米中貿易摩擦に端を発し(?)、株価の調整色が一段と強まってきました。GW明けの相場で
弱かったのは、日経平均採用銘柄を中心とした大型株でしたが、さすがに足許では中小
型株もしっかりと引きずられてきており、日経平均の下げ幅をキャッチアップするかのよう
に加速度的に下がっている銘柄が目立つようになってきました。ただ、全てを米中の貿易
摩擦のせいにするつもりはなく、発表が本格化している3月期決算の中身が見栄えのしな
いものが多い・・という理由もあると思われ、消費増税を控えた中で、ファンダメンタルズ
に悪化の兆しが見られるというだけでも、買いを手控える理由としては十分かと思います。
ただ、こうしたマクロ環境の悪化や、それにともなう企業側の弱いガイダンスが重石のよう
に株価を抑えているものの、昨今のコーポレートガバナンス強化の時流に沿って、株主還
元の強化が確実に進んでいることは、今後の銘柄選定の上で見逃せないテーマかと考え
ています。特に象徴的なのは、年間36円だった配当金を一挙に年間286円まで引き上げた
マクセルホールディングス(6810)であり、同社は村上ファンド系とタイヨウファンドという2つ
のアクティビストに大量保有されていたこともあり、彼らのプレッシャーに屈して巨額の配当
金を吐き出すこととなりました。同様に新明和工業(7224)も、村上ファンド系に買われて
いましたが、高値圏で自社株TOBを強いられたほか、こちらも今期は年間45円だった配当
金を年間87円まで積み増す計画となっています。
更に昨日は同じくアクティビストとして知られるストラテジック・キャピタルが大量保有する
図書印刷(7913)を、親会社である凸版印刷(7911)がTOBにより完全子会社化することが
明らかになりました。ストラテジック・キャピタルはこの決算シーズンで、極東貿易(8093)、
世紀東急工業(1898)、蝶理(8014)、淺沼組(1852)から増配を引き出し、本丸である図書
印刷からは増配を引き出すことは出来なかったものの、凸版印刷に引き取らせることが
出来ました。ストラテジック・キャピタルに限らず、アクティビスト絡みの案件で、これだけ
多くの銘柄で動きがあったことは記憶になく、本邦のコーポレート・ガバナンス(にかかる
株主価値)重視の流れはもう止めようのない確かな潮流になったと判断しています。
そのため、買い手掛かりに乏しい地合いではあるものの、上記の例のようにかなり踏み
込んだ株主還元事例は相当増えてきているため、強めの増配予想を出してきた銘柄や
一昨日のディー・エヌ・エー(2432)に代表されるような大量の自社株買いで下値不安が
限られるような銘柄にとりあえず資金を逃避させておくのも一法かと考えています。
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