ファーストブラザーズと資本提携、二部落ちも回避・ダイトウボウ(3202)。

 

*参考記事② 2017-07-13 77円 NT

祖業の繊維業からSC業への転換が顕著、ダイトウボウ(3202)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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