今期は地震特需で巻き返し濃厚も、興味は次回中計へシフト。ラクト・ジャパン(3139)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3139】ラクト・ジャパン(東証1部) --

現在値 7,220円/100株 PER19.6 PBR2.57 11月配当 5月株主優待

旧東食系。乳原料・チーズ、食肉加工品の食品専門商社。北米、欧州、豪に拠点。
配当は11月末一括の40円配当のため、配当利回りは0.55%となります。

ラクト・ジャパンは株主優待制度を導入しており、5月末の単元株主に対して1,000円分の

クオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約0.69%となります。

業績は以下の通りとなります。 
■2014年11月期 売上高 965億円、経常利益 16.6億円 EPS 255.6円
■2015年11月期 売上高 980億円、経常利益 13.4億円 EPS 197.9円
■2016年11月期 売上高 886億円、経常利益 14.3億円 EPS 193.5円 
■2017年11月期 売上高 1,013億円、経常利益 25.2億円 EPS 358.9円

■2018年11月期 売上高 1,103億円、経常利益 26.0億円 EPS 367.9円 ce
□2018年5月中  売上高 591億円、経常利益 11.3億円 EPS 150.5円 

□2018年8月3Q  売上高 879億円、経常利益 19.2億円 EPS 263.9円(10/12)

2018年5月中間期の売上高は、前年同期比27.3%増の591億円、経常利益は同36.1%減の

11.3億円となり、2割を超える増収を確保したものの、経常利益については大幅減となり、

予算比でも増収減益で着地しています。主力の乳原料部門においては、飲料や飼料の

新規顧客開拓が進んだほか、チーズ部門においてはチーズ価格の国際的な値下がりに

より需要が喚起されたことで、売上高が増加しました。その一方、経常利益については、

期中の円高進行により、前年同期とは逆で為替ヘッジがマイナスに寄与し、実質的には

増益を確保していながらも、見えがかり上は大幅な減益となりました。


2018年11月期の通期予算ついては据え置いており、売上高は前期比8.9%増となる1,103

億円、経常利益は3.1%増の26.0億円を予想しています。主力の乳原料・チーズ部門にお

いて、生乳の生産量減少を背景とした需給の改善とアイスクリームやチョコレート等の最

終製品の販売増による取扱数量の増加を見込んでいます。反面、食肉加工品部門では、

大口販売先の仕入方針変更の影響を大きく受けたほか、国産豚の需給が緩んだことも

あり、同セグは反落となる見通しです。なお、去る9月に発生した北海道胆振東部地震に

よる影響(当社としてはアップサイド要素となる)を業績予想には織り込んでいないため、

3Qまでは為替で微妙な進捗であるものの、4Q単独期間で巻き返す可能性を残します。


当社はローリング形式の中計を策定しており、前回中計が僅か1年で大幅超過達成と

なったことから、今期を期初とするローリング後の新中計で、3年後の2020年11月期に

売上高1,250億円(CAGR7%)・経常利益30億円(CAGR6%)へと数字を置き換えています。

利益計画以外のKPI目標として、取扱数量を246,757t→296,000tまで増加させるほか、

最終年度の海外売上高比率20%を目標としています。この海外売上高だけはなかなか

上がってこなかったイメージでしたが、2017年に新設したタイ工場の日系食品会社へ

の販売開始により、足許では多少増加してきているような兆しが見受けられます。また、

自助努力以外のところでは、アジア諸国の乳製品市場はまだ黎明期であり、チーズの

消費量に限って言えば日本は欧米の数分の一の水準ですが、中国はそのまた十分の

一以下という極少水準ですので、市場自体の成長余地がかなり大きいと思われます。


前述のとおり、当社は業績的には中計を前倒し達成するなど、破竹の業績モメンタムを

維持しており、ついに昨年9月の東証一部指定替えの際の経営陣売り出しにより発行済

株式の2割弱が放出された際の売出価格@3,849円を大きく上抜けてきました。この売出

により流動性が向上した部分もあろうかと思いますが、相当程度の時価総額まで拡大し

たため、海外向けIRを強化し、ニューマネーの取り込みに成功したものと推察されます。

 

ただ株価のバリュエーション的には、既に専門商社のそれを大きく超えているため、来期

のガイダンスとローリング後の中計が強く意識される時期に差し掛かっています。当社は

商社という業種上、借金も多く、自己資本比率(約26%)を維持するためにも、株主還元の

強化は期待しずらいため、グロース株としての評価を保てるかどうかが鍵と言えそうです。

 

*参考記事① 2018-03-08 3,520円 ---

中計は1年で超過達成、バリュエーションに再評価余地も・ラクト・ジャパン(3139)。

 

*参考記事② 2017-09-24 3,855円 --

乳製品市況高と海外伸長で、半年で通期予想クリア。ラクト・ジャパン(3139)。

 

 

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