コンサル激減で、アイペットとボードウォークが頼り・ドリームインキュベータ(4310)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4310】ドリームインキュベータ(東証1部) OP

現在値 1,424円/100株 PER46.8 PBR1.25 3月配当・株主優待あり

大企業向け戦略コンサルとVB投資・育成が柱。ペット保険などの事業投資へ。

配当予想は非開示ですが、実績ベースで無配となっております。
ドリームインキュベータは株主優待制度を実施しており、3月末時点の単元株主に対し、

1,500円円分のプレミアム優待倶楽部ポイントを進呈しておりますので、優待利回りは約

1.05%となります。なお、2年超の長期保有で進呈ポイント数は1.1倍となります。

業績を確認していきます。 
■2016年3月期 売上高 126億円、経常利益 5.2億円 EPS 43円 

■2017年3月期 売上高 145億円、経常利益 5.2億円 EPS 10.3円
■2018年3月期 売上高 184億円、経常利益 19.1億円 EPS 92.4円

■2019年3月期 売上高 207億円、経常利益 2.7億円 EPS 38.6円 

■2020年3月期 売上高 230億円、経常利益 6.0億円 EPS 30.4円 四e
□2019年9月期 売上高 107億円、経常利益 3.0億円 EPS 15.2円 四e

2019年3月期の売上高は前期比12.4%増の207億円、経常利益は同85.5%減の2.7億円に

まり、非開示である予算との比較はないものの、壊滅的減益となりました。戦略コンサル

事業において、超大口顧客の失注が主な要因であり、約35億円ほどあった当該セグメント

の売上高を一気に10億円程落とした格好となりました。その一方、事業投資セグにおける

所管子会社であるアイペット損害保険が堅調に推移し、同社の売上高は前期比21.5%増の

148億円へ好伸しました。同社の見えがかり上の営業利益は準備金の影響で減益となって

いるものの、準備金額を調整し、当社持分に換算した後の参考利益は増益基調をキープ

しています。また営業投資セグについては、投資先のアルー(東マ:7043、当初持分16.6%)

が昨年12月にIPOを果たしたため、期末にかけて持分の全部売却を実行しています。


当社はいつも予算非公表となりますが、進行期である2020年3月期については、売上高

230億円、経常利益は6億円程度が観測されています。戦略コンサル事業については、

多少持ち直しを見込んでいるほか、昨年買収したフリーコンサルタント基盤事業を手掛け

るワークスタイルラボの部分寄与が見込まれます。事業投資セグについても、アイペット

がペット保険市場自体の高い伸びに支えられて続伸が見込まれるため、あとは営業投資

セグのIPO案件の多寡によるものの、実績期のIPOがアルーだけだったことを踏まえれば

(※アイペットは売出なし)、全社の数字としては増収増益で仕上がる公算が高そうです。

 

当社は投資事業の出来不出来に業績が大きく左右されるため、ある程度数字の読める

戦略コンサル事業においてのみ、「売上高CAGR15%」という中期的な成長目標を掲げて

いましたが、まさかの超大口失注により、この定量目標値は事実上断念した模様です。

救いなのは、昨年アイペットがIPOした際、公募増資により当社持分が64.6→58.9%へと

低下してしまったものの、売出を実施しなかったため、持分の希薄化が限定的だった点

であると言えます。同社業績はペット保険市場の飛躍的な拡大基調を追い風として高い

トップライン成長をキープしており、今期も予算段階で2割弱の伸びを予想しています。

同社は首位のアニコムHD(8715)に次ぐ2番手の位置にあり、シェアはアニコムの55%に

対し、24.1%に留まっているものの、新規契約数はアニコムを継続的に上回って少しずつ

シェアを食っているほか、足元では第一生命HDと販売の業務提携を締結しているため、
販売チャネル激増による中長期的な業績の底上げが期待されます。

 

なお、当社は投資事業の成否による業績変動とそれによる株価バリュエーションの変動

が激しいため、NAV(Net Asset Value)ベースの開示を開始しています。コンサル事業や

投資有価証券をなるべく時価評価して積み上げた1株あたりNAVは2,926円となっており、

現時点での株価に照らせば、NAV理論値の半分程度で評価されている状況です。勿論、

これは含み益を顕在化させた場合にかかる法人税が考慮されていないため、表記よりは

割安でないと考えられるものの、有望投資先のボードウォーク(持分30%だが潜在ベース

では持分46%で筆頭株主)がIPO出来た場合、時価総額2百億円強は固いとみられるため、

アイペットの時かそれ以上にNAVが膨らむことが期待され、当面の当社への投資論点と

してはボードウォークのIPOの時期のいかんということになりそうです。

 

創業者である堀紘一氏が平取へ引っ込んで、山川体制となった初年度から無配転落と

いう格好になってしまいましたが、会社側もさすがに責任を感じたのかこれまで実施して

こなかった自社株買い(2%、3億円)の実施を発表するなど対投資家への姿勢にも多少の

変化もみられます。まずは今期復配出来るかどうかを見極めていきたいと思います。

 

*参考記事① 2018-06-21  2,304円 OP

悲願のアイペット上場で含み益爆発も、堀氏が退任・ドリームインキュベータ(4310)。

 

*参考記事② 2017-06-19  2,066円 OP

アイペット上場リーチと"ひふみ"の参戦、ドリームインキュベータ(4310)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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