打倒トリバゴへ、湯水のごとく広告費を投入・オープンドア(3926)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3926】オープンドア(東証1部) ---


現在値 2,235円/100株 PER88.7 PBR16.7 3月無配 株主優待あり
 

格安旅行商品等を網羅した比較サイト「トラベルコ」が柱。若い女性の利用多い。
配当は実施実績がなく、今期も引き続き無配予想となっています。

オープンドアは株主優待制度を導入しており、3月末に単元株を保有する株主に対し、

1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約0.44%となります。

(※今回進呈分のみ記念優待があったため、写真のクオカードは計4,000円分です)

業績を確認していきます。  
■2015年3月期 売上高 19.8億円、営業利益 3.3億円 EPS 13.4円 
■2016年3月期 売上高 24.6億円、営業利益 8.4億円 EPS 17.8円 
■2017年3月期 売上高 29.9億円、営業利益 9.9億円 EPS 20.5円 
■2018年3月期 売上高 40.0億円、営業利益 11.5億円 EPS 24.4円(5/11)

■2019年3月期 売上高 49.0億円、営業利益 14.5億円 EPS 28.0円 ce中央値
□2018年9月中 売上高 25.5億円、営業利益 5.7億円 EPS 16.1円 ce

2018年3月期の売上高は前期比33.8%増の40.0億円、営業利益は同15.6%増の11.5億円と

なり、トップラインから3割を超える成長を果たしたほか、レンジ形式で開示していた予算の

上限値に近い落着となりました。業績拡大期にある当社は業績数値よりも、“トラベルコ”

の認知率を最重要KPIとして定めて重要視しており、期初時点の17%から25%へ引き上げる

計画でしたが、TVCMの積極的なたれ流し施策が奏功し、2Q時点で26.9%を達成しました。

当初広告費は最大10億円を見込んでいましたが、これを使い切った格好にはなるものの、

期中の比較的早い時期で効果が出たため、良好な着地になったものと思われます。


進行期である2019年3月期の予算は、例年通りレンジ形式で開示しており、売上高は19.7

~24.7%増の48.0~50.0億円、営業利益は12.5~38.5%増の13.0~16.0億円を予想しています。

(※冒頭の業績推移表は便宜上レンジ中央値で記載)。今期も“トラベルコ”の認知率拡大

が最重要KPIであり、足許では30%近い認知度を37%へ引き上げる計画で、それに従って、

投入するTVCM等の広告費も最大で15億円まで積み増していく予定です。

 

当社は中長期的な業績目標値を特に開示していませんが、旅行業界のトップブランドの

認知度が70%程度あることから、当社も向こう2年以内(2020年3月期)にこれを約50%まで

引き上げる計画です。そのため今期の目標である37%を達成してもなお13%足りないため、

今期・来期は広告予算を目一杯(ヘタすると予算以上に)使ってくることが想定されます。

売上高の伸びは認知度の伸びに遅行するものの、併せて固定課金から重量課金への

変更を実施しているため、広告費で隠れて見えないものの、利益率は一段と良化します。

 

昨今ではエボラブルアジア(6191)や、アドベンチャー(6030)といったOTA企業の上場が

花盛りですが、当社のドメインは俗に“メタサーチ”と呼ばれる旅行サイトの横断比較に

よるエージェント側への課金モデルとなっているため、直接の競合は上記2社というより

“tripadviser”や、“trivago”、買収によりカカクコム傘下となっている“4travel”等がより

直接的な競合と言えます。この中では特に独資本で、巨人Expedia傘下の“trivago”を

特に意識しているフシがあり、インスパイア丸わかりのTVCMを展開して陣取り合戦の

真っ最中となっており、外資系にシェアを抑えられる前に先手を打っている模様です。


基本的には認知度の伸びに比例して、売上高が伸びる蓋然性は高いとみられますが

リスクは認知度の伸びが止まった場合と、先に挙げた競合のシェア拡大ペースが当社

のそれを上回る場合ですので、業績以上にそこが注目点かと思われます。一方、利益

については、広告費さえ絞ればいつでも数億円単位の利益が“自由に作れる”モデル

なので、通常の成長企業とは違ったモノサシで評価していく必要があると思います。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
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