堅調な株価推移でMSCB消化、順調に業容拡大進む・エレコム(6750)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6750】エレコム (東証1部) ---

 

現在値 2,865円/100株 PER17.5  PBR3.09  3月配当優待 9月配当優待

 

PC周辺機器大手。マウス、キーボード首位。スマホ周辺も。ファブレス。

配当は3月末・9月末の2回・計50円配当のため、配当利回りは1.75%となります。

 

エレコムは株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回、100株以上を保有する

株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しているほか、これとは別に3末株主に対して

2,000円分の自社製品も進呈しておりますので、配当優待利回りは3.14%となります。

 

業績を確認していきます。 

■2015年3月期 売上高 757億円、営業利益 81.4億円、EPS 100.8円 

■2016年3月期 売上高 811億円、営業利益 89.0億円、EPS 118.7円
■2017年3月期 売上高 818億円、営業利益 100.3億円、EPS 161.5円 

■2018年3月期 売上高 935億円、営業利益 101.9億円、EPS 152.8円 

■2019年3月期 売上高 1,000億円、営業利益 110.0億円、EPS 164.4円 ce

□2018年6月1Q 売上高 226億円、営業利益 27.8億円、EPS 44.2円(8/7) 

□2018年9月中 売上高 475億円、営業利益 51.0億円、EPS 75.8円 ce

 

2018年3月月期の売上高は前期比14.3%増の935億円、営業利益は同1.6%増の101億円と

なり、売上高は予算に届かなかったものの、利益は予算水準を確保しました。スマホ関連

が戦略的なOEM受注の縮小で減収となったものの、PC関連でインク・キーボード等商品が

堅調に推移したほか、TV・AV関連事業において今期からDXアンテナ(年商約120億円)が

フル寄与したため、売上高は大幅な増収となっております。

 

進行期である2019年3月期の予算については、売上高が前期比6.9%増の1,000億円、営業

利益は7.9%増となる110億円を予想しています。実績期でDXアンテナを13ヶ月連結していた

ため減収要因となるものの、スマホ関連がOEM案件の剥落一巡で横ばいに復帰する見込

であるほか、TV・AV関連事業において本年12月に開始するBS/110度CSでの新4K8K衛星

開始による特需をいくらか見込んでいます。また、ネットワーク関連製品等の周辺機器は、

DXアンテナの販路取り込みによる販売量の増加を見込んでいます。

 

当社は中長期的な定量目標の開示を行っていないものの、既存事業の売上高で1,000億円

(今期予算と同額で達成見込)、その先は目標年限無で売上高2,000億円を目指しています。

基本的には既存ドメインの周辺領域を中心としたMAによる業容拡大を基本戦略としており、

昨年3月に約104億円の巨費を投じて船井電機からDXアンテナを買収しましたが、同年6月

にはセンシングやLSIの受託開発を展開するD-CLUE社も新たに子会社化しています。利益

貢献ほぼゼロで、年間2億円弱ののれん代がかかりますが、先端案件を多数保有しており、

超高速・超低消費電力・超高性能センシング技術も開発しているため、B2Bでエンベデッド

(組み込み)に注力する当社としては、あらゆる事業で技術面の大きな底上げが期待できる

ほか、今後はヘルスケアや工事現場等特殊現場向け商品開発への貢献も見込まれます。

 

なお当社はDXアンテナ買収の手当てとして、昨年3月に大和証券・りそな銀行を割当先に

100億円の転換社債(価格修正付きの所謂MSCB)を発行しており、行使が進んでいません

でしたが、足許の株価が下限転換価格の@2,400円を超過していることもあり、ここにきて

第1回の20億円分が全て行使完了となりました。全5回分が全て行使されると約1割の希薄

化が生じる点は留意が必要ですが、それ以上に調達した資金によるMAによる業容拡大が

上手くいっているので、エクイティー・ストーリーを評価しても良いかと思います。

 

ちなみにこのMSCBの消化率が2割の現状でも、既に自己資本比率は55%を確保しており、

実際は財務面はかなり余裕があるので、実績期は45→50円へ5円増配しています。配当

性向も現状30%程度ですが、マテリアルには「30%+」の記載があるので、今期も更に増配

の可能性が高いと考えており、通年で52~55円配当を予想しています。

 

*参考記事① 2017-12-17 2,607円 ---

相次ぐMAでエンベデッドの急成長狙う、エレコム(6750)。

 

*参考記事② 2017-08-02 2,422円 ---

100億円の巨額買収で「脱・PCアクセサリ屋」に挑む、エレコム(6750)。

 

 

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