浅草物件売却益で利回り6%台へ突入、いちごホテルリート(3463)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3463】いちごホテルリート投資法人(東証REIT) ---

現在値 133,800円/1株 PER15.4 PBR1.05 1月分配 7月分配

ホテル特化型、スポンサーはいちご。バリューアップによる賃収増に特徴。
予想分配金は年2回の合計8,644円配で、予想分配金利回りは約6.46%です。

業績を確認していきます。

■2016年7月期_第2期 営業収益 7.7億円、経常利益 3.9億円 DPU 2,825円 

■2017年1月期_第3期 営業収益 15.6億円、経常利益 8.0億円 DPU 3,267円 

■2017年7月期_第4期 営業収益 16.8億円、経常利益 7.9億円 DPU 3,101円 

■2018年1月期_第5期 営業収益 17.8億円、経常利益 8.4億円 DPU 3,285円 

■2018年7月期_第6期 営業収益 18.1億円、経常利益 8.3億円 DPU 3,267円 ce

■2019年1月期_第7期 営業収益 24.2億円、経常利益 13.7億円 DPU 5,377円 ce修正 


2018年1月期_第5期の営業収益は、第3期比で14.2%増の16.8億円、経常利益は同4.0%増

の8.4億円で着地し、期初予想比でも増収増益を確保しました。分配金は当初予想の3,187

→3,302円へ165円上振しています。変動賃料採用12物件のRevPAR前提8,221円に対し

OCC/ADRの両方が上昇したことにより、8,234円まで上振れしたことが寄与しました。また

昨年8月に自己資金とデッドで取得したアーバイン広島(171室)のオンと、計画工事び削減、

修繕費未消化、水道光熱費の減少等による費用削減があったほか、発行済投資口の1割

に相当する約3億円の自己株を取得・消却したことにより分配金を34円押し上げています。


なお進行期である2018年7月期_第6期の営業収益は、第4期比で7.2%増の18.0億円、経常

利益は同4.2%増の8.3億円と増収増益を見込んでおります。変動賃料物件のRevPAR前提

値は8,648円としており、第4期と比べると約5.0%の収入増を見込んでいます。このほか

新規取得の広島の巡航化や、一部ホテルの賃料改定も寄与するほか、金利関連費用の

削減で数字を作る計画です。なお、固都税の評価替によるコストの増加は殆ど見込んで

おらず、ボトムラインであるEPU(分配金)は第4期比166円増の3,267円を見込んでいます。

 

当法人は先月2日にスマイルホテル浅草(96室)の売却をリリースしており、本年8月1日付

で国内のSPCに27億円で引き渡します。同ホテルの簿価は21.3億円のため、翌2019年1月

期_第7期に約7億円弱もの膨大な譲渡益が発生する見通しとなりました。そのため、第7期

の予算を修正しており、営業収益を24.2億円(従予:17.8億円)、経常利益を13.7億円(従予:

8.0億円)、分配金を5,377円(従予:3,162円)にそれぞれ大幅増額しています。このS浅草は、

当法人にとっては2.7%の賃料収入を占める“決して小さくない”物件ですが、ホテル市況の

良いうちに高く売れる築古物件は売って投資主還元に回す姿勢は評価出来るものであり、

昨年末の自己株取得・消却の実績も含め、投資主コンシャスな姿勢が目立ちます。

 

またS浅草の売却により、他のホテルREIT4本(JHR・INV・星野・森トラH)の分配金利回り

水準である4~5%台から、瞬間的には頭一つ抜け出す6%台の利回りとなりました。巡航化

すると分配金はまた落ちてしまいますが、取得余力を示すLTVについては、自己株を取得

してなお39.2%程度を確保しているため、S浅草の賃収落ち分は、利回り重視の地方物件を

デットで取得することにより穴埋めすることも可能です。ちなみにスポンサーであるいちご

(2337)には578億円分のパイプラインがあり、時期を見ながら押し込むものとみられます。

 

当法人は16年8月に@149,000円でPOして以来、株価低迷に見舞われてきましたが、足許

の自己株取得や物件売却による利回りカチ上げにより、株価水準が急回復しています。

株価140千円水準の回復で、悲願のNAV割れ脱出が射程圏となるため、前回POの公募

価格を回復出来ていなくても、改めてPOによる外部成長が選択肢に入りそうです。一旦

は当法人の一連の取り組みについて高く評価したいと思います。

 

*参考記事① 2017-11-18 114,300円 ---

J‐REIT2例目となる自社株買いを完了、いちごホテルリート(3463)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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