非ゲーム上伸も、パチンコパチスロ規制が色濃く続落か・デジタルハーツHD(3676)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3676】デジタルハーツホールディングス(東証1部)  --

現在値 1,347円/100株 PER19.1 PBR6.66 3月配当優待 9月配当

専用機、モバイル向けゲームソフトの不具合検出(デバッグ)主力。非ゲーム分野に注力。
配当は3月末・9月末の合計13円配当のため、配当利回りは0.97%となります。

デジタルハーツホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末の単元株保有株

主に対して、お米券を3枚進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.94%となります。

業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 132億円、営業利益 15.1億円 EPS 22.6円 
■2016年3月期 売上高 150億円、営業利益 19.3億円 EPS 15.7円
■2017年3月期 売上高 154億円、営業利益 19.0億円 EPS 35.6円 
■2018年3月期 売上高 173億円、営業利益 17.3億円 EPS 55.1円

■2019年3月期 売上高 210億円、営業利益 22.0億円 EPS 70.3円 ce
□2018年9月2Q 売上高 93.3億円、営業利益 7.7億円 EPS 23.3円

□2018年12月3Q 売上高 143億円、営業利益 12.4億円 EPS 38.8円(2/8)

2018年9月中間期の売上高は前年同期比13.0%増の93.3億円、営業利益は同22.5%減の

7.7億円で落着し、期初予想との比較はないものの、2桁の増収・2桁の減益となりました。

主力のエンタメ事業については、パチンコ・パチスロ等のAM分野が規制強化の影響を受

けて極めて軟調に推移したものの、ソシャゲのMS分野は運営フェーズに入ったタイトルが

増加したほか、家庭用のコンソールも下期偏重ながら底堅く推移しました。また、事業用

のエンタープライズ事業についても、システムテストで新規顧客の獲得が順調に推移した

ほか、ITサービス・セキュリティも上期で既に前年通期実績を上回りました。なお利益面

が反落となったのは、好採算のAM分野の大失速による影響が主要因となります。


進行期の2019年3月期の予算については、期初予想を据え置いており、売上高が前期比

21%増の210億円、営業利益は26.7%増の22億円と2割以上の大幅な増収増益を計画して

います。エンタメ事業については、上期に規制強化のあおりで新台の端境期となったAM

分野の巻き返しが期待されるものの、2月上旬に既に開示されている3Qによれば、依然

として大きく苦戦している状況です。ソシャゲのMS分野だけは好調を維持しているものの、

通常は繁忙期となるコンソールも伸び悩んでいる状況のため、主力の本セグで3Q累計が

減収となっていることを鑑みると、全社予算は未達濃厚圏です。なお、現状ではサブセグ

のエンタープライズ事業については先行投資が嵩んでセグメントの赤字が拡大している

ものの、9月に子会社化したエイネットが寄与することもあり、大幅増収が続いています。


当社は一昨年に創業者の宮澤氏(現会長、筆頭株主29.4%)からローソン前会長の玉塚氏

に社長交代しており、新体制の下で策定された中計において、2021~2023年3月期(要は

3~5年間)で売上高500億円、EBITDA100億円を目指すこととしています。内容は売上高

ベースでエンタメ事業で250億円、エンタープライズ事業で250億円、海外事業で50億円を

稼ぐ皮算用となっています。これまでの当社はパチンコ・パチスロのデバッグに頼ってきた

面が大きく、営業面は殆ど創業者の宮澤氏が一人で担う“技術者会社(※大半はバイト)”

でしたが、新中計ではこのAM分野への依存を脱却するとともに、知名度の高い玉塚氏が

組成した営業部隊により受注強化を図るとともに、これまで手薄だった(AMやゲーム業界

以外の)一般企業向けのシステムテスト、セキュリティ分野での深耕を進める方針です。

 

また、昨年5月にはドイツ証券を割当先とした最大110億円規模のワラントを発行しており、

スペシャリスト人材採用やAI自動化ツールの開発に35億円を投じるほか、75億円を関連

事業へのMAや資本参加などの飛び道具に使う方針です。当社は自動運転のZMPと合弁

会社を設立しているほか、HEROZにも資本参加しており、足許では同業のバルテスへの

資本参加やエイネットの完全子会社化も実行しているため、基本的に自社のキャピタル

を投下したうえで提携・業容拡大を志向している傾向が色濃く、平たく言うとMA資金調達

が目的かと思われます。但し、足許の株価水準は一番低い行使価格の下限(@2,100円)

にも遠く及ばない状況であることを踏まえると、行使価額修正無の本ワラントは当面行使

が進まないとみられ、希薄化しないものの、資金需要は満たせない公算が高い状況です。

 

そのため、現在の財務状況はネット無借金で良好な状況が続いているものの、なるべく

財務を温存する可能性が高く、株主還元に関しては【8.5→9.5→11.5→11.5→13.0円(予】

、と現状の非常に緩やかな牛歩増配基調が保たれるのがせいぜいかと思われます。

今期の予想配当性向は、13.0円配当の場合で18.5%と低水準ですが、これは今期の予算

が達成される前提であり、今期のように業績未達の場合は配当性向が切り上がるので、

これだけを見て「増配余地あり」とは、とても言える状況ではないかと思います。

 

*参考記事① 2018-07-18 1,527円 --

元ローソンの玉塚体制も2年目に突入・デジタルハーツホールディングス(3676)。

 

*参考記事② 2013-07-07 1,280円*分割修正済  --

ぶっとび好業績のデジタルハーツからお米券が6枚来ました!

 


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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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