【6540】船場(東証1部) ---
現在値 994円/100株 PER9.8 PBR1.01 12月配当 株主優待なし
商業施設の企画、設計から監理、施工までを一貫。売上の2割がイオン系。
配当は12月末一括の45円配当のため、配当利回りは4.53%となります。
船場は株主優待制度を実施しておりません。
業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 307億円、営業利益 20.4億円 EPS 183円
■2016年12月期 売上高 276億円、営業利益 17.1億円 EPS 124円
■2017年12月期 売上高 295億円、営業利益 14.2億円 EPS 100円
■2018年12月期 売上高 284億円、営業利益 12.6億円 EPS 97円
■2019年12月期 売上高 300億円、営業利益 14.0億円 EPS 98円 ce
□2019年6月中間 売上高 150億円、営業利益 6.7億円 EPS 46.0円 ce
2018年12月期の売上高は前期比3.6%減の284億円、営業利益は同9.0%減の12.6億円と
なり、期初計画を大きく下回ったほか、3期連続での減益決算となりました。利益の柱で
ある大型SCデべ(要はイオン)の投資抑制による影響を大きく受け、得意の郊外SC案件
を中心に競争入札を強いられることが増加し、採算性が悪化しました。その一方、駅前
案件では住友商事の「テラスモール湘南」の7周年大型改装や、「日本橋高島屋S.C.」、
「八王子OPA」等の大型案件を確保したほか、飲食案件ではWDIの「添好運」をはじめ、
「いきなり!ステーキ」「タリーズコーヒー」各店からの受注があり、好調に推移しました。
進行期である2019年12月期の予算については、売上高が5.4%増の300億円、営業利益
は10.3%増の14.0億円を予想しています。上顧客であるイオンに代表されるGMSは売上
の苦戦傾向が色濃く出ていることもあり、得意とする郊外SC案件等の受注は引き続き
低調に推移しています。そのため、期末時点の受注残高は1年前と比べて22.9%少ない
43億円に留まっており、一転して増収増益を予想する会社計画は過大感が漂います。
会社側によれば、通常下期に偏重しがちな業績についても、今期は上・下期バランス
よく計上される予定との説明はしてはいるものの、利益面については下期における海
外の好採算・企画設計案件をアテにしている模様であり、期ズレ未達注意となります。
今期は3年中計の最終年度となっており、本来であれば今期に売上高340億円(CAGR
7%)、営業利益は21.0億円(CAGR7%)を達成する目標でしたが、今期の落着を待たずに
下方ローリングしており、事実上断念した格好となります。ローリング後の新3年中計の
目標については、最終年度の2022年12月期に売上高340億円、営業利益は20.0億円を
目指すこととしており、従来の中計に照らせば数値達成を2年先送りした形となります。
おそらく断念した3年中計の前提は、イオン(モール)からの安定的な受注を利益柱として、
駅前案件や飲食案件、さらには結婚式場や高校・大学などの教育分野での受注を増や
して多角化させる目論見でしたが、肝心のイオンの不調により成長シナリオが根底から
覆ってしまったものとみられます。そのため、会社側は30年前からヤオハンと共に進出
した香港に代表される海外事業を、新たな成長の柱にすべく投資を進めており、進出済
の台湾やシンガポール、ベトナムにくわえ、足許ではマレーシアへの拠点進出を発表し
ています。ただ結局、カンボジア案件をひとつとっても、結局はイオンモールの2号店案
件だったりするので、内外問わず相変わらずのイオン依存具合は気になるところです。
なお当社は、無借金経営を長年に渡って継続しており、保有する現金同等物は80億円
弱と、じゃぶじゃぶの財務状況に変わりはありません。そのため、足許では配当性向の
目標を同業他社(具体的に言うとスペース)並みの50%まで一段引き上げており、今期は
5円増配となる45円配当を予想しています。今期予算に照らせば、あと5円追加で増配
して年間50円とすることも十分に出来ますが、ここ数期は予算の未達傾向が高いため、
今期もいざ決算を締めてみれば、はからずも配当性向50%達成とかそういうオチとなる
ような気もします。
*参考記事① 2018-04-14 1,296円 ---
配当性向は他社並みの40%志向で連続増配へ、船場(6540)。
*参考記事② 2017-11-07 1,312円 ---
今期減額修正も、二部上場からそろそろ1年・船場(6540)。
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