事業自体は好調も、国内線多く原油高が重し、スターフライヤー(9206)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9206】スターフライヤー(東証二部)  --

現在値 3,605円 PER10.3 PBR1.24  3月無配優待 9月優待

北九州空港を拠点とする新興キャリア、座席広めの独自戦略。ANA傘下。
配当は3月末に10円を予想しているため、配当利回りは約0.28%となっております。

スターフライヤーは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する3月末と9月末の

株主に対して、半額割引券を各回3枚進呈しておりますので、1枚2,000円で換算した場合

の配当優待利回りは約3.60%(推定)となります。

業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 347億円、経常利益 9.0億円 EPS 150円
■2016年3月期 売上高 344億円、経常利益 26.5億円 EPS 892円
■2017年3月期 売上高 348億円、経常利益 29.5億円 EPS 673円
■2018年3月期 売上高 380億円、経常利益 27.3億円 EPS 655円

■2019年3月期 売上高 397億円、経常利益 11.0億円 EPS 348円 ce
□2018年6月中 売上高 89.7億円、経常利益▲0.6億円 EPS▲59円(7/28)
□2018年9月中 売上高 192億円、経常利益 16.8億円 EPS 369円 四e

2018年3月期の売上高は前期比9.2%増の380億円、経常利益は8.4%減の27.3億円となり、

減益となったものの、期初予算を大幅に上回って着地しました。前期は保有航空機9機の

うち2機が定期点検にかかっていたため、その計画運休が明けたことによる増便効果や、

昨年7月より北九州=那覇線を新規就航したこともあり、生産量(ASK)は前期比7.2%増と

なり、大幅な増収となりました。一方で、増収比例による施設使用料、人件費等の増加に

加え、油価の上昇や国際線再参入等の先行費用(4億円)の負担が重しとなり、期初予想

の水準からは上振れしたものの、減益までは免れませんでした。

 

進行期の2019年3月期の予算については、売上高は4.2%増の397億円、経常利益は59.8%

減の11.0億円と増収減益を予想しています。2016年に親のANAから新たに1機をリースし

始めたことや、今期も6月・10月に計2機の導入(うち1機はリース満了による借換え)を予定

しているため、ASKが増加する予定です。一方で、利益予想が大幅減益となっていますが、

これは本年10月に就航予定の台北線の就航準備費用や広告宣伝費が嵩むほか、原価と

なる各種想定レートの前提についても、油価($/bbl)が54.9→63.0、為替(円/$)が111.4→

110.0、で予算を組んでいることが影響しています。

 

なお、既に7末に1Qが開示されており、前年同期比較で一応は増収を確保しているものの、

足許では油価も為替も会社の想定レートを超える水準で推移しているため、現時点で既に

通期予算が未達となる可能性が高そうです。(※センシティビティ:油価($/bbl)が1$上昇で

▲34百万円、為替(円/$)が1円高で59百万円;いずれも年換算した際の利益影響)


当社は2021年3月期を最終年度とする4年中計を再度ローリングしており、3年後に売上高

455億円・経常利益24億円を引き続き見込んでおり、会社側は目標水準を堅持しています。

トップライン成長に関しては、本年2機・来年1機(純増2機)によるASK増加や、既述の台湾
路線の増発、チャーター便による北九州=マカオ線の就航といった国際線の強化を図る

ほか、国内線は北九州=那覇線の増便を予定しています。また、事業環境としては訪日

外国人客の漸増傾向が続いていることが継続的に追い風として作用するものの、足許で

は油価の高騰が継続しており、本中計の3年間は油価($/bbl)63.0$で設定しているため、

国際線の比率が伸びて、サーチャージでの回収が進むなどしない限りは定常的に利益が

圧迫されるため、数字的にはヨコヨコの中計でも、達成が難しくなるので注意が必要です。
(※当社は過去に原油高で業績が急速に悪化し、しばらく大赤字が続いたことがあります)

また、これまで経営安定化のためのKPIとして「純資産65億円」を目標としていましたが、

直近実績期で既に81億円まで積み上げており、現在は過去最大の損失の約3倍となる

「純資産100億円」を財務的な目標に据えています。ただ、この目標の達成については

今期中の達成は難しいものとみられ、当社の場合は必要な純資産の確保を前提として

配当政策を決定しているため、今期については期初予想通り記念配の10円を落として、

20→10円、へそのまま減配となる可能性も十分あり得るので、過度な期待は禁物です。

 

*参考記事① 2016-12-09 3,555円 --

純資産65億達成で有配継続に期待、スターフライヤー(9206)。


*参考記事② 2016-12-09 3,555円 ---
中間絶好も下期は原油・為替で綱引きか、スターフライヤー(9206)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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