ファーストブラザーズと資本提携、二部落ちも回避・ダイトウボウ(3202)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3202】ダイトウボウ(東証1部) --
 

現在値 96円/100株 PER19.6 PBR0.65 3月無配 株主優待あり

三井系紡織で発祥。静岡県内のSC賃貸が収益源、ヘルスケア事業拡充。
配当権利は3月ですが、ここ数年支払実績はなく、今期も無配予想です。

 

ダイトウボウは株主優待を導入しており、半年以上保有を継続する3月末の10単元株主に

対して2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、優待利回りは約2.08%となります。

なお、保有期間1年超で1,000円分が追加されますので、その場合は約3.12%となります。

業績を確認をしていきます。
■2015年3月期 売上高 59.3億円 経常利益▲5.1億円 EPS ▲21.5円
■2016年3月期 売上高 54.0億円 経常利益 0.7億円 EPS 4.2円 
■2017年3月期 売上高 47.0億円 経常利益 2.6億円 EPS 5.2円 

■2018年3月期 売上高 44.2億円 経常利益 1.5億円 EPS 3.4円(5/11)

■2019年3月期 売上高 47.5億円 経常利益 1.8億円 EPS 5.6円 ce
□2018年9月中 売上高 21.8億円 経常利益 0.5億円 EPS 1.5円 ce

2018年3月期の売上高は前期比5.8%減の44.2億円、経常利益は同42.5%減の1.5億となり、

予算を割り込んで減収減益となりました。主力のSC事業である「サントムーン柿田川」に

おいて、20周年企画や各種イベントにより集客は底堅く推移したものの、前期に計上した

特殊要因が剥落により、当該SC事業は減収減益となりました。また、ヘルスケア事業に

ついてもバイオ麻品のOEMが伸び悩んだほか、アパレル事業における布帛(織物)OEM、

ユニフォームの大型受注剥落が響き、結局は全セグメントで減収減益着地となりました。

進行期である2019年3月期の予算については、売上高が7.3%増の47.5億円、経常利益は

同16.9%増の1.8億円を予想しています。SC事業については「サントムーン柿田川」の4期

増床計画(※後述)が進められる予定となっているため、底堅い集客が見込まれるものの、

改装工事等で一時的な費用発生が見込まれます。このほか、ヘルスケア・アパレルの両

事業については好転が期待されるものの、原料高が重しとなるので、改善幅も限定的と

なる見通しです。なお、2Qより大阪の生地商社である和田哲から寝具事業の一部を譲受

する予定で、同事業分(年商約6億円超、利益は僅少)が追って織り込まれる見込みです。


実績期は2年短期中計の最終年度でしたが、ヘルスケア事業の伸び悩みなどから、目標

未達となり、今回新たに5年後の2023年3月期を最終年度とする中計を策定しています。

業績の定量目標は、売上高が44.2→55.0億円、営業利益が3.2→5.0億円、へとそれぞれ

伸長させる計画です。核となるのは「サントムーン柿田川」の4期増床計画であり、総工費

約38億円を突っ込んで、2019年夏より凡そ33テナント分の賃料が追加される見通しです。

 

これのSC増床以外に、既述の和田哲の部門買収の数字が反映されていないことを考慮

すると、少なくとも売上高目標については走破可能かと推察されます。また、ヘルスケア

事業については、昨年8月にファーストブラザーズ(3435)と資本業務提携を実施しており、

同社の企業投資ノウハウ等を活用して、事業買収の本格化を狙います。同社は不動産

業の方が得意なので、あえてヘルスケアで連携するのは疑問符がつきますが、当社の

ような老舗繊維会社の提携先としては大胆な選択なので、先ずは見守りたいと思います。


当社は一部上場維持基準である時価総額20億円を割り込む寸前で、株主優待制度を

導入し、現在の時価総額は29億円弱まで戻り、二部落ち危機はほぼ回避されたと推察

されます。ただ、現状で8千名を超える株主に対して、数千万円の優待費用が発生して

おり、今後「サントムーン柿田川」の増床費用のために数十億円単位で追加借り入れが

必要なこと等を踏まえると、財務的にしんどい面もあり、復配目処は相当遠い(そもそも

剰余金欠損)ほか、優待制度にも更なる長期制限などがかかる可能性はありそうです。

 

*参考記事① 2017-07-13 77円 --

祖業の繊維業からSC業への転換が顕著、ダイトウボウ(3202)。

 

*参考記事② 2016-12-11 70円 --

株主優待連打で二部落ち回避、ダイトウボウ(3202)。

 

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