昨年の豪雨被害の影響大きく、1Qから減額修正。コカ・コーラボトラーズジャパン(2579)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2579】コカ・コーラボトラーズジャパン (東証1部) --

現在値 2,683円/100株 PER93.3 PBR0.86  6月配当 12月配当優待

国内ボトラー最大手。CCEJとウエストが統合。傘下に青汁のキューサイ。
配当予想は6月12月の年2回合計年50円で、配当利回りは1.86%となります。

コカ・コーラボトラーズジャパンは株主優待制度を導入しており、12末現在の単元株主に

2,700円分の商品交換ポイント(※45ポイント)を付与しておりますので、配当優待利回りは

約2.86%となります。なお、3年継続保有の場合は、4,500円分のポイント(※75ポイント)と

なりますので、この場合の配当優待利回りは3.54%となります。

業績を確認していきます。2017年12月期より、営業利益→事業利益に表記を変更。
■2015年12月期 売上高 4,404億円、営業利益 142億円 EPS 91.4円 
■2016年12月期 売上高 4,604億円、営業利益 211億円 EPS 48.1円 
■2017年12月期 売上高 8,726億円、事業利益*401億円 EPS 125.5円

■2018年12月期 売上高 9,273億円、事業利益*232億円 EPS 52.6円 

■2019年12月期 売上高 9,233億円、事業利益*154億円 EPS 28.9円 ce修正(5/15)
 

2018年12月期の売上高は前期比10.8%増の9,273億円、事業利益は42.1%減の232億円

となり、期初予想を大きく下回りました。1Qより旧コカ・コーライーストジャパン(CCEJ)

合併による上乗せ分がフル寄与し、2桁の増収を確保したものの、計画には遠く及び

ませんでした。清涼飲料事業における数量の前提を前期比102%で置いていたものの、

実際は調整後で98%に留まったことが影響しており、これは7月の豪雨の影響で当社の

主力工場である三原市の本郷工場が大打撃を受けたことが主な要因です。生産能力を

大きく奪われたばかりか、道路インフラ被害によりロジコストが増大したため、利益率が

大幅に悪化しました。なお、統合シナジー効果による利益良化については、期初予想の

80億円水準を確保したものの、“焼け石に水”の結果となりました。

進行期である2019年12月期の予算については、1Q時点で既に修正しており、売上高は

0.4%減となる9,233億円(従予:9,361億円)、事業利益は33.8%減となる154億円(従予:185

億円)へと早くも減額しています。操業停止中の本郷工場の移転と再稼働については、

2020年の春頃までかかる見通しであり、生産能力・物流体制ともに最適化されておらず、

ロジコストなどが通常より増大する見通しです。また、足許1Qの状況では、4月に27年振

りとなる値上げを実施したものの、価格改定を優先したため、昨年の豪雨による供給ト

ラブルの際に他社に奪われた商品棚を回復出来ておらず、数量・単価ミックスが期初想

定よりワークしていない模様です。そのため、現時点での修正計画の達成は微妙です。


当社は、2017年4月に存続会社であるコカ・コーラ ウエスト(CCW)とCCEJの経営統合

により、巡航売上高約1兆円のメガボトラーとなりました。世界のボトラーとの比較では、
売上高1.2兆円のコカ・コーラ・ヨーロピアンパートナーズに次ぎ、世界3位のボトラーに

躍り出ています。当初は2020年12月期までの4年間累計で、統合によるシナジー効果

で250億円削減(年換算60億円超の利益良化)、またIFRSへ移行により、CCEJの統合

で発生した580億円分ののれんを含む760億円分の償却(年換算40~50億円程度)を飛

ばせる青写真でしたが、既述の2018年豪雨に関する復旧コストはあまりに大きく、統合

シナジーどころか、余分な外注費の発生やトップラインへの影響が出てしまっている状

況であるため、先ずは8月に発表が予定されているリカバリープランを待つ形となります。

また株主還元については、2018年にCCWの筆頭株主として15%の持ち分(統合後8.2%)

を握っていたリコーへの自社株TOBで約560億円分を買い取ったほか、今期は株価が

下落基調ということもあり、自社株買いの追加設定枠である250億円分の残り分である

130億円分を、2月末までに買い切っています。また配当についても、「配当性向30%」

基準を掲げてはいるものの、今期は減額修正により早くもタコ配となる見通しですが、

期初予想の50円配を修正していません。足許の業績変調のわりに、株主還元方針が

変わっていませんが、本国(KO)への上納金をねん出するためにも、この辺の施策に

ついては足許業績の如何によらず、あまり変わらないものと考えています。

 

*参考記事① 2018-04-17 4,570円 --

リコー持分TOBとIFRS移行でEPS急伸へ、コカ・コーラボトラーズジャパン(2579)。


*参考記事② 2017-03-25 3,640円 --

統合で巨大ボトラー誕生へ、コカ・コーラウエスト(2579)。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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