高値圏でのMSワラント選択は完全に裏目、プロパティエージェント(3464)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3464】プロパティエージェント(東証1部) --

現在値 932円/100株 PER7.2 PBR1.57 3月配当 9月株主優待

資産運用型不動産の開発、販売とPMの2本柱。東京23区と横浜市で展開。
配当金は3月末一括の21円配のため、配当利回りは2.25%となります。

プロパティ―エージェントは株主優待制度を導入しており、9月末に単元株を保有する株主

に対し、3,000円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは5.47%となります。

業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 86.6億円、経常利益 7.0億円 EPS 91円
■2016年3月期 売上高 94.4億円、経常利益 7.1億円 EPS 81円 
■2017年3月期 売上高 121億円、経常利益 9.3億円 EPS 87円 

■2018年3月期 売上高 192億円、経常利益 11.2億円 EPS 109円

■2019年3月期 売上高 220億円、経常利益 13.5億円 EPS 125円ce修正

□2018年9月中  売上高 55.0億円、経常利益 ▲0.8億円 EPS▲12.3円(11/6)

2018年9月中間期の売上高は前年同期比14.0%減の55.0億円、経常利益は同赤字転落の

▲0.8億円となったものの、期初より赤字で折り返す旨のアナウンスがなされていたので、

計画通りの着地となりました。柱の分譲事業においては、引き渡しが下期に偏重すること

もあり、投資用を79戸、小型居住用を41戸、業者向けの一棟卸を含んだその他を57戸、

合計で177戸を引渡しましたが、前年同期との比較では▲105戸の大幅減となりました。

 

なお2019年3月期の通期予算についても中間時点で修正しており、売上高は前期比14.5%

増の220億円(従予:240億円)、経常利益は同20.0%増の13.5億円(従予:12.5億円)に変更し

ています。通期では投資用430戸、小型居住用140戸、一棟卸含むその他180戸(計750戸)

にくわえて、都市型アパート10棟の販売を予定しており、折り返しとなる中間時点では前期

を上回る契約率80%を確保していますが、それでもトップラインを減額したのは、昨今の不正

融資問題等による今後の契約の積上がりを保守的に見直したのか、仕入軟化を見越して、

在庫をあえて翌期へと持ち越した意図があるとみられます。その一方、利益を増額出来た

要因としては、従来型の広告展開ではなく、LINEなどのツール活用により“売り方”を変え、

人件費・広告費が抑制出来たため、利益率が改善していることに由ります。

 

当社は2015年12月に上場したばかりの会社であり、市場もJQSであったため、成長可能性

資料の開示はなされていませんが、会社側では時限の定めのないKPIとして、1年あたりの

マンション引渡戸数1,000戸(投資用+小型居住用の合計)、都市型アパート30棟を目指して

います。売上高換算でおよそ300億円程とみられますが、既述のとおり、今期はトップライン

を下方修正していますので、どんなに早くても2022年3月期頃になろうかと思います。

 

なお、当社は2015年の上場時には6億円ほどしか調達していませんでしたが、昨年7月の

東証一部指定替えの際に通常のPOではなく、野村證券を相手先としたMSワラントで最大

130万株分(希薄化率19%)の予約権を発行しました。発行当時の株価水準は1600円くらい

だったので、概算調達額は21億円規模にのぼる見通しでしたが、足許の株価下落により、

現時点での調達見通し額はこの半分程に留まるとみられます。実際に30万株分しか行使

されておらず、現在の株価水準も90.5%修正条項を考慮すると、ほぼ行使下限の744円に

近い状況であるため、残りの分の行使が進むかどうかも不透明な状況といえます。

 

そのため、現状の2割を切る自己資本比率では仕入を積極化するのも難しく、あえて今期

はトップラインを減額しにいったのも遡って理解出来るところです。なお、今期の株主還元

については、東証一部上場の記念配当5円を含む年21円配に増配を予想していますが、

記念配を含めた配当性向を僅か16.7%止まりに留めているため、やはり財務基盤の安定

化を優先している印象は強く、この辺の資本政策としてはまともな印象も受けます。今後

の成長シナリオを描くためには、何は無くとも株価水準の復元が必要不可欠であり、現時

点では“じっと待つ”ことしか出来ないため、当面は我慢の強いられる展開となりそうです。

(折角の高値圏だったので、MSワラントではなく、通常POにしておけばよかった感は強い)

 

*参考記事① 2018-09-20 1,262円 --

今期は期初契約率低調で、下期偏重予算で苦戦か・プロパティ―エージェント(3464)。

 

*参考記事② 2018-01-20 858円*分割修正済 ---

業績上方修正&二部指定替えも、要警戒圏へ・プロパティ―エージェント(3464)。



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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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