親会社である森トラストの方針に変化か?日本エスリード(8877)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8877】日本エスリード(東証1部)  ---

現在値 1,743円/100株 PER6.0 PBR0.70 3月配当優待 9月配当

マンション企画開発・販売。大阪で供給トップ級。森トラスト子会社。
配当は年2回で合計35円のため、配当優待利回りは2.01%となります。

日本エスリードは株主優待制度を導入しており、3末時点の単元株主に対して、3千円相当

のグルメカタログを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.72%となります。

業績を確認していきます。 
■2015年3月期 売上高 304億円、経常利益 32億円、EPS 129.3円 

■2016年3月期 売上高 371億円、経常利益 33億円、EPS 135.5円 

■2017年3月期 売上高 393億円、経常利益 50億円、EPS 201.1円 

■2018年3月期 売上高 483億円、経常利益 67億円、EPS 279.0円 

■2019年3月期 売上高 580億円、経常利益 71億円、EPS 288.3円 ce
□2018年6月1Q 売上高 57.4億円、経常利益 0.4億円、EPS▲1.1円(7/27) 

□2018年9月中 売上高 175億円、経常利益 10億円、EPS 45.3円 ce 

2018年3月期の売上高は前期比23.0%増の483億円、経常利益は同32.6%増の67億円となり、

2桁の増収増益を確保したほか、期初予想もクリアしました。京橋グランデ(195戸)、新福島

(168戸)、三宮(140戸)をはじめとする引き渡し戸数が、計20棟2,012戸(前期は16棟1,868戸)

となり、大台の2千戸乗せとなったほか、これ以外でオフィスビルを2棟・計83億円の販売が

あったことが増収要因となります。また、引き続き“完成在庫ゼロ“を継続出来ているため、

販売期間の短縮と広告費の削減が実現しており、利益が押し上げられています。

 

進行期である2019年3月期の予算については、売上高が前期比20.0%増の580億円、経常

利益は同5.9%増の71.0億円を予想しています。今期は草津(104戸)、奈良三條(28戸)、長居

公園(39戸)など2800戸もの販売を見込んでいますが、引き渡し時期が下期に集中する予定

であり、2Qまでは見栄えのしない数字となる公算です。また、売上高の伸びのわりに利益の

伸びが緩慢なのは、好採算の一棟ビル卸し(2棟分)が剥落する影響が大きいとみられます。

 

なお、去る7月27日に既に1Qが開示されており、売上高は前年同期比58.7%減の57.4億円、

経常利益は同97.1%減の0.4億円で通過しており、進捗の見栄えが悪いですが、要因は既述

のとおりですので、特に心配は不要かと思います。販売用不動産の在庫についても期末の

時点で前年を50億円ほど上回る約300億円を手当している状況であり、仕込みについても

大きな問題はなさそうな印象を受けます。

 

当社は2013年に森トラストによるTOB(@915円、約40億円)で、同社の連結子会社に納まり、

そこから5年程で業績は大きく伸長しましたが、剰余金を株主還元に殆ど回してこなかった

ため、自己資本比率はついに60%台に達し、マンデベの財務としては相当持て余している

水準になっています。おそらく森トラストの方に資金需要がなかった(あるいは二段階TOB

を水面下で意図していて、配当による吐き出しを回避していた可能性も有)のか、配当金は

長らくの間25円で固定されていました。ところが実績期で5円増配して30円を配当したほか、

今期も更に5円増配して35円配当を予想しており、この辺の資本政策の考え方が変わった

可能性がありそうです。

 

くしくも森トラストは去る7月24日に、関西を地盤に賃貸・仲介業を手掛ける傘下のアーバン

ライフ(8851)の株式を、TOBを通じて三菱地所に譲渡することを発表しており、同じく関西を

地盤とする子会社である当社も否応なしに注目が集まるところです。森トラストの同根会社

である森ビルも、かつて非中核事業である高級分譲のサンウッド(8903)を手放した過去が

あるため、そういったサブシナリオについても想定しておく必要がありそうです。

 

*参考記事① 2017-08-03  1,959円 ---

好業績と好財務光るが、株主還元は期待薄・日本エスリード(8877)。

*参考記事② 2015-02-03 1,204円 ---

好財務の在阪マンデベ、日本エスリード(8877)のレビュー。

 

 

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