【3611】マツオカコーポレーション(東証1部) ---
現在値 3,465円/100株 PER10.7 PBR1.75 3月配当 株主優待あり
アパレルOEM大手。中国、ミャンマー、バングラディシュ、ベトナムで生産。欧州SPA開拓。
配当は3月一括の40円配当を予想しているため、配当利回りは約1.15%となります。
なおマツオカコーポレーションは株主優待制度を導入しておりません。
業績を確認していきます。 当社は昨年12月のIPO企業です。
■2016年3月期 売上高 569億円、経常利益 42.2億円 EPS 356円
■2017年3月期 売上高 517億円、経常利益 40.7億円 EPS 303円
■2018年3月期 売上高 578億円、経常利益 35.2億円 EPS 246円(5/14)
■2019年3月期 売上高 585億円、経常利益 29.0億円 EPS 321円 ce
□2018年9月中 売上高 290億円、経常利益 20.0億円 EPS 120円 四e
2018年3月期の売上高は前期比11.7%増の578億円、経常利益は同13.4%減の35.2億円と
なり、売上高については得意先の大手SPA(要はユニクロ)向けのカジュアルウェアが堅調
に推移したことにくわえ、生地加工・インナーウェアもそれぞれ計画クリアとなりました。
一方、経常利益面についてはドル円の想定為替レート114円に対して、期末106円という
円高水準で着地したため、外貨建債券の評価替え為替差損が6億円程度発生し、利益を
押し下げました。なお、全社販売数量については、この1年で57→62百万枚へと想定以上
に増加しているため、上場初年度は円高に出端をくじかれた格好となりました。
進行期である2019年3月期の予算は、売上高が1.2%増の585億円、経常利益は17.7%減
の29億円を予想しており、まさかの連続2桁減益ガイダンスとなっています。今期も主要
取引先であるユニクロ向けが伸びる公算であり、3月末時点の期末受注残高も1年前と
比べて約11%多い252億円を確保しています。それでも減益予算となるのは、注力中の
バングラディシュ工場が増設中であるほか、ベトナム工場増設、ミャンマー工場の建替
および増設が重なっており、これらの新設工場が巡航化するのに時間を要することが
主な要因です。また、ドル円の想定為替レートも105円で置いていることも一因とみられ
前の期の上場関連費用の剥落があっても、トータルでは2桁の減益予想となります。
当社は3年後の2021年3月期を最終年度とする新中計を開示しており、売上高は578→
800億円(CAGR11%)、経常利益は35→55億円(CAGR16%)を定量目標に掲げています。
昨年12月の上場時にOA込で約31億円(@2,600円)を調達しており、これを先に挙げた
工場の建替・増設資金に投じるほか、上場時は明らかにしていなかったインドネシア
での新規工場建設も進める方針です(後述)。生産枚数ベースでは現行の約60百万枚
から、1億枚程度へ引き上げる方針で、本中計初年度である今期末までに新設7工場
の稼働が開始される予定となっています。
また、これら工場の新設により現在70%弱を占める中国生産比率を、他アセアン諸国
へとシフトさせる計画であり、バングラディシュを23→31%、ベトナムを5→8%まで引き
上げ、人件費の高騰する中国のウエイトを下げる方針です。5月には当社大株主でも
あるファーストリテイリング(9983)にくわえ、東レ(3402)及び子会社の蝶理(8014)から
も資本参加を受け、インドネシアで新たな合弁会社を設立して、生産を開始します。
当社はユニクロの親密先であり、世界企業である同社が成長を続ける限りにおいて、
ある意味“成長が約束された”会社であります。そのため、現状の生産体制ですでに
フル生産となっている状況を踏まえると、工場を増やせば増やすだけ機械的に業容
が拡大する形となりますが、既述のとおり、工場は巡航化までの時間がかかるため、
上場資金が実際に設備投資に回る過渡期となる今期は特に雌伏時期となります。
配当金も上場記念配すら出さず、予想通りの40円で落着しており、今期も据置予想
となっていますが、業績ガイダンスともども保守的な会社とみられるため、株主還元
の拡大などもしばらくはお預けかもしれません。
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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
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