新3年中計でも年率11%成長を志向、超イケイケ経営続く・ヒューリック(3003)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3003】 ヒューリック (東証1部) ---

現在値 1,119円/100株 PER15.8 PBR1.96 6月配当 12月配当優待

旧富士銀行の銀行店舗ビル管理から出発。好物件所有、物件多角化。
配当金は年2回合計23.5円配当で、配当利回りは2.10%となります。

ヒューリックは株主優待制度を導入しており、12月末に300株以上を保有する株主に
対して、

3,000円相当のグルメカタログを進呈していますので、配当金と合計した配当優待利回りは、

約2.90%となります(300株保有時)。また、3年以上の長期保有により優待進呈額が倍となり

ますので、その場合の利回りは約3.88%となります(300株保有時)。

業績を確認していきます。
■2014年12月期 売上高 2,124億円、経常利益 343億円 EPS 37.7円
■2015年12月期 売上高 1,699億円、経常利益 425億円 EPS 52.8円
■2016年12月期 売上高 2,157億円、経常利益 514億円 EPS 53.0円 
■2017年12月期 売上高 2,896億円、経常利益 618億円 EPS 64.3円 

■2018年12月期 売上高(※非開示)、経常利益 685億円 EPS 70.6円 ce
■2018年12月期 売上高 2,691億円、経常利益 690億円 EPS 71.2円 QCe
□2018年6月中間 売上高 1,100億円、経常利益 350億円 EPS 34.9円 四e

2017年12月期の売上高は前期比34.2%増の2,896億円、経常利益は同20.2%増の618億円

となり、期初計画及びコンセンサスを上回って着地したほか、直近7期連続で達成している

経常利益の年率2割成長も併せて実現しました。傘下の上場REITが11月のPOで92億円

を調達出来たことで、相鉄ホテル2棟(121億円)や大森、渋谷、新橋の商業施設を無事に

売却出来たほか、11月には私募リートを組成し、322億円分の物件拠出(東銀座三井ビル

DSBG潮見ビルなど)を行ったため、売却益が大きく膨らみました。また、三菱重工から取

得したみなとみらいを期中ウェアハウジングでケネディクスとその傘下のREITに640億円

で売却したため、この転売一発によって、売上高についても大きくカサ増しされています。


進行期である2018年12月期については、売上高予想については非開示であるものの、
経常利益は10.7%増の685億円を予想しています。前の期を700億円上回る2,800億円の

新規投資を行う予定となっており、うち2,000億円を長期保有物件の取得に振り向ける予

定のため、安定事業である賃貸事業の構成比が増加する見込みです。また、前の期に

取得したTOCみなとみらい底地や心斎橋プラザビル(3棟)の賃収が通期で寄与します。
流動的なのが上場/私募REITへの売却ですが、上場REITはともかく、私募REITの方は

3~5年で資産規模1,000億円を目指していますので、今期も拠出があると思われます。

(※なお、1Qを通過していない現時点でのコンセンサスは会社予想並となっています)

当社はこれまで2018年12月期を最終年度とする3年中計において、経常利益を610~

640億(CAGR13~14%)を目指してきましたが、前の期に前倒しで達成してしまったので、

早くも新3年中計にローリングしており、2020年12月期に経常利益850億円(CAGR11%)

を新たな定量目標に定めています。安定収益源である賃貸事業を中心に伸ばす計画

となっており、向こう3期で6,600億円の新規投資(純増額)を行う計画です。築10年以内

の物件を45%以内にする、という指標を持っているため、容積非消化物件を建て替えて

保有し、古くなってきた既保有ビルをREITなどに外販するのが基本戦略となります。

 

財務状況については、2015年4月のPOで800億円(@1,274円)を調達しているものの、

物件の取得が進んでいることもあり、自己資本比率は1年前に比べ2%低下して27.7%と

なっています。また、年明けに格付的に半分が資本認定される、劣後債と劣後ローン
のハイブリッドファイナンスで1,500億円をデット調達しているので、資金調達は進んで

いるものの、財務にストレスがかかってきた印象です。なお、平均調達金利は0.61→

0.57%に下がっていますが、こちらもそろそろ限界とみられますので、金利反転も含め

財務状況は要注意と言えます(株価さえ回復すればPOで財務良化したい水準です。)

なお株主還元については、今期からの中計期間で配当性向1/3(33%)の基準を設定し

前の期比2円50銭増配の23.5円配当を予想しており、連続増配となる見込みです。
大手財閥系デべと比べると財務がぜい弱でありながら、配当性向は当社の方が高い

ので、成長性と株主還元により「株主の方を向き過ぎる」イケイケ経営ぶりが気になり

ますが、常に走り続けていないと倒れてしまう会社なので、目を瞑ることにします。

*参考記事① 2017-03-20  1,053円 ---

7期連続の経常益2割成長を実現、ヒューリック(3003)。

*参考記事② 2016-03-27 1,076円 --
中計前倒とSIA買収で飛躍、ヒューリック(3003)。

 

 

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