“グローバル外食株”としての評価はまだ先、吉野家ホールディングス(9861)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9861】吉野家ホールディングス(東証1部) --


現在値 2,115円/100株 PER80.3 PBR2.38 2月配当優待 8月配当優待

牛丼屋の老舗、国内2位。収益源の『吉野家』を直営軸に全国展開。
配当は年2回の合計20円配で、配当利回りは約0.95%となります。

吉野家ホールディングスは株主優待として、2月末・8月末に100株以上を保有する株主

に対して3,000円分の食事券を進呈しておりますので、配当優待利回りを算出した場合、

約3.78%となります。

業績を確認していきます。  
■2015年2月期 売上高 1,800億円、経常利益 39億円、EPS 16.2円 
■2016年2月期 売上高 1,857億円、経常利益 23億円、EPS 13.1円 
■2017年2月期 売上高 1,886億円、経常利益 27億円、EPS 19.3円 

■2018年2月期 売上高 1,985億円、経常利益 46億円、EPS 23.1円   

■2019年2月期 売上高 2,110億円、経常利益 47億円、EPS 26.3円 ce  
□2018年8月中 売上高 1,050億円、経常利益 25億円、EPS 22.4円 ce

2018年2月期の売上高は前期比5.2%増の1,985億円、経常利益は同67.4%増の46億円と

なり、中間時点まで予算水準をクリアしていたものの、仕上りでは予算割れとなりました。

主力の吉野家の既存店売上は概ね前年以下の水準で推移したものの、2月のSoftBank

キャンペーン効果による巻き返しで通期では前年クリアとなったほか、はなまるも吉野家

との相互送客を意図した「天ぷら定期券」の投入等により既存店は前年比103%の高水準

を確保しました。ただ吉野家は既存店の予算前提を102.4%で置いていたことや、従業員の

社保適用増加により人件費が嵩み、利益については予算比で5億円近くショートしました。


進行期である2019年2月期の予算については、売上高が6.3%増の2,110億円、経常利益

は2.1%増の47億円と微増を予想しています。当社の出店計画はあまりアテにはならない

ものの、出店は3,179→3,406店、と227店もの純増を計画しており、このうち139店は海外

出店となるため、更に海外へのシフトが進むこととなります。なお予算前提となる既存店

売上高については吉野家が102.6%、はなまるが101%、京樽が103.6%で組んでいるため、

本来2桁幅での増益が期待されるところですが、牛肉・野菜を中心とした食材費の高騰

や労務費の増加、採用コストの増加などにより原価率が0.9%上がる想定です。

 

今期は3年中計の最終年度となっており、売上高2,100億(CAGR4%)、営業利益60億円

(CAGR55%)の数値目標を置いていましたが、そもそもの目標が低位であった売上高は

達成の目が残りますが、営業利益は今期予算を達成してもなお20億円弱ショートする

ため、未達となる公算です。基本的には、はなまる及び海外出店(FC)による外部成長

を柱としていましたが、昨年8月の米国産牛肉の関税引き上げといった不可避な外部

要因や人件費高騰による原価の増加、特に採用難についてはコストもさることながら、

国内での出店戦略に色濃く影響を与えている模様です。

 

そのため、中国だけで300店強を擁する海外事業を中長期的な成長ドライバーとして

頼らざるを得ない状況であり、中国では四川や青海といった新エリアの開拓を進める

ほか、ハラル認証を取得したマレーシアでは直営方式により出店を加速する計画です。

はなまる、における同業のトリドールHDは旗艦業態である丸亀製麺による海外展開を

進めていますが、当社はあくまで吉野家業態を中心として“陣取り”を進めるようです。

当社の海外事業は他社よりも一日の長があり、直営・合弁・FCなど出店国にあわせた

スタイルを採って試行錯誤してきた歴史があるので、軌道に乗れば大きな失敗はない

かと思いますが、“グローバル外食銘柄”として成長株のバリュエーションを採用する

にはやや時期尚早であるかと考えています。

 

 

*参考記事① 2017-11-27  1,833円 ーー

ペッパーに時価総額逆転許す、試される古参・吉野家ホールディングス(9861)。

 

*参考記事② 2016-11-17 1,539円 ーー

構造苦も海外展開には改めて期待、吉野家ホールディングス(9861)。

 

 

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