今期もMD施策の空回りが継続、復活にはかなりの時間・アダストリア(2685)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2685】アダストリア(東証1部) ---


現在値 1,448円/100株 PER15.4 PBR1.33 2月配当優待 8月配当

カジュアル衣料店をSC内軸に展開。グローバルワーク等ブランド多数。
配当金は2月8月の年2回で合計50円で、配当利回りは3.45%となります。

アダストリアは株主優待制度を実施しており、単元株を保有する2月末の株主に対して、

3,000円分のお買い物券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.52%となります。

業績を確認していきます。
■2015年2月期 売上高 1,845億円 営業利益 59.8億円 EPS 10.4円 
■2016年2月期 売上高 2,000億円 営業利益 160億円 EPS 188円 

■2017年2月期 売上高 2,036億円 営業利益 149億円 EPS 242円 
■2018年2月期 売上高 2,227億円 営業利益 50.0億円 EPS 18.3円 

■2019年2月期 売上高 2,270億円 営業利益 87.0億円 EPS 93.5円 ce
□2018年8月中 売上高 1,100億円 営業利益 45.0億円 EPS 68.0円 四e

2018年2月期の売上高は前期比9.4%増の2,227億円、営業利益は同64.1%減の50.0億円

となり、期初計画どころか中間時点での減額修正予算をも大きく下回って着地しました。

「niko and」「STUDIO CLIP」といった、旧トリニティアーツ系の非アパレルを含むブランド

は好調だったものの、主力の「GLOBAL WORK」が苦戦したほか、「LOWRYS FARM」や

派生の「LEPSIM」が夏物のMD構成で“ハズした”ため、値引販売を余儀なくされました。

既存店売上高が前期比99.4%だったにもかかわらず増収を確保したのは、昨年2月に子

会社化したアリシアが期初より寄与したことが主な要因となります。


進行期である2019年2月期の予算については、売上高が1.9%増の2,270億円、営業利益

は67.8%増の84億円と反転増を見込んでいます。「GLOBAL WORK」や「niko and」の大型

店舗化を推進するほか、好調な新ブランド「BAYFLOW」の新規出店数を増やす計画です。

また、新ブランドでジュエリーやインナーウェアを展開を図るほか、既存店売上高の自律

反発を予想しており、予算前提は101%で置いています。利益の改善要素としては、今期

で年間22億円にも及ぶトリニティーアーツの“のれん代”の償却が上期で終了することや

本社移転費用が10億円程度剥落するため、新たにベルベット“のれん代”の償却が4億

円程度効いてくるものの、本業の如何によらず、30億円弱は営業利益が押し上がります。

 

そこで問題なのが、足許の既存店の状況が極めて悪いことであり、既に開示されている

1Q累計の3ヶ月間の既存店売上高は94.5%に沈んでおり、特に直近の5月は86.9%と壊滅

的な数字を叩き出している状況です。内容も所謂“日ならび”による影響こそあるものの、

4月に投入した夏物商品のMDでまたやらかしてしまったことが主要因であり、一過性とは

言えない構造的な根深さを感じる内容となっているため、予算は未達確実と思われます。

 

これまでの当社はローリング形式の3年中計を公表しており、当初2020年3月期に売上高

2,600億円、営業利益220億円程度を目指していましたが、今般のかような業績の状況を

踏まえ、3年後の2021年2月期に営業利益率を8%(実績は4.3%)、ROEを15%(実績は1.6%)と

すKPIを掲げるだけの極めてシンプルな目標に再ローリングされました。トップライン目標

が撤回されたのは、売上至上主義に基づく在庫の“投げ売り”傾向を止めることを目的と

しており、向こう3年は規模を無視して、あくまで利益率の復元を目指します。

 

具体的にはMAで増殖しまくったマルチブランドとそれらに紐づく700万人の「.st」会員に

ポイントをバラまいて、ブランド間の回遊を促すとともに、オムニチャネル化を促進する

戦略となります。また、寄せ集め業態の「collect point」が飽きられた中国・香港では、

非アパレルも含んだ世界観を有する「niko and」にフォーカスした上で、改めて市場の

開拓を図る方針です。また、MAで増殖したブランドのバリューチェーンの再構築を図る

ともに、システムの統合や工場との連携により、SPAとしての経営効率化を図ります。

 

ということで、新3年中計による“リカバリープラン”の達成確度を論じる前に、今期も予

算を減額するならするで、一刻も早く下方修正してほしいと言うのが本音となります。

なお今期の配当予想については、前の期に25円減額した経緯もあり、50円配の据置

を予想していますが、当社は借金が殆どない好財務企業であることを鑑みると、維持

する可能性が高いとみられます。

*参考記事① 2017-12-07 2,485円  ---
通期下方修正でも「巻き返し」が前提、アダストリア(2685)。

*参考記事② ,410円* --
上半期でV字回復で高額のれん代こなす、アダストリア(2685)。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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