先行投資で減益基調続くも、高配当施策が下支え・ローソン(2651)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2651】ローソン(東証1部) ---


現在値 7,160円/100株 PER25.5 PBR2.60 2月配当 8月配当 株主優待なし

コンビニ大手。高級スーパー「成城石井」を運営。17年2月に三菱商事の子会社化。

 

配当は年2回の合計225円配当のため、配当利回りは約3.56%となります。
ローソンは株主優待制度を実施しておらず、配当での還元を基本方針としています。

業績を確認していきます。  
■2015年2月期 営収入 4,979億円、営業利益 704億円、EPS 327円 
■2016年2月期 営収入 5,834億円、営業利益 725億円、EPS 313円 
■2017年2月期 営収入 6,312億円、営業利益 737億円、EPS 364円 

■2018年2月期 営収入 6,573億円、営業利益 658億円、EPS 268円(4/11)  

■2019年2月期 営収入 7,320億円、営業利益 600億円、EPS 279円 ce  
□2018年8月中 営収入 3,600億円、営業利益 305億円、EPS 169円 ce

2018年2月期の営業総収入は前期比4.1%増の6,573億円、営業利益は同10.8%減の658億

円となり、元より減益予想の予算をさらに下回る落着となりました。既存店売上高の前提

を101.0%で組んでいましたが、実際は99.9%と1%近く下回り、チャージ収入が減少しました。

昨年10月の台風影響で客足が伸び悩んだほか、コンビニ外との競争激化もあり、冷食や

スイーツの強化で客単価を伸ばしたものの、客数が伸びませんでした。なお、国内の展開

店舗数は、13,111店→13,992店と881店の純増となりましたが、これはセーブオンとスリー

エフの看板替え店舗を300店ほど含むため、“真水”の出店数は計画を下回っています。


進行期である2019年2月期の予算については、営業総収入が11.4%増の7,320億円、営業

利益は8.8%減の600億円と連続減益を予想しています。予算前提となる出店の純増数は

前の期並みの800店を計画しているほか、既存店売上高の前提は101%で置いています。

当社は同業他社より“朝・昼帯”に比べ、“夕・夜間帯”の販売が弱いため、揚げ物惣菜や

デザート・中食の充実を図り、3便(午後の店舗配送便)の強化を狙います。それでも大幅

な減益基調が継続するのは、クラウド化移行のためのシステム投資が70億円、銀行参入

等の新規事業投資に20億円を投じるため、増収による増益では補いきれない見通です。

 

今期は5年中計の2年度目となっており、最終年度である2022年2月期に営業利益1,000

億円(CAGR6%)を計画しているほか、他のKPIとして日販600千円、国内店舗数18,000店、

ROE15%などを掲げています。中計序盤からかなり苦しい状況となっていますが、依然と

して先行投資の局面が継続しており、クラウド・タブレット端末を中心としたシステム投資

や自動精算POSレジ・食洗器導入など省力化のための費用が先行します。外部成長の

取り組みとしては、中国を中心とする海外展開がありますが、こちらもやっと1,000店舗を

超えたばかりであり、同業他社の“周回遅れ”となっているため、時間がかかりそうです。

 

当社は“プロ経営者”とされる新浪元社長なき後、リヴァンプ(と一瞬だけファストリ)出身

の玉塚前社長にスイッチし、また3年程で三菱商事出身の竹増社長に交代となりました。

その社長交代のタイミングで三菱商事は約1,440億円を投じ、当社株にTOB(@8,650円)

をかけ、持分を33.4→50.0%に買い増しし、当社を子会社化しました。これは非資源分野

を強化して事業ポートフォリオを分散させたい三菱商事側の事情があるものの、既にか

なりの評価損が出ているため、何かしらの親からの“梃入れ”があるかもしれません。

 

なお、買収した成城石井や、ユナイテッド・シネマ、HMVを擁するローソンHMVエンタテ

インメント(かつて不祥事を起こした旧ローソンエンターメディア)等は本業とのシナジー

がいまいち見えないものの、これら単体としての業績は堅調に推移しており、連結決算

の底上げとして最低限は機能している模様です。

 

そして、業績不振の当社の株価を事実上支えている株主還元施策については、連続

赤字が見込まれる今期はさすがに据置を予想しているものの、配当性向は76.1%となる

255円を見込んでいます。何処までこの配当が続くのかどうかという議論はありますが、

既述のとおり含み損を抱える三菱商事側の都合や、ROE15%などの目標を掲げてしま

っているため、かような状況でも減配は考えにくく、高還元が継続するとみられます。

 

会社四季報 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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