広告費回収できず大赤字圏へ、財務も急悪化・ボルテージ(3639)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3639】ボルテージ (東証1部) -

現在値 952円/100株 PER当期赤字 PBR1.66 6月配当未定 12月株主優待

恋愛シミュレーションゲームを携帯やスマホへ配信。顧客は女性に特化。
実績ベースの配当は年間10円で、実績配当利回りは1.05%となります。

 

ボルテージは株主優待制度を導入しており、単元株を保有する12末時点の株主に対し、

1,000円分のクオカードを進呈していますので、(実績)配当優待利回りは2.10%となります。

業績を確認をしていきます。
■2014年6月期 売上高 100億円 経常利益 6.4億円 EPS 57.4円
■2015年6月期 売上高 105億円 経常利益 4.8億円 EPS 45.3円  
■2016年6月期 売上高 112億円 経常利益 4.8億円 EPS 40.7円  
■2017年6月期 売上高 88.2億円 経常利益 1.5億円 EPS 4.8円  

■2018年6月期 売上高 80.0億円 経常利益▲9.0億円 EPS▲146円 ce修正 
□2018年12月中 売上高 37.3億円 経常利益▲7.8億円 EPS▲148円 (2/8) 
※2019年6月期は売上高200億円、営業利益ベースで20億円が目標

2017年12月中間期の売上高は前年同期比21.7%減の37.3億円、経常利益は同赤字転落

の▲7.8億円となりました。主力の日本語女性向けセグメントにおいて、カジュアル層向け

の「ダウト」が苦戦したほか、カジュコア層向けの「恋乱」も投入した広告宣伝費のわりに

低調な推移となり、コア層向けに投入した「アニドルカラーズ」も課金不調となり、業績を

大きく押し下げました。一方、英語女性向けは「DRAGON」が想定を超えて推移したほか

日本語男性向けもサスペンスが好調に推移したものの、“焼け石に水”となりました。


なお、2018年6月期の通期予算も下方修正しており、売上高は前期比20.0%減の80.0億
円(従予:100億円)、経常利益▲9.0億円(従予:3.0億円)へそれぞれ大幅減額しています。
下期に主力の日本語女性向けセグにおいて「魔界王子 魅惑のナイトメア」を投入する

ほか、上期は不調に終わった「アニドルカラーズ」をリブートし、梃入れする計画です。

また英語女性向けの「Lovestruck」も4Qから全世界配信効果の寄与が見込まれます。

ただこれら下期巻き返し施策が成就しても、2Qまでに投入した広告費の回収は限定的

に終わる公算であり、上期の凹み分を取り戻すことは困難な状況になっています。

 

今期は2019年6月期を最終年度とする3年間の改革期間の2年度目となっていますが、
目玉として導入した「タイトルユニット制」などは完全に裏目に出ており、ヒットタイトルも

ないことから、当初掲げていた売上高200億円・営業利益20億円は完全に画餅状態に

陥っています。そのため、目先の目標は黒字復帰かと思われ、まずは進行期の4Qに

おいて、会社側のアナウンスである“四半期黒字化”を実現してから議論と言えます。

というわけで、創業者である津谷社長が復帰して1年半が経過したものの、業績はなお

悪化の一途を辿っており、雌伏期が継続しています。それでも当社は財務的には無借

金状態となっていますが、ダブついていた手許現金は広告費のタレ流しにより22→13

億円まで減少してしまっています。そのため、今期はさすがに無配に転落する公算が

極めて高い状況です。一刻も早く検討すべきは、家賃の高い恵比寿ガーデンプレイス

からの退去による経費削減ですが、これを実行すると社員の士気のガタ落ちは必至で

あり、採用できる新入社員のクオリティも下がるので、継続企業としてかなり難しい舵

取りを迫られる局面に突入したと言えそうです。

*参考記事① 2017-02-25  1,064円 ---

前回優待からクオカードに変更、ボルテージ(3639)のレビュー。

*参考記事② 2014-02-27  1,694円 ---

ボルテージ(3639)から新設優待のゲームブックが到着したので業績レビュー。

 

 

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