年率2桁の利益成長続くが、中計目標は過信禁物・ヒューリック(3003)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3003】 ヒューリック (東証1部) ---

現在値 1,054円/100株 PER12.7 PBR1.73 6月配当 12月配当株主優待あり

旧富士銀行の銀行店舗ビル管理から出発。好物件所有、物件多角化。
配当金は6月末・12月末の合計28.5円配当のため、配当利回りは約2.70%となります。

ヒューリックは株主優待制度を導入しており、12月末に3単元超を保有する株主に対

して、3,000円相当のグルメカタログを進呈していますので、配当と合計した配当優待

利回りは、約3.65%となります(※3単元保有時)。また、3年以上の長期保有により優待

進呈額が倍となりますので、その場合の利回りは約4.60%となります(※3単元保有時)。

業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 1,699億円、経常利益 425億円 EPS 52.8円
■2016年12月期 売上高 2,157億円、経常利益 514億円 EPS 53.0円 
■2017年12月期 売上高 2,896億円、経常利益 618億円 EPS 64.3円 

■2018年12月期 売上高 2,875億円、経常利益 725億円 EPS 75.1円(1/30)

■2019年12月期 売上高 3,000億円、経常利益 800億円 EPS 82.8円 ce
□2019年6月中 売上高 1,200億円、経常利益 385億円 EPS 39.5円 四e

2018年12月期通期の売上高は前期比0.7%減の2,875億円、経常利益は同17.2%増の725

億円となり、コンセンサス水準を超過したほか、10月末開示も予想落着水準も概ねクリア

しました。主力の賃貸事業では、昨年末に渋谷公園通りが竣工したことによる通期稼働

効果や、本年2月竣工の板橋本町の銀行建替店舗の新規稼働が寄与しました。売買事業

については、傘下のREITに銀座7丁目や志村坂上を期中取得させたほか、下期のPOでも

神谷町の残り持分や番町を突っ込みました。また、2月に上場したザイマックスリートにも

複数の物件を拠出したほか、昨年取得した心斎橋プラザビル(4棟)の持分を大丸松坂屋

百貨店にシェアアウトしたことなども寄与しました。


進行期である2019年12月期の予算に関しては、売上予算については相変わらず会社側

非開示としているものの、経常利益については10.2%増となる800億円を予想しています。

傘下REITの株価は、昨年10月のPO時の公募価格を大きく上回って推移している状況に

あり、インプライド・キャップレートがかなり縮んでいることから、今期も低回りでオフィス

を供給しやすい状況にあり、売買事業については傘下REITが下支えとして機能すると

みられます。また、主力の賃貸事業についても順調に資産が積み上がっており、今期は

既に千里中央のDSビルを取得したほか、築地の新築を自社開発により取得しています。

業績達成のハードルは決して低くありませんが、これまでの当社の期初予算達成実績を

鑑みると、ショートしそうな場合は最終的に物件売却で数字を仕上げるものと予想します。


当社はそもそも前期を最終年度とする旧中計を1年前倒しで達成したため、進行中の新3

年中計へとローリングしており、翌2020年12月期に経常利益850億円(CAGR11%)を目指

しています。安定収益源である賃貸事業を中心に伸ばす計画で、賃貸事業と開発/売却

利益を2:1の比率まで持っていく目論見であり、本中計期間で6,600億円の新規投資(純増

額)を行う計画です。既述のとおり、実績期はマイルストン目標となる経常利益685億円に

対して、40億円上振れしている状況であるため、“見えがかり上は”今回のローリング後

の中計も前倒しでの達成が期待されますが、現時点では何とも言えないと考えています。

 

足許では、賃貸用不動産の取得が急速に進んでおり、実績期末に購入した鶴見のイトー

ヨーカ堂や、赤坂スターゲートプラザといった物件に加え、今期の予定案件としてお台場

のグランドニッコー建物(底地は取得済)、パルコ保留床取得など決定・予定含めて3千億

の物件が名有りとなっています。ただこれらは全て固定資産であり、短期的な業績の玉と

することは通常出来ないため、まだまだ売却利益に頼りがちな当社としては、販売用不動

産の積み上がりの遅さについては懸念点であり、意欲的な中計に影を落としています。


なお財務面については、昨年に劣後債と劣後ローンのハイブリッドファイナンスで1,500億

円をエクイティ性のあるデットで調達を済ませており、(会社側の主張する)自己資本比率

は31.1%まで良化しているため、当分は財務リスク・POリスクが遠のいた気配です。また、

株主還元については、本中計期間から配当性向33%の基準を設定しているため、今期は

3円増配となる28.5円を予想しております。配当をここまで出さなくてもいい気もしますが、

会社側としては賃貸事業比率が増えて安定し、還元余力が向上してきたことをアピール

したい意図があるものと考えています。

 

*参考記事① 2018-11-06 997円 ---

今期は期初予算並の仕上がり、成長鈍化で還元強化も?ヒューリック(3003)。

 

*参考記事② 2018-03-25 1,119円 ---

新3年中計でも年率11%成長を志向、超イケイケ経営続く・ヒューリック(3003)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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