同業ティムコの筆頭株主へ、業容急拡大で躍進気配・スノーピーク(7816)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7816】スノーピーク(東証1部)  ---

現在値 1,494円/100株 PER44.0 PBR3.62 12月配当 株主優待あり

キャンプ用品、アパレル製造販売。高級品強い。卸主体だが、小売りも強化中。
配当は12月末一括の12.5円配で、配当利回りは約0.84%となります。

 

スノーピークは株主優待制度を実施しており、12月末現在の単元保有株主に対して、

株主限定アイテム(チタン製マグカップ等)の購入権利を付与しているほか、1年以上の

継続保有株主に対しては、当社製品の購入割引券(15%割引)を1枚進呈しています。

業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 78.5億円、営業利益 5.6億円 EPS 21.7円
■2016年12月期 売上高 92.2億円、営業利益 8.5億円 EPS 34.7円 
■2017年12月期 売上高 99.1億円、営業利益▲1.4億円 EPS▲18.0円 

■2018年12月期 売上高 120億円、営業利益 9.2億円 EPS 33.6円 

■2019年12月期 売上高 140億円、営業利益 10.0億円 EPS 33.0円 ce
□2019年6月中間 売上高 69.0億円、営業利益 4.8億円 EPS 15.6円 四e

2018年12月期の売上高は前期比21.8%増の120億円、営業利益は同赤字圏から浮上し、

9.2億円となり、大幅な増収増益を確保したほか、予算に対しても超過達成となりました。

主力のアウトドア事業において、4月に投入した高採算の初心者向け新商品(エントリー

パックTT/テント商品)が好調に推移したほか、新規顧客の獲得の取り込みも進んだため

アップセルが進み、初心者向け商品の売上は1年で3倍強となりました。アパレル事業に

ついても、アウトドア商品の認知度拡大にともなって顧客基盤が急拡大しており、国内店

の既存店売上高は前期比125%の水準まで飛躍的に増加し、当該セグメント単独でも黒字

へと転換し、全社の収益を下支えしました。


進行期である2019年12月期の予算については、売上高が16%増の140億円、営業利益

は7.8%増の10億円を予想しています。主力のアウトドア事業については、実績期で大幅

に拡大させた新規顧客(向こう3年間は当社製品への高い購買意欲が継続するとされる)

に対し、椅子・テーブル・調理器具といったファニチャー類をアップセルしていく計画です。

また、アパレル事業についてもコバンザメ的な認知度の向上の継続が期待されるほか、

アウトドア製品とのヴィジュアルMDの強化により、クロスセルを推進します。売上高伸長

のわりに利益の伸びが今一歩ですが、今期は人材関連投資に6億円強を追加で投じる

計画であり、平均年収を396万円から470万円まで伸ばし、従業員処遇改善を図ります。


当社は進行中でだった3年中計を、今期を期初とする新3年中計にローリングしており、

最終年度の2021年12月期に売上高120→185億円(CAGR15%)、営業利益9.2→28億円

(CAGR45%)を新たな業績目標に置き替え、事実上増額ローリングした格好となります。

基本戦略としては初心者を中心とした新規顧客の取り込みが軸であり、テントとタープ

を売りつけた後で、システムデザインにより調和性が取られた周辺器具やアパレル等

を揃えさせていくのが狙いであり、かつての家電メーカーでいうところのSONYのように

顧客ロイヤリティーの強い“スノーピーカー”を育てていくのが基本的な戦略となります。

 

またこのようなオーガニックな部分以外でも、グランピング事業や、地方でのキャンプ

イベント事業、アウトドアオフィス(野外研修)事業など、プロダクト型でない“コト消費”

分野へと事業ドメインを拡張しつつあるほか、海外についても、現状2割弱の構成比を

向こう10年以内に5割にまで引き上げる計画であり、昨年のイギリス現法設立に続き、

今年はアメリカ現法の設立も予定しています。足許では、釣具用品に強い同業卸しの

ティムコ(7501)の株式を創業者から13.7%を取得し、同社の筆頭株主となる公算です。

釣り(具)は当社アウトドア事業と全方位的に親和性が高く、守備範囲が更に広くなる

ため、対価となる約2億円の取得費用は安く、かなり効率的な資本提携と言えます。


こうした業容急拡大により、財務の状況が懸念されるところですが、昨年4月にSMBC

日興証券を相手先にMSワラントを発行しており、全部行使で16.2%の希薄化をともなう

ものの、本ワラントの行使により、最大で約33億円を調達する目論見となっています。

幸いにも昨年央は株価水準が高かったこともあり、依然発行済株式数の6%弱の潜在

株が未転換にはなっているものの、20億円分の調達を済ませているため、自己資本

比率が52%にまで1000bp.も良化していることも踏まえると、中計達成のために必要な

財務面の手当ては十分出来ているような印象を受けます。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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