業容(業態)拡大意欲は強いが、精度低くジリ貧気味・ホットランド(3196)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3196】ホットランド(東証一部) --

現在値 1,483円/100株 PER54.6 PBR6.65 12月配当優待 6月優待 

「築地銀だこ」「COLD STONE CREAMERY」などの直営・FCによる運営。
配当は年5円のため、配当利回りは約0.34%となります。

ホットランドは株主優待を導入しており、6月末・12月末に100株以上を保有する株主に対し

て、1,500円分の株主優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは2.36%となります。

業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 309億円、経常利益 15.0億円、EPS 42.3円
■2016年12月期 売上高 315億円、経常利益 9.6億円、EPS ▲36.0円 
■2017年12月期 売上高 324億円、経常利益 10.7億円、EPS 23.1円

■2018年12月期 売上高 320億円、経常利益 11.5億円、EPS 27.1円 ce  

□2018年6月2Q 売上高 152億円、経常利益 3.8億円、EPS ▲5.1円   
□2018年9月3Q 売上高 236億円、経常利益 6.8億円、EPS 0.57円(10/30)  

2018年6月中間期の売上高は、前年同期比5.3%減の152億円、経常利益は同39.7%減の

3.8億円となり、期初予想との比較はないものの、大幅な減収減益となりました。主力の「

銀だこ」において、前年同期に実施した20周年記念キャンペーンの剥落があったものの、

既存店の売上高想定99%に対して、98.8%水準で踏みとどまりました。しかしながら、原料

となるタコが世界的に高騰してたあおりを受けて利益率が悪化したほか、「銀だこ」以外の

「銀のあん」「Quiche」の不採算店の閉鎖も響き、トップライン段階から大きく減少しました。


なお、2018年12月期通期の予算は据え置いており、売上高は前期比1.3%減の320億円、

経常利益は6.9%増の11.5億円を予想しています。主力の「銀だこ」の既存店売上高前提

を引き続き99%水準で据え置いていますが、7月より価格改定(30円の値上げ)したことも

あり、足許の第三四半期単独期間の既存店売上高は100%をキープしているため、この

KPIについては達成の目が残ります。ただ上期のビハインドが非常に大きいことにくわえ、

「銀だこ」以外の事業は店舗閉鎖を継続しているため、今期中での挽回は不可能と推察

されますので、表記の通期予算は大幅未達が確定的な状況と言えます。

 

やはり「銀だこ」の次を担うと期待された「銀のあん」も、一過性のブーム終了と季節偏重

性に由来する出店の難しさにより大幅な退店超過となっているほか、「Quiche」や、「THE

COFEE BEAN&TEA LEAF」も完全撤退が秒読みとなっているため、「銀だこ」以外の業態

が全く育っていないことが当社の構造的な問題点となります(※最近は銀だこも退店超過)。

唯一、コンスタントに出店出来ているのも「銀だこ」の派生業態であり、アルコール中心で

利益率が高い「銀だこハイボール酒場」のみとなっており、年20店のピッチで出店し、現在

50店程の店舗数を向こう2年程で120店まで急拡大させる計画となっています。15坪から

出店が出来る機動性はあるものの、駅前立地の確保やスタッフ確保の問題もあるため、

現実的な出店計画とは言えず、会社側計画には過大感を感じます。

 

また、当社はオーナー企業である強みを生かした積極的な外部提携も進めており、昨年

10月に米国子会社の第三者割当増資を「かつや」のアークランドサービス(ALS)に引受

させ、北米事業をほぼイコールパートナーとして推進しています。実際、本年8月にはLA

に「銀だこ」の1号店を出店したほか、ALSの業態である「からやま」も、同じくLAに出店を

果たしています。ただこの提携はまだ上手くいっているほうであり、ポラリス・キャピタル

が100億円超で買収し、目下売出中のチーズタルト屋「BAKE」については、当社が香港

や台湾で展開するライセンスを保有していたものの、台湾ライセンスについては譲渡し、

撤退していることから、やはり業容(業態)拡大意欲のわりに精度が悪すぎる印象です。

 

なお株主還元に関しては、今期も5円配(配当性向18.4%)を据置く方針となっています。

当社は工場を新設したり、MAしたりと明らかな資金需要があるので、株主還元を最低限

とする資本政策は支持出来るものですが、去る10月に買収したお好み焼き屋は年商4.5

億円ありながら、利益は数百万円の会社であり、のれん償却を考慮すると逆にマイナス

になるレベルの会社なので、カネの遣い方を今一度よく考えて欲しいと思います。

 

*参考記事① 2018-04-04  1,322円 --

「銀だこ」だけなら好調も、不採算業態も多い・ホットランド(3196)。

 

*参考記事② 2017-11-04 1,422円 --

 「かつや」のALSと米国展開で合弁へ、ホットランド(3196)

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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