順調に業容拡大中だが、利益成長には要時間・デリカフーズホールディングス(3392)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3392】 デリカフーズホールディングス (東証1部) --

現在値 1,342円/100株 PER20.7 PBR1.31 3月配当 9月株主優待

外食産業、ファストフード向けカット野菜、生鮮ホール野菜が主力。
配当は3月通期一括の16円配当のため、配当利回は1.19%となります。

デリカフーズホールディングスは株主優待制度を導入しており、9月末に100株以上を

保有する株主に対して1,500円分の野菜詰合せまたはジェフグルメカードを進呈して

おりますので、配当優待利回りは約2.30%となります。

業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 280億円、経常利益 7.6億円、EPS 78.4円 
■2016年3月期 売上高 315億円、経常利益 7.0億円、EPS 54.7円 

■2017年3月期 売上高 345億円、経常利益 6.0億円、EPS 44.9円 
■2018年3月期 売上高 372億円、経常利益 7.6億円、EPS 64.6円 

■2019年3月期 売上高 390億円、経常利益 8.0億円、EPS 64.7円 ce
□2018年9月中 売上高 194億円、経常利益 2.7億円、EPS 19.9円(11/14)

2018年9月中間期の売上高は前年同期比9.0%増の194億円、経常利益は同14.9%減の

2.7億円となり、期初計画に対しては増収減益での着地となりました。売上高については、

主要顧客である外食業界における人手不足を背景に、カット野菜・真空加熱野菜が大幅

な伸びをキープしました。その一方で利益面については、台風等の天候不順により野菜

の調達価格が上昇したほか、野菜の品質低下による選別コストと廃棄ロスの増加、また

昨年5月に稼働を開始した中京FSセンターの初期費用も嵩み、減益となりました。


なお2019年3月期通期の予算については据え置いており、売上高は前期比4.7%増の390

億円、経常利益は同4.9%増の8億円と増収増益を予想しています。トップラインについては、

中京FSセンターが下期よりフルで業績に貢献するほか、12月にからは埼玉FSセンターが

稼働を開始しているため、その分の上乗せが見込まれます。また、当社が注力中の真空

加熱野菜は、外食業界からの引き合いが強く、足許の受注も計画超で推移しているものと

みられます。下期は上期の天候不順の影響が薄らぐほか、野菜の調達コストや物流コスト

の価格転嫁が徐々に進んでいるため、ある程度利益面の巻き返しも進む公算です。よって、

予算を達成し、売上高・利益ともに過去最高を更新する可能性もまだありそうな印象です。


今期は3年中計の2年目となっており、最終年度の2020年3月期に売上高345→400億円、

経常利益は6.0→11.0億円を目指しています。トップラインの成長の柱は、既に建設済の

中京・埼玉の新FSセンター2棟であり、単純に取扱高が増える(中京30億円・埼玉40億円)

ほか、原料輸入を商社経由から自社での直輸入に切り替えることによる原価の低減効果

が見込まれます。また、昨年東・名・阪3社の事業子会社を統合しており、電気代や仕入

一括化など効率化による“浮き分”が約1億円分利益に寄与します。

 

これ以外の施策として、自社での物流網の構築を推進しており、既に自前のドライバーを

69名(トラック37台)確保しています。既に東海道間で日次定期便を運行出来るまでに運航

効率が上昇しており、水屋チックに他社品を混載することで採算性も向上していることから、

徐々に自前物流網の規模の利益が発現してきた印象です。全国的に物流コストが増加し、

かつ当社の拠点が増加しているので、自社の物流網は経費面で複次的に効いてくること

が期待され、会社側では2020年までに仙台や九州まで自社幹線網を築く計画のようです。

 

一応、会社側の中計目標については、売上高の400億円については今期にも前倒達成

圏とみておりますが、利益について未達(経常利益9.5~10億円止まり)公算が高そうです。

これは現状会社が工場等の操業度を極限まで上げるため、“24時間365日営業”を実施

しているため、目論見通りに人材が定着していない状況であり、社員の待遇改善のため

にそちらにある程度お金を回す可能性があるほか、新設工場への積極投資により償却が

重くなっているため、残り1年で利益水準を更に良化させるのは難しいかと考えています。


なお、今期の配当は前期比据置きの16円配を予想しており、配当性向は24%強に留ま

っています(会社側の公表基準は20%)。当社の場合は工場や貯蔵センターの新設など、

いつでも資金需要があるため、自己資本比率は約4割を確保しているものの、積極的に

株主還元するインセンティブは低いとみられ、当面このレベルでの還元が続きそうです。

 

*参考記事① 2018-02-04 1,500円 --

外食の人手不足背景に最高益更新なるか、デリカフーズ(3392)。

*参考記事② 2016-01-20  930円 --

株主優待でジェフグルメが選択可能に、デリカフーズ(3392)。

 


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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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