中計は1年で超過達成、バリュエーションに再評価余地も・ラクト・ジャパン(3139)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3139】ラクト・ジャパン(東証1部) ---

現在値 3,520円/100株 PER9.57 PBR1.35 11月配当 5月株主優待

旧東食系。乳原料・チーズ、食肉加工品の食品専門商社。北米、欧州、豪に拠点。
配当は11月末一括40円のため、配当利回りは1.14%となります。

ラクト・ジャパンは株主優待制度を導入しており、5末の単元株主に対して1,000円

分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.42%となります。

業績は以下の通りとなります。 
■2014年11月期 売上高 965億円、経常利益 16.6億円 EPS 255.6円
■2015年11月期 売上高 980億円、経常利益 13.4億円 EPS 197.9円
■2016年11月期 売上高 886億円、経常利益 14.3億円 EPS 193.5円 
■2017年11月期 売上高 1,013億円、経常利益 25.2億円 EPS 358.9円

■2018年11月期 売上高 1,103億円、経常利益 26.0億円 EPS 367.9円 ce
□2017年05月中 売上高 530億円、経常利益 12.0億円 EPS 169.5円 ce

2017年11月期の売上高は、前期比14.3%増の1,013億円、経常利益は同75.9%増の

25.2億円となり、中間時点の増額修正計画(売上高956億円、経常利益20.2億円)を

さらに上回って着地しました。主力の乳原料・チーズ事業において、国内では生乳

生産量減少が継続しているにもかかわらず、ヨーグルト・アイス・チョコレートなどの

最終製品需要が堅調に推移したため、輸入乳原料が堅調に推移しました。また、

国際的にも乳製品価格が堅調に推移したほか、上期の円安の進行による(先行)

ヘッジ利益が営業外で約7億円計上されたことにより、業績が押し上げられました。


進行期である2018年11月期の予算ついては、売上高が8.9%増の1,103億円、経常

利益は3.1%増の26.0億円を予想しています。主力の乳原料・チーズ事業において、

生乳生産量減少と、最終製品需要増による取扱数量増加基調の継続(6.8%増)を

見込んでいるほか、アジアを中心とした海外事業も5%程の伸びを予想しています。

一方、食肉加工事業については、大手取引先との取扱数量減が通年で影響する

ものの、高単価品への注力により、セグメント売上高を微減に留める計画です。


当社はローリング形式の中計を策定しており、前回中計では3年後の2019年11月

期に売上高971億円(CAGR_3%)・経常利益18.3億円(CAGR_8%)を数値目標として

いましたが、大方の予想通りとはいえ、僅か1年で大幅超過達成を実現しました。

そのため今回ローリングした新中計では、3年後の2020年11月期に売上高1,250

億円(CAGR_7%)・経常利益30.0億円(CAGR_6%)へ其々数字を置き換えています。

 

また、利益計画以外のKPI目標として、取扱数量を246,757t→296,000tまで増加

させるほか、最終年度での海外売上高比率20%を目標としています。海外構成比

(最終利益ベース)は前回中計でも20%を目指していたため、事実上達成が先送り

された格好となり、足許ではタイ等の現地工場において、日系食品会社の受注が

拡大していると推察されるものの、会社側の想定よりは伸びが緩やかな模様です。

そのため、ローリング後の新中計も、基本的には“内需頼り”という構造です。


前述のとおり、当社は業績的には中計を前倒し達成するなど、破竹のモメンタムを

維持していますが、相変わらず株主還元意欲が低い状況が続いています。商社で

借金が多い背景があると思いますが、足許では仕入れを積極化しており、直近期

は営業CFも大幅なマイナスとなりました。そういう背景もあってなのか、配当性向

は依然として10%水準に留まっており、今期の配当も2円増配の40円予想となって

います(予想配当性向は10.9%)。また、昨年9月の東証一部指定替えの際の経営陣

売り出しで、発行済株式の2割弱が放出された際の価格@3,849円も割り込んできて

しまっているので、業績はともかく、そろそろ株主の方を向いた経営が望まれます。

 

ただ、株主還元以外の施策として、個人投資家向けIRの強化にくわえ、海外向けIR

強化しており、現在4%ほどに留まる外国人株主比率を引き上げる意向があるよう

です。実際、個人投資家向け説明会を開催したり、株主通信をリニューアルしたり、

海外IR用に専門人材を雇用したり・・・といった、これまでなかった“手打ち”をして

いるため、会社側としては手っ取り早く現行の株価水準を引き上げていきたい意向

があるような印象を受けます。

 

*参考記事① 2017-09-24 3,855円 --

乳製品市況高と海外伸長で、半年で通期予想クリア。ラクト・ジャパン(3139)。


*参考記事② 2017-03-07 2,018円 --
今後はアジア販路の拡大次第、ラクト・ジャパン(3139)。

 

 

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