【3463】いちごホテルリート投資法人(東証REIT) ---
現在値 138,000円/1株 PER15.9 PBR1.081月分配 7月分配 投資主優待なし
ホテル特化型、スポンサーはいちご。バリューアップによる賃収増に特徴。
予想分配金は年2回の合計円配で、予想分配金利回りは約6.28%です。
業績を確認していきます。
■2017年1月期_第3期 営業収益 15.6億円、経常利益 8.0億円 DPU 3,267円
■2017年7月期_第4期 営業収益 16.8億円、経常利益 7.9億円 DPU 3,101円
■2018年1月期_第5期 営業収益 17.8億円、経常利益 8.4億円 DPU 3,285円
■2018年7月期_第6期 営業収益 18.1億円、経常利益 8.5億円 DPU 3,352円
■2019年1月期_第7期 営業収益 24.4億円、経常利益 13.8億円 DPU 5,429円 ce
■2019年7月期_第8期 営業収益 18.2億円、経常利益 8.2億円 DPU 3,243円 ce
2018年7月期_第6期の営業収益は、第4期比7.5%増の18.1億円、経常利益は同7.0%増の
8.5億円で着地し、概ね期初予想通りの着地となりました。分配金は当初予想の3,267円→
3,352円へと85円上振れしています。変動賃料採用12物件はレベニューマネジメントにより
OCCが93.4→92.9%となったものの、ADRを8,837円→9,186円まで伸ばした結果、仕上がり
のRevPARは、8,252円→8,537円に上伸しました。その他、修繕費未消化による1千万円の
“浮き”と、1月に取得したアーバイン広島(171室)の通期稼働効果などがありました。
進行期である2019年1月期_第7期の予算は営業収益で第5期比37.3%増の24.4億円、経常
利益で同64.4%増の13.8億円をそれぞれ見込んでいます。変動賃料物件のRevPAR前提
は8,300円としており、第5期との比較ではほぼ横ばいを見込んでいますが、数字が大きく
ハネるのは、8月にスマイルホテル浅草(96室)の売却を21億円で売却し、7億円弱の譲渡
益が出ることが主な要因であり、当該物件よりNOIが高いコートホテル倉敷(104室)を同じ
タイミングで組入れしているため、物件売却による賃料剥落を回避しています。但し、9月
中旬に開示された予想のため、台風21号や北海道胆振地震の影響を織り込んでいない
とみられるため注意が必要です。なお、ボトムラインであるEPU(分配金)は第6期比2,127
円増となる5,429円を見込んでいます。
今期はこの浅草売却の譲渡益の顕在化により、他のホテルREIT4本(JHR・INV・星野・森
トラH)の分配金利回り水準である4~5%台から、頭一つ抜けた6%台の利回りとなりますが、
そして浅草の譲渡益は一括で吐き出してしまうため、巡航化する第8期の利回りは4.7%程
の水準に逆戻りしてしまいます。一応、取得余力を示すLTVについては、39.1%程度を確保
しているため、まだ手金とデットで取得することが可能ですので、利回り5.0%を一つの水準
とするのであれば、PO外の期中取得があるかもしれません。スポンサーでのいちご(2337)
には478億円ものパイプラインがあるため、親は“押し込みたい”意向が働くと思われます。
当法人は16年8月に@149,000円でPOして以来、株価が低迷していましたが、自己株取得
や浅草売却による利回りカチ上げにより、株価水準がかなり復元しています。ただ不動産
評価額自体の上昇もあり、NAV割れ水準を回復するだけでも、あと8,000円近い株価上昇
が必要があります。然しながら、圧倒的な利回りブースト効果が切れる第8期以降は株価
水準の更なる回復は望みにくく、現在のP/NAV0.95倍水準では再度の自社株買いもしず
らいため、成長戦略に手詰まり感が出てきている状況です。
なおこうした状況とはあくまで別の話として、本年10月の投資主総会で、AM報酬を「AUM
連動」および「取得・譲渡一時金」型から、「NOI・DPU連動」および「譲渡益成果報酬15%」
という、J-REIT初の完全成果報酬型報酬体系への移行が決議されました。勿論、本変更
によりAM報酬が透明化されるという側面はありますが、譲渡益が出る場合は従来型より
もAM報酬が大きくハネる可能性が高いため、運用会社には物件の売却インセンティブが
働きやすいこともまた事実であろうかと思います。
このような状況や事実を総合的に勘案すると、当法人側が描いている成長シナリオは自
ずと浮かびあがってくるところであり、最低でも5.0%程度の利回りが確保されることを念頭
においたコーポレートアクションが意識される状況です。
*参考記事① 2018-05-04 133,800円 ---
浅草物件売却益で利回り6%台へ突入、いちごホテルリート(3463)。
*参考記事② 2017-11-18 114,300円 ---
J‐REIT2例目となる自社株買いを完了、いちごホテルリート(3463)。
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*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
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