中計は今回も前倒達成濃厚だが、希薄化ペースも強烈・ユニゾホールディングス(3258)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3258】ユニゾホールディングス(東証1部) ---

現在値 2,078円/100株 PER6.2 PBR0.68 3月配当株主優待 9月配当

東京地盤にオフィスビル賃貸が主力の不動産会社。04年に持株会社化。
配当金は年2回の合計80円のため、配当利回りは3.85%となります。

ユニゾホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末時点の単元株主に対して、

3,000円分のUCギフトカードと当社ホテルの割引券を進呈しております。後者を0円で計算

した場合の配当優待利回りは5.29%となります。

業績は以下の通りとなります。
■2014年3月期 売上高 219億円、経常利益 57億円 EPS 186円
■2015年3月期 売上高 276億円、経常利益 73億円 EPS 237円
■2016年3月期 売上高 323億円、経常利益 85億円 EPS 332円
■2017年3月期 売上高 389億円、経常利益 98.2億円 EPS 275円  

■2018年3月期 売上高 524億円、経常利益 115億円 EPS 313円(4/27) 

■2019年3月期 売上高 608億円、経常利益 123億円 EPS 333円 ce 
□2018年9月中 売上高 295億円、経常利益 61.0億円 EPS 175円 ce 


2018年3月期の売上高は前期比32.5%増の524億円、経常利益は同9.6%増の115億円となり

期初予想を上回って着地しました。主力のオフィス事業では期中取得物件および前期取得

物件の通期寄与があったほか、都内の堅調なオフィス市況を背景に、国内の空室率を0.6%

まで抑えたことや既存テナントの賃料増額改定が収益を押し上げました。一方、ホテル事業

についても同様に新規および通期寄与があったものの、期中開業ホテル(金沢・大阪心斎橋

神戸三宮・新大阪)の創業赤字や翌期の準備費用が嵩んだため、営業減益となっています。

進行期である2019年3月期通期の予算に関しては、売上高が15.9%増の608億円、経常利益

は6.9%増の123億円を予想しています。オフィス事業における国内については、前の期取得

物件の通期寄与や賃料増額改定が見込まれるものの、一部物件で売却を進めているため

セグメントとしては微増益ながら減収となる見込みです。一方の海外については、ワシントン

で新規に取得した3棟の通期寄与が大きく、増収増益となります。ホテル事業については、

先に挙げた開業済ホテルの通期寄与にくわえ、今期も既に6棟(盛岡・大阪梅田・博多口・

横浜駅西・金沢駅前・函館)が名有となっているため、当該セグメントは46%増収・77%営業

増益という凄まじい伸び率を確保する見通しです。


今期は新3年中計「GLOBAL PROMINENCE 2019」の中間年度となっており、2020年3月期

に売上高669億円(CAGR20%)、経常利益125億円(CAGR8%)を目指していますが、既述の

とおり初年度で経常利益115億円レベルを確保してしまったため、またしても2年度目での

前倒し達成が視野に入ります。中計数値達成のドライバーは、この3年間で2,000億円の

新規投資(要は物件を買いまくる)ですが、こちらも初年度で1,300億円を使い切ってしまい、

この中間年度も800億円を投資する予定のため、賃料収入の飛躍的増加が見込まれます。


・・・ということで、業績的には申し分ない成長モメンタムを維持していますが、2017年夏に

OA込で112億円(@2,480円)を公募増資(PO)により調達したことにくわえて、本年5月23日

にも、117億円(@2,159円)をPOで調達しています。それだけでも株主価値が毀損する大

問題ではあるのですが、その前の2015年7月POで139億円を調達した際の公募価格は

驚きの@3,882円であったため、“株券印刷”により凄まじい勢いで希薄化が進んでいる

ほか、それ以上にこれまでの公募価格を完全無視してファイナンスしているような状況

であるため、業績に比して株主価値が増加しない点はしっかりと割引く必要があります。

 

一応、直近の5月23日POはこれから買う物件のための資金調達のため、3月末時点で

11%水準だった自己資本比率は瞬間的にやや良化する可能性もありますが、それでも

中計に則して800億円の物件を買った場合には、また巨額なデットが乗ってくるので、

財務的にはまた元通りになるとみられます。それでも株主還元については、配当性向

25%基準を意識的に堅持しているフシがあり、当社の財務であればもっと配当を絞って

も良い状況であるものの、今期も80円の配当予想を据え置いているような状況です。


*参考記事① 2017-07-11 2,557円 ---

エクイティストーリーは茨の道、ユニゾホールディングス(3258)。

*参考記事② 2017-02-22 3,135円 ---
今期未達気配で、中計前倒達成は微妙?ユニゾホールディングス(3258)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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