100億円の巨額買収で「脱・PCアクセサリ屋」に挑む、エレコム(6750)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6750】エレコム (東証1部) ---

 

現在値 2,422円/100株 PER15.6  PBR2.90  3月配当優待 9月配当優待

 

PC周辺機器大手。マウス、キーボード首位。スマホ周辺も。ファブレス。

配当は3月9月の2回・計45円配当のため、配当利回りは1.89%となります。

 

エレコムは株主優待制度を導入しており、3末と9末の年2回、100株以上を

保有する株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しているほか、これと

は別に3末株主に対しては2,000円分の自社製品も進呈しておりますので、

配当優待利回りは3.50%となります。

 

業績を確認していきます。

■2014年3月期 売上高 691億円、営業利益 69.6億円、EPS 91.8円 

■2015年3月期 売上高 757億円、営業利益 81.4億円、EPS 100.8円 

■2016年3月期 売上高 811億円、営業利益 89.0億円、EPS 118.7円
■2017年3月期 売上高 818億円、営業利益 100.3億円、EPS 161.5円 

■2018年3月期 売上高 980億円、営業利益 101.0億円、EPS 152.1円 ce

□2017年9月中 売上高 466億円、営業利益 46.0億円、EPS 69.1円 ce 

 

2017年3月期通期の売上高は前期比0.8%増の818億円、営業利益は同12

.8%増の100.3億円となり、概ね期初計画線で着地しました。主力のPC関連

への新製品の投入や、スマホ関連における「ポケモンGO」効果発現により

モバイルバッテリー等が堅調に推移したものの、タブレット市場が鈍化した

ほか、IJPも市場縮小の影響を受けました。ただ利益面については相模原

物流センターの新規稼働による経費抑制により、計画より上振れました。

 

進行期である2018年3月期の売上高は19.7%増の980億円、営業利益は同

0.6%増の101億円と利益は伸びないものの、大増収予想(※後述)となって

います。主力のPC関連は横ばい、既に頭打ちとなっているスマホ関連に

関しては微減と前年と同トレンドを見込んでいます。当社の販路は量販店

には強いものの、EC向けが弱く、拡大中のDS(ディスカウント)向けに続き

強化していく計画です。なお相模原の物流センター効果や、青海の旧セン

ター閉鎖による合理化効果は一巡しており、利益率改善も限定的です。

 

そして目下最大のトピックと言えば、本年3月に約104億円もの巨費を投じ

船井電機からDXアンテナ(年商約120億円)を買収しています。同社は従来

型のアンテナに強みを持つだけでなく、TV向けの放送波伝送技術を強化

しており、従来の建物TV線をそのまま同軸活用して、ネットや監視カメラ、

インターフォン等に展開していく技術を有しています。そのため、当社製品

をエンド端末とする親和性が高いほか、同社は定期的なアンテナの保守

(メンテ)という独自の販路を有するため、販売シナジーも期待出来ます。

 

ちなみに同社はのれん代の発生こそないものの、ほぼ損益均衡圏で利益

に寄与しておらず、当社も同社買収のために約100億円の転換社債(CB)

を刷って、ほぼ無借金だった優良な財務を痛めて攻めに転じています。

なお、下限転換価格@2,400円であり、全て行使されると約10%の希薄化が

生じるため、利益貢献していない現状の株価のバリュエーションは1割引

程度で見ておいた方が良いかと思われます(※要は実効PER約17倍)。

 

そんな訳で当面はこの買収効果を見定める段階ですが、当社はPC関連

等の製品で非常に高いシェアと販路を握り、トップライングロースを継続し

ながら、コンスタントに纏まった利益も積み上げているため、かなりの安定

感があります。当社は中計こそないものの、中期的に売上高2,000億円を

目指しており、大胆なMAを絡めそれを着実に目指す実行力を有している

ため、単なる「PCアクセサリ屋」と括るのはあまりに過小評価と言えます。

 

 

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