土地代だけで5億円の新工場投資でSPAへの転身狙う、ファンデリー(3137)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3137】ファンデリー (東証マザ) ---


現在値 1,260円/100株 PER18.0 PBR3.38 3月無配 株主優待なし

生活習慣病患者向けなど健康食を宅配。医療機関等にカタログ配布。
ファンデリーは配当実績がなく、株主優待制度も実施していません。

業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 26.6億円、営業利益 4.3億円 EPS 43.1円 
■2016年3月期 売上高 30.1億円、営業利益 5.0億円 EPS 50.0円 

■2017年3月期 売上高 32.2億円、営業利益 6.0億円 EPS 62.0円 
■2018年3月期 売上高 33.0億円、営業利益 6.5億円 EPS 66.0円 

■2019年3月期 売上高 36.5億円、営業利益 7.0億円 EPS 69.9円 ce
□2018年6月1Q 売上高 8.1億円、営業利益 1.5億円 EPS 15.0円(7/31) 
□2018年9月中 売上高 17.4億円、営業利益 3.1億円 EPS 32.0円 ce 

2018年3月期の売上高は前期比2.5%増の33.0億円、営業利益は6.8%増の6.5億円となり、

増収増益を確保したものの、また予算未達となりました。主力の健康食宅配(MFD)事業に

おいて、疾病予防を訴求した新ブランドの投入により、定期会員への切り替えを推進した

ものの、新規紹介先からの会員の獲得ペースが想定を下回りました。その一方、好採算

のマーケティング事業は食品メーカーへの広告枠の販売が順調に推移した結果、売上高

・利益共に前期比20%も増加し、当該セグメントは高い成長モメンタムを維持しました。

進行期である2019年3月期の予算については、売上高が10.4%増の36.5億円、営業利益

は8.6%増の7.0億円を見込んでいます。予算前提となる受注件数は実績期比8.6%増となる

456千件・客単価は横ばいでの想定となっています。また、高成長続くマーケティング事業

については、ややモメンタムが鈍化する想定をしているものの、それでも15%ほどの売上高

成長を見込んでいます。なお、1Qは決算が開示されており、売上高が8.1億円、営業利益

が1.5億円で落着しています。当社は下期偏重型のため、現段階では判断しずらいものの、

順調な利益進捗に比べ、トップラインの伸びがかなり甘いのが気掛かりではあります。


当社は今般、2023年3月期を最終年度とする中期経営計画を初めて公表しており、5年後

に売上高100億円(CAGR25%)、営業利益20億円(CAGR25%)を計画しています。基本的に

主力のMFD事業の業容拡大がメインとなり、“紹介ネットワーク”と称する提携先医療機関

や薬局等に頼らずに、webを通じた直販比率の向上(21→65%)を目指します。

 

また、弁当の仕入れにおいても、現状トオカツフーズとアサヒケータリングの2社のベンダー

に仕入れの9割弱を依存しているため、その脱却を目指します。具体的なアクションとして、

本年8月末に5億円を投じて、埼玉県本庄市で約8千坪の土地を仕込む予定となっており、

ここに初の自社製造工場を建設し、SPA(製造小売業)型へモデルの転換を推進します。

これにくわえ、MFD事業・マーケティング事業とは別にメディア事業を立ち上げ、新型音声

家電に対応したポイント制の広告モデルを創出し、新たな利益の柱とする計画です。

 

なお当社は、営業社員全員が(管理)栄養士資格者であることをウリにしているため、専門

人材の確保や人件費の増加がポイントとなりますが、直近3年間の平均年収は418→499

→529万円(28.1歳)と、漸増を実現しているほか、平均年齢も多少若返っているので、業容

拡大で上昇する労務コストをうまく吸収出来ている模様です。
 

最後に財務面については、これまで無借金経営を続けてきましたが、既述のとおり新工場

には土地代だけで5億円を投じているため、今後は建設費が必要となることを考慮すると、

手許資金(ネット後15億円)だけでは心もとなく、借入を起こす可能性があります。そのため、

好業績ながら配当開始は更に遠くなったとみるのが自然な考え方であり、実際配当すべき

ではないので、その辺の還元については期待しないほうがよろしいかと思います。

 

*参考記事① 2017-08-24 1,467円 ---

 利幅の厚いマーケティング事業が躍進、ファンデリー(3137)。

 

*参考記事② 2015-10-18 887円 --- 

「カンブリア宮殿」効果で第二のクックパッド化も、ファンデリー(3137)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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