パイの拡大が全てに優先、収穫期かなり先か・日本BS放送(9414)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9414】日本BS放送 (東証一部) ---

現在値 1,278円/100株 PER14.7 PBR1.47 8月配当優待 2月優待

ビックカメラが親会社のBS放送会社。競馬中継など自社製作が5割。
配当金は8月一括配の19円のため1.49%となります。

日本BS放送は株主優待制度を実施しており、2月末8月末に単元株を
保有する株主に対して、1,000円分のビックカメラ商品券を進呈しており
ますので、配当優待利回りは2.26%となります。なお1年以上保有を継続
した場合には、8月末に1,000円分の商品券を追加進呈しています。

業績を確認していきます。
■2014年8月期 売上高 78.0億円、経常利益16.7億円 EPS 77円
■2015年8月期 売上高 88.6億円、経常利益19.1億円 EPS 68円 
■2016年8月期 売上高 102億円、経常利益 21.3億円 EPS 82円
■2017年8月期 売上高 115億円、経常利益 22.3億円 EPS 85円 

■2018年8月期 売上高 127億円、経常利益 22.3億円 EPS 86円 ce
□2018年2月中 売上高 61.0億円、経常利益 11.3億円 EPS 43円 ce

2017年8月期の売上高は前期比13.3%増の115億円、経常利益は4.4%増の
22.3億円となり、利益は予算水準を確保したものの売上はショートしました。

自社制作番組への注力と人気番組の購入によりタイム収入が堅調に推移

したほか、媒体価値向上によりスポット収入も増加しました。一方、前期に

比べて3億円強の広告費を積み増したものの、BS放送広告市場自体の成

長鈍化傾向も相俟って、売上高は計画対比で5億円程の未達となりました。

進行期の2018年8月期については、売上高が10.2%増の127億円、経常利益

は変わらずの22億円を見込んでいます。BS放送広告市場が年率4%程度の

成長を継続しておりますが、引き続き市場の倍を超えるスピードで売上高を

伸ばす計画です。特に今期は予算段階から利益の成長を見込んでいない

ため、広告費や自社番組の制作費に積極的に投資していく公算です。

これまで当社は長年に渡って、売上高で年率2桁の成長率を記録しており、

従来中計ではこの2018年8月期に売上高150億円を達成する計画でしたが、

このタイミングで減額ローリングを行っており、この目標の達成は2年先送り

されました。印象としてはかなり“しゃがんだ”印象であり、売上高目標達成

のためには年平均10億円強を積み増せばよく、今回は利益予算は非開示

のため、最悪広告費をつぎ込んで、力押しで達成することも出来そうです。

また、売上高成長の鈍化に連れて、利益成長が止まった(正確には止めた)

ため、株主還元へのシフトも期待されるところですが、有り余る80億円強の

手許現金は配当には殆どまわらず、今期も1円増配の19円(配当性向22%)

でお茶を濁される形となります。これは2020年の東京五輪を控え、来年秋

以降にNHKとキー局系BS会社が4K放送をサービスインする見通しであり、

当社のサービスインを2019年と仮定すると、来年から4K放送投資のため

の資金需要が発生してくるとみられ、内部留保しているものと思われます。

 

ただ4K対応は基本的に設備投資であり、売上高に直結する投資ではなく、

本質的な成長要素ではないので、旅番組・演歌番組・韓流ドラマといった、

シニア向けの番組強化や若者向けのアニメ番組(製作委員会出資も含む)

といった当社の強みを生かしやすいところで“番組制作力・構成力”を向上

させない限り、そもそもTV局としての成長はないと考えます。特に今後は

ネットTVともモロに競合してくるため、売上成長や好財務のわりになかなか

株価のバリュエーションが伸びないのは、その辺も理由かと思われます。


*参考記事① 2016-11-22 1,040円 ---
売上好伸長も、広宣費投入を優先・日本BS放送(9414)。

*参考記事② 2015-11-26 1,027円 ---
日本BS放送(9414)の株主総会に行ってきました!

 

 

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