【3708】特種東海製紙 (東証1部) ---
現在値 4,320円/100株 PER22.1 PBR0.90 3月配当優待 9月配当優待
特種製紙と東海パルプが統合、特殊紙に強み・独立系。日本製紙と提携。
配当は3月末・9月末の年2回・合計50円配当のため、配当利回りは1.16%となります。
特種東海製紙は株主優待制度を導入しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、
1,000円分の図書カードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.38%となります。
なお、3年以上保有する株主に対しては、長期優遇で3,000円相当の自社商品を進呈して
おりますので、その場合の配当優待利回りは約1.85%となります。
業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 788億円、営業利益 24.7億円、EPS 13.9円
■2016年3月期 売上高 784億円、営業利益 37.5億円、EPS 168円
■2017年3月期 売上高 777億円、営業利益 47.0億円、EPS 258円
■2018年3月期 売上高 790億円、営業利益 39.3億円、EPS 153円(5/14)
■2019年3月期 売上高 800億円、営業利益 31.0億円、EPS 189円 ce
□2018年9月中 売上高 400億円、営業利益 19.0億円、EPS 115円 ce
2018年3月期通期の売上高は前期比1.8%増の790億円、営業利益は同16.5%減の39.2億円
となり、減益とはなったものの期初計画を上回って着地しました。段ボール原紙・クラフト紙
等の産業資材は日本製紙(3863)との合弁会社への出荷が順調に推移したものの、原料の
製紙用古紙や燃料の値上がりといった製造原価高の影響が大きく、利益は反落しました。
一方、好採算の特殊素材については、特種印刷紙は出版業界で大口受注の剥落があった
ものの、特殊機能紙については工業用紙が堅調に推移したため、堅調に推移しました。
進行期である2019年3月期の予算については、売上高が1.2%増の800億円、営業利益21.2
%減の31.0億円と続落見込みとなっています。世界的な紙から電子媒体へのシフトにより、
構造的に厳しい需要状況が続く見通しであり、費用前提となるドル円為替前提についても
110円/$、原油前提も50~60$/B、で見込んでいます。なお、島田工場向けに稼働開始
している赤松水力発電所の売電収入等が引き続き寄与しますが、島田工場は日本製紙と
の合弁会社(当社持分は35%)の管轄のため、営業外で8億円程度が利益にオンされます。
今期は新3年中計の中間年度となっており、最終年度の2020年3月期に売上高850億円、
営業利益55億円を計画しています。前回の3年中計は赤松水力発電所の更新工事による
経営効率の改善がメイン施策となっておりましたが、今回はバイオマスボイラーの導入に
よる電力削減や、“NaSFA”と呼ぶ重点4分野(ナノテク・偽造防止技術・技術融合・新技術)
に集中的に研究開発費を投じて、次世代の成長ドライバーとする計画です。特に世界的
にシェアを握る液晶テレビ製造過程向けガラス合紙での技術を活かした微小異物除去の
工程紙の開発や、既に製品化が済んでいる「水に流せる高強度ペーパータオル」の開発
など、本中計期間で300億円を投じて商品を増やすとともに、海外展開も目指します。
そして当社の隠し玉である、静岡県の北部・日本標高3位の間ノ岳にかかる“井川社有林”
(7,400百万坪・山手線内面積の4倍)の地下を横断するリニア計画により、上部用地利用
の賃料等で、向こう10年に渡り、経常利益ベースで5~6億円程度は押し上げられる観測
ですが、今期はこの収益増をまだ予算に織り込んでいない模様です。本件はアップサイド
要素として無視できない規模ですが、あくまで営業外のため中計では触れられていません。
なお、財務状況については、手許現金の105億円と保有有価証券186億円で有利子負債
320億円をほぼネットしている好財務となっています。そのわりに配当性向は25%強程度で
今期も50円の配当を据え置いてしていますが、前年に発行済株式の6%強におよぶ約100
万株を三菱商事等から自社株買いしているため、総還元性向でみると相応の水準です。
繰り返しとなりますが、既述のリニアの賃料や、日本製紙の合弁会社の収益は営業外で
効いてくるため、ボトムラインをベースに論じられる配当性向や総還元性向については、
中計数値の達成可否とは別の話となるため、引き続きその辺りに期待したいと思います。
(※現状は放置状態となっている政策保有株式についても、見直して売っていく模様です)
*参考記事① 2017-08-01 4,150円 ---
7,400百万坪の井川社有林は「打ち出の小槌」か、特種東海製紙(3708)。
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*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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