上期上振れ着地も、売上成長は鈍化傾向・日本BS放送 (9414)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9414】日本BS放送 (東証一部) ---

現在値 1,495円/100株 PER17.2 PBR1.64 8月配当優待 2月優待

ビックカメラが親会社のBS放送会社。競馬中継など自社製作が5割。
配当金は8月一括配の19円のため1.27%となります。

日本BS放送は株主優待制度を実施しており、2月末・8月末に単元株を保有する株主

に対して、1,000円分のビックカメラ商品券を進呈しておりますので、配当優待利回りは

約2.60%となります。なお1年以上保有を継続した場合には、8月末に1,000円分の商品

券が追加進呈されますので、その場合の同利回りは約3.27%となります。

業績を確認していきます。
■2014年8月期 売上高 78.0億円、経常利益16.7億円 EPS 77円
■2015年8月期 売上高 88.6億円、経常利益19.1億円 EPS 68円 
■2016年8月期 売上高 102億円、経常利益 21.3億円 EPS 82円
■2017年8月期 売上高 115億円、経常利益 22.3億円 EPS 85円 

■2018年8月期 売上高 130(127)億円、経常利益 22.4(22.3)億円 EPS 86円 ce修正
□2018年2月中 売上高 59.5億円、経常利益 15.7億円 EPS 60円 ce

2017年8月期の売上高は前年同期比10.0%増の59.5億円、経常利益は同32.6%増の15.7

億円となり、期初予算比の売上高こそショートしたものの、利益は大幅に上振れました。

タイム収入においては番組提供枠、通販枠が堅調に推移したほか、スポット収入では、

BS放送の媒体価値向上にともなう純広告・通販枠の販売が底堅く推移しました。なお、

主な利益圧迫要因である広告宣伝費を1億円強絞っている点には留意が必要です。


なお2018年8月期通期の予算については、出版子会社2社の買収による増収にともない

連結決算への移行と業績の修正を実施しており、売上高が前期比12.3%増の130億円

(従予:127億円)、経常利益は変わらずの22.3億円(従予:UNCH)に其々修正しています。

BS放送広告市場は依然年率4%程度の成長を継続しておりますが、引き続き市場平均

の倍を超えるスピードでの成長を目指します。上期未消化の広告宣伝費は、去る4月の

番組改変や特別番組で消化される計画のため、利益予想の変更はありませんでした。


当社は数期に渡って、年率2桁のトップライン成長を継続しており、従来の中計では今期

に売上高150億円の達成を見込んでいましたが、2年先送り(2020年8月期)にしています。
会社側はこの‘しゃがんだ’理由について、「持続的成長と良質なコンテンツ作りのため」

と説明していますが、基本的には自社制作番組への投資やイベント出展など、直ぐには

回収出来ない(出来るかどうかわからない)企画力やプロデュース力強化のために資源を

投下することが理由と思われます。これは、これまでのようにBS放送広告市場それ自体

のパイの拡大に従い、従来型の広告費用を投じれば勝手に中高年の視聴者が増える、

というこれまでの顧客獲得モデルが潮目にさしかかっている可能性もありそうです。

また本年秋から、2020年の東京五輪を見据え、NHKとキー局系のBS会社が4K放送を開

始する見通しであり、当社のサービスインは2年遅れの2020年を目指している模様です。

そのため、数十億円とされる4Kの設備投資が来期頃から本格的にかかってくるものとみ

られ、向こう数期にわたり費用発生が予想されるため、当社は好業績かつ無借金好財務

ながら、低水準の株主還元(配当性向22%)が当面続くとみられます。特に親会社のビック

カメラも業績絶好調であり、配当で資金を吸い上げる必要も薄く、当面は毎期1円程度の

‘申し訳程度の増配’が続くと予想されます。


*参考記事① 2017-12-01 1,278円 ---

パイの拡大が全てに優先、収穫期かなり先か・日本BS放送(9414)。


*参考記事② 2016-11-22 1,040円 ---
売上好伸長も、広宣費投入を優先・日本BS放送(9414)。

 

 

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